231 / 296
第二部 ありがとう、おめでとう よろしくね
60
しおりを挟む
「お前が極悪人なら、俺だってそうだ。……俺さ、晶にもう一度気持ちを確かめられたんだ。晶は、俺のこと、初恋だったって。βの頃からずっと好きだったって」
「……」
素直な和哉は再び柚希の身体を抱き込んで離すまいとする仕草を見せたから、柚希は押し付けられた胸からごそごそと顔を仰のかせ、和哉を上目遣いに見上げる。
「だけど、俺。ちゃんと晶に言ったから。『これからの人生、離れずに共に過ごしたいのは和哉だ』そう、ちゃんといったから……。あいつ余計に傷つくだろうと思ったけど、きちんと言った方が、いいだろ? ……だから、うわっ」
和哉が突然柚希の身体をひっくり返すと、下敷きになった飼い主にのしかかる大型犬のように押し倒してた。そして熱烈に柚希に口づけてきた。
「嬉しい……。兄さん……。柚希」
興奮する弟を尻目にされるがまま口づけを受けていた柚希は、逞しい弟の腕に再びぬいぐるみのように抱きしめられて二人そろって布団に寝転がった。
互いの体温ですっかり温まった布団の中。ほっとしたのか再び眠気が襲ってきて、長い睫毛を伏せるといつも通り弟に甘え口調で命令した。
「……6時には家出るから……。あと一時間したら起こして」
「分かったよ。ちゃんと送っていくから」
「……晶には、時計返すから」
「わかったよ」
「……」
すうっと、寝つきのいい柚希は再び夢の中へ。
和哉はすっかり目が覚めてしまって、それでも離れがたく口づけの間、柚希が必死に握りしめた和哉のパジャマの襟元のボタンが外れたのを、満ち足りた気持ちで触れて、柚希の隣に添い寝をすると乱れた黒髪をいつまでも撫ぜていた。
「……」
素直な和哉は再び柚希の身体を抱き込んで離すまいとする仕草を見せたから、柚希は押し付けられた胸からごそごそと顔を仰のかせ、和哉を上目遣いに見上げる。
「だけど、俺。ちゃんと晶に言ったから。『これからの人生、離れずに共に過ごしたいのは和哉だ』そう、ちゃんといったから……。あいつ余計に傷つくだろうと思ったけど、きちんと言った方が、いいだろ? ……だから、うわっ」
和哉が突然柚希の身体をひっくり返すと、下敷きになった飼い主にのしかかる大型犬のように押し倒してた。そして熱烈に柚希に口づけてきた。
「嬉しい……。兄さん……。柚希」
興奮する弟を尻目にされるがまま口づけを受けていた柚希は、逞しい弟の腕に再びぬいぐるみのように抱きしめられて二人そろって布団に寝転がった。
互いの体温ですっかり温まった布団の中。ほっとしたのか再び眠気が襲ってきて、長い睫毛を伏せるといつも通り弟に甘え口調で命令した。
「……6時には家出るから……。あと一時間したら起こして」
「分かったよ。ちゃんと送っていくから」
「……晶には、時計返すから」
「わかったよ」
「……」
すうっと、寝つきのいい柚希は再び夢の中へ。
和哉はすっかり目が覚めてしまって、それでも離れがたく口づけの間、柚希が必死に握りしめた和哉のパジャマの襟元のボタンが外れたのを、満ち足りた気持ちで触れて、柚希の隣に添い寝をすると乱れた黒髪をいつまでも撫ぜていた。
0
お気に入りに追加
300
あなたにおすすめの小説
真柴さんちの野菜は美味い
晦リリ
BL
運命のつがいを探しながら、相手を渡り歩くような夜を繰り返している実業家、阿賀野(α)は野菜を食べない主義。
そんななか、彼が見つけた運命のつがいは人里離れた山奥でひっそりと野菜農家を営む真柴(Ω)だった。
オメガなのだからすぐにアルファに屈すると思うも、人嫌いで会話にすら応じてくれない真柴を落とすべく山奥に通い詰めるが、やがて阿賀野は彼が人嫌いになった理由を知るようになる。
※一話目のみ、攻めと女性の関係をにおわせる描写があります。
※2019年に前後編が完結した創作同人誌からの再録です。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
観念しようね、レモンくん
天埜鳩愛
BL
短編・22話で完結です バスケ部に所属するDKトリオ、溺愛双子兄弟×年下の従弟のキュンドキBLです
🍋あらすじ🍋
バスケ部員の麗紋(れもん)は高校一年生。
美形双子の碧(あお)と翠(みどり)に従兄として過剰なお世話をやかれ続けてきた。
共に通う高校の球技大会で従兄たちのクラスと激突!
自立と引き換えに従兄たちから提示されたちょっと困っちゃう
「とあること」を賭けて彼らと勝負を行いことに。
麗紋「絶対無理、絶対あの約束だけはむりむりむり!!!!」
賭けに負けたら大変なことに!!!
奮闘する麗紋に余裕の笑みを浮かべた双子は揺さぶりをかけてくる。
「れーちゃん、観念しようね?」
『双子の愛 溺愛双子攻アンソロジー』寄稿作品(2022年2月~2023年3月)です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる