上 下
225 / 296
第二部 ありがとう、おめでとう よろしくね

54

しおりを挟む
  先ほどの刺激よりもさらに増した快感に柚希は堪らず、は、はっと喉だけで息をしながら小さなショーツの下に邪魔され思うとおりに開放されない陰茎がズキズキと痛んで仕方がない。

「……たまにはいいでしょ? こういうのも」
「やああ」
「やあ、じゃなくて。気持ちいいでしょ? こっちはどう?」

 同じく、ローションをあの、紐パンの上からかけられ、両方の紐をほどかれてぶるっときつさから解放された。

「……」

 思わず『かずや、触って、沢山擦って』と身もふたもなく叫びだしたくなる。だが嫉妬にかられた和哉に意地悪をされていると分かっているし、これはある種のお仕置なのだろうと感じて兄としての意固地さが手伝い、意地でもそんなことを口にできない。
 満足が行くまで身体を与えても良いとは思ったが、柚希の方から歩み寄る気持ちにはなれなかった。
 そんな柚希の気持ちを知ってか知らずか。和哉の形良い指先がつつっと柚希の裏筋を撫ぜていく。腰を跳ね上げて、だがまだイケない。

(イキたい、イキたい……)

「兄さん、出したそうだね? 先っちょも、もう、とろとろ、気に入った?」

 腰を動かし、すぐさま和哉の指先に自分自身を夢中で擦り付けてしまって、それを揶揄われてしまった。

 柚希にとって檻のように自由を奪う、甘い甘い和哉の香りは金木犀に似ていて……。
 いつだって柚希の理性を奪う芳醇なそれに包まれると訳が分からなくなってしまうそうだ。
 
 懸命に擦り付けていたのに、和哉に手を離されてしまった。それでも腰が止まらず、空しく腰を動かしてしまう。はちきれんばかりに勃起しているのに、放てないもどかしさに気が狂いそうだ。

 しかし足元が見えない柚希をいいことに、和哉はさらなる責め苦に打って出てきた。
 
 ローションを浸した黒い淫靡な下着。
 それを亀頭の先におもむろに充てられて柚希は声を上げて『ひああ』とあらぬ声を上げた。

「ねえ、兄さん? 晶先輩とはどこまでしてたの?」

 和哉がにたり、と笑い乍ら、いたぶる様に手を動かし始める。
 滑らかに動く薄い化学繊維の下着を亀頭に押し付けながらくるくるとその先だけを責め立てる。

「ひぃ、ああ、ああああ……」

 突然目も眩むような、しかし信じられないほど狂おしい快感に苛まれて柚希はもはや声を止められなくなってしまった。

しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

真柴さんちの野菜は美味い

晦リリ
BL
運命のつがいを探しながら、相手を渡り歩くような夜を繰り返している実業家、阿賀野(α)は野菜を食べない主義。 そんななか、彼が見つけた運命のつがいは人里離れた山奥でひっそりと野菜農家を営む真柴(Ω)だった。 オメガなのだからすぐにアルファに屈すると思うも、人嫌いで会話にすら応じてくれない真柴を落とすべく山奥に通い詰めるが、やがて阿賀野は彼が人嫌いになった理由を知るようになる。 ※一話目のみ、攻めと女性の関係をにおわせる描写があります。 ※2019年に前後編が完結した創作同人誌からの再録です。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

こじらせΩのふつうの婚活

深山恐竜
BL
宮間裕貴はΩとして生まれたが、Ωとしての生き方を受け入れられずにいた。 彼はヒートがないのをいいことに、ふつうのβと同じように大学へ行き、就職もした。 しかし、ある日ヒートがやってきてしまい、ふつうの生活がままならなくなってしまう。 裕貴は平穏な生活を取り戻すために婚活を始めるのだが、こじらせてる彼はなかなかうまくいかなくて…。

処理中です...