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第二部 ありがとう、おめでとう よろしくね

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 「ごめん……。でも僕は柚希が大好き……。愛してる。こうして訳わかんなくなるぐらい、柚希のことが好きだ」

 くったりとした柚希を見て頭が冷えたのか、先ほどまでの剣幕は鳴りを潜めて殊勝な声で呟きながら触れるだけの穏やかで優しい口付けを繰り返してくる。
 すぐに絆される柚希は伸ばしたまま縛られて強張ったもう片方の指先を伸ばすと和哉の首に絡めて舌を差し出した。

「んっ……」

 敏感なままの身体がまだ時折自分の意志に反してびくっと動く。和哉は口づけを深めながら、自分の下着に手をかける。
 先ほどからもう、風呂上りにボクサーパンツだけを身に着けていた逞しい下半身ははちきれんばかりに高まり、柚希のあの石鹸のような甘く爽やかなフェロモンに反応して腹につくほどそそり立っていた。
 その欲望を身体に押し付けられ、柚希はその熱と硬さにお腹の奥がじんっと濡れる。

「柚希の中、入っていい?」

 愛する男が甘く低い声でそう許しを乞いながら、柚希の戒められていた手首に詫びるように口づけた。
 さっきまであんなに無茶苦茶なことをしてきたくせに、こんなふうにお伺いを立てて欲望で掠れた声で囁かれ懇願される。

 先だけをしつこく攻められた身体は陰茎で上手にイくことはできておらず、柚希の欲望も天井まで高まってもはや苦しい程だ。

「……いいよ。ばかワンコ。……あとで、あ、ひぃああ!ああ!!」

 『あとでちゃんと話を』と何とか伝えようと思ったのに、性急に腰を進めた和哉が、辛抱できずに柚希の中に押し入ってきたのだ。
 その衝撃で限界を越えて敏感になっていた柚希の身体は成すすべもなく今度は前を放って、気をやりそうな快感を逃そうと震わせる身体をがしっと背中に手を回して一度強く抱きしめられた。

「柚希……。どこにもいかないで。ずっと傍にいて。僕の柚希!!」

 アパートで母と暮らしていた頃。どうしても夕飯の支度で足りないものがでて遊びに来ていた和哉がソファーで転寝をしていたから、起こすのも可哀想だと思い、寝かしたまま買い物に出ようとした。すると物音で目を覚ました和哉が玄関先にいた柚希に気がつき、無我夢中で飛びついてきたのだ。

『僕も一緒に行くから、どこにもいかないで』

(和哉、結局あの頃から変わってない)

 あの必死だった幼い和哉を思い出して、その弟に揺さぶられ犯されているというのに、柚希は思わず(仕方ない奴だな)とくすり、と笑みを零した。
 しかしあの小さかった和哉はとてもとても大きく凛々しくて、ちょっとまだ不安定なところもある、愛すべき若者に成長した。
 そんな和哉に身体ごとゆっさゆっさと揺さぶられて、こんな時、柚希は弟との体格の違いを思い知る。

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