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第二部 ありがとう、おめでとう よろしくね
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柚希はパスコードを入れるのが面倒で、携帯電話の画面が真っ暗になるまでの時間をかなり長く設定してある。
画面は今だ消せない晶の連絡先が表示されたままで、和哉はそれを目にしたのだろう。やることなすこと裏目に出てしまって泣きたくなる。しかしもうどんな言い訳をしても和哉が聞き届けてくれるとは思えなかった。
そのまま背と臀に手を回され肩に担ぎ上げられて、格闘技ごっこをしてふざけていた時程度には乱暴に布団の上に降ろされる。柚希はすっかり湯冷めしてしまい、織の細かい上等なシーツが背中に冷たく鳥肌が立った。
普段なら柚希の身体に負担をかけないように体重をなるべくかけずにのしかかってくる和哉だが、今日は逃がさぬとばかりに柚希が逃げられぬように間髪入れず押さえつけながら組み敷いてくる。
「いっ.......。カズ!」
痛みに非難を込めた声色に、和哉はあえなのか反応をみせずに、俯いて整髪剤で撫ぜ付けられていない前髪が暗い影を高い鼻梁まで落として表情が伺いしれない。どこか空恐ろしい雰囲気を醸し出したまま、柚希の足首を掴んで長い脚を大きく割り開いてきた。
「和哉、やめて」
静止の声は聞き届けられることはなく。照明は絞られぎみだったが例の下着を身に着けただけの無防備な姿を弟の眼下に晒し、恥ずかしさともどかしさ、哀しさと少しの憤り。色々な感情が渦巻いて柚希は言葉が上手く紡げない。
(駄目だ……。こんな状態の和哉、頭を冷やしてからじゃないと何言っても聞かなそう……)
何より柚希を絡め取ろうと発せられる番の性フェロモンに心より先に身体がぐずぐずに脱力していく。
いくら全てを捧げても構わないと思うほどに愛情を注いできた相手であっても、いやそんな和哉であるからこそ、気持ちが沈みに沈み込んだ今、なし崩しに抱かれるのは耐えがたかった。
(さっきまであんなに幸せな気持ちでいたのに.......)
しかしそれは和哉だってきっと同じだ。柚希の悪いところが出て、とにかく今は流れに身を任せてその場をやり過ごそうとぎゅっと目をつぶり顔だけは横に背けた。しかしその仕草が、和哉には柚希に拒絶されているように感じたのだろう。
「哀しいよ……。兄さん。胸が張り裂けそうだ」
「和哉?」
愛しい弟の憐れみを帯びた声に今日はよく零れてばかりの雫が溢れそうになり、柚希が真っすぐ和哉の方を向こうとした刹那、和哉が柚希の両腕を万歳する様に頭の上に腕をあげさせられ、手首に何かが撒きつけられた。
「え……」
手首を戒められたと分かりぎょっとして、双眸をこれ以上はない程大きく見開いた柚希は続けて和哉をぎっと睨みつけた。
「和哉! 解いて! こんなのいやだ!
こんな暴挙にまで弟を追い込んだ責任は自分にあると思いつつも、間違っていることは年長者として正さねばならない。
しかし和哉は言うことを聞かず、柚希が身をよじって逆につんと突き出した白い胸に顔を埋めてきた。
画面は今だ消せない晶の連絡先が表示されたままで、和哉はそれを目にしたのだろう。やることなすこと裏目に出てしまって泣きたくなる。しかしもうどんな言い訳をしても和哉が聞き届けてくれるとは思えなかった。
そのまま背と臀に手を回され肩に担ぎ上げられて、格闘技ごっこをしてふざけていた時程度には乱暴に布団の上に降ろされる。柚希はすっかり湯冷めしてしまい、織の細かい上等なシーツが背中に冷たく鳥肌が立った。
普段なら柚希の身体に負担をかけないように体重をなるべくかけずにのしかかってくる和哉だが、今日は逃がさぬとばかりに柚希が逃げられぬように間髪入れず押さえつけながら組み敷いてくる。
「いっ.......。カズ!」
痛みに非難を込めた声色に、和哉はあえなのか反応をみせずに、俯いて整髪剤で撫ぜ付けられていない前髪が暗い影を高い鼻梁まで落として表情が伺いしれない。どこか空恐ろしい雰囲気を醸し出したまま、柚希の足首を掴んで長い脚を大きく割り開いてきた。
「和哉、やめて」
静止の声は聞き届けられることはなく。照明は絞られぎみだったが例の下着を身に着けただけの無防備な姿を弟の眼下に晒し、恥ずかしさともどかしさ、哀しさと少しの憤り。色々な感情が渦巻いて柚希は言葉が上手く紡げない。
(駄目だ……。こんな状態の和哉、頭を冷やしてからじゃないと何言っても聞かなそう……)
何より柚希を絡め取ろうと発せられる番の性フェロモンに心より先に身体がぐずぐずに脱力していく。
いくら全てを捧げても構わないと思うほどに愛情を注いできた相手であっても、いやそんな和哉であるからこそ、気持ちが沈みに沈み込んだ今、なし崩しに抱かれるのは耐えがたかった。
(さっきまであんなに幸せな気持ちでいたのに.......)
しかしそれは和哉だってきっと同じだ。柚希の悪いところが出て、とにかく今は流れに身を任せてその場をやり過ごそうとぎゅっと目をつぶり顔だけは横に背けた。しかしその仕草が、和哉には柚希に拒絶されているように感じたのだろう。
「哀しいよ……。兄さん。胸が張り裂けそうだ」
「和哉?」
愛しい弟の憐れみを帯びた声に今日はよく零れてばかりの雫が溢れそうになり、柚希が真っすぐ和哉の方を向こうとした刹那、和哉が柚希の両腕を万歳する様に頭の上に腕をあげさせられ、手首に何かが撒きつけられた。
「え……」
手首を戒められたと分かりぎょっとして、双眸をこれ以上はない程大きく見開いた柚希は続けて和哉をぎっと睨みつけた。
「和哉! 解いて! こんなのいやだ!
こんな暴挙にまで弟を追い込んだ責任は自分にあると思いつつも、間違っていることは年長者として正さねばならない。
しかし和哉は言うことを聞かず、柚希が身をよじって逆につんと突き出した白い胸に顔を埋めてきた。
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