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夏祭りの思い出

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 出がけの柚希の格闘が分かるほど、子どもの靴が散らかった玄関。なだれ込むように部屋に入り、リビングの机の上に買ってきたものや鞄すら床に置き去りにして和哉は逃げようとする柚希の細くなった手首を掴み上げた。

「カズ、ご飯食べよ?」
「お風呂、一緒に入ろ?」

 2人して意見が食い違ったが、柚希の汗ばんだ髪や首筋を撫ぜると、柚希は観念したように大人しく首を縦に振った。
 この家に越してきた時に男二人でも(今は子どもたちと入ることが多いが)ゆったり入れる湯舟を探したから、新婚当初は毎日のように二人で共に入っていた。
 途中からは慣れっこになっていった柚希だが、久しぶりに二人で入ることに照れているようだ。中々服を脱ごうとしないので咲哉とお揃いの爽やかなアイスブルーのTシャツ(和哉と蜜希が色違いのレモンイエローだ)を頭から抜き取ってやる。

「いいって、自分で脱ぐから。先入れよ?」
「やだよ。そしたら柚希逃げちゃうだろ?」
「なんでそんな一緒に入りたがるかな?」
「なんで嫌がるの? 僕は一緒に入りたい」

 和哉がすべての服を脱ぎ去り、若い頃よりさらにがっしりした体躯を柚希の前に晒すと、ズボンから白い片足を抜いた柚希がじくりと欲を帯びた瞳で和哉の身体を上目遣いに見上げてきた。さながら雌の獣のように。
 柚希の間のものがゆるゆると立ち上がり、きっと未だ艶美に丸い尻の間も甘い香りを巻き上げながら蜜を垂らしていることが番である和哉はすでに感づいていた。

「カズ……、おれ、こんな……。いい年して、ごめん」

 いいながら和えかにしなだれかかる美しい身体を抱き止めると、αとして番に対して湧き上がる愛情だけでは片づけられぬ支配欲、庇護欲が湧き上がる。

 湯気が漏れてくるバスルームの扉を大きく開いて、和哉は羞恥から涙を滲ませる柚希の目元に慰めるように唇を柔やわと押し当て涙を吸い取った。

「おいで、柚希。それが恥ずかしかったんでしょ? 僕が触って、綺麗にしてあげる」
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