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第二部 ありがとう、おめでとう よろしくね
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グラスを傾けシャンパンを口にした後、和哉は即座にむせこんだ。
「違うよ。そういうのじゃなくて……。たまには兄さんのことを僕が甘やかしたいって思ったんだよ。仕事もだけどいつも家事もしっかり分担して学生の僕に押し付けたりもしなくて、頑張ってるから。恋人として柚希を甘やかしたいんだ」
「ふーん。甘やかしてくれるんだ?」
和哉の手ごと掴みあげて柚希はグラスを唇に運ぶと、景気づけにクイッと飲みほす。和哉が魅せられたように顔を傾けて、その形良い唇を近づけてきたから、柚希は手ごわい美姫のように鼻先に素早くグラスを押し付けてブロックした。
「シャンパンすごく美味しい。もう少しちょうだい?」
わざと出した甘えたな声を上げたが和哉がグラスを取り上げて窘めてくる。柚希が自分の分のグラスに危なっかしく指先を伸ばしたから、倒す前にと和哉が先回りして持ち上げ柚希に手渡してくれた。
すかさず飲みほそうとした柚希の手を包み込みこんで掴んだ和哉が、今度はグラスを空けたから、柚希は和哉を艶美な表情で軽く睨みつけ、彼の唇についた雫を唇と小さくだした舐めとる。すると酒のせいだけではなく和哉が耳だけ赤くなった。最近は余裕すら漂う和哉のちょっと年下の学生っぽい若々しい表情が可愛くて胸の奥を擽られながら、柚希はしやったりといった気持ちで和哉の腕に凭れてとろとろとした表情で瞼を閉じた。
「くふふっ」
「柚希、ご機嫌なのはいいけど、ケーキ食べないの? ほら、もう眠くなってる……」
「いいだろ。クリスマスなんだし。ここで眠ったらお前がベッドに運んで?」
「だから、まだ夜更かしって程じゃない時間だし、眠っちゃダメだよ?」
ぺちぺちと頬を指の背で羽のように柔らかく叩かれたり撫ぜられるのが心地よい。身を預けてもびくともしない和哉の腕に抱かれていると、揺りかごにゆられているような安心感が番にしか感じぬ柔らかな甘い香りも相まって、心の中にたっぷりと満ち満ちてくる。
(んーっ。最近の和哉の包容力半端ないな。気持ちいい。どうにでもしてくれって気持ちになる)
半分は早くも酔いが回り始めているのかもしれないが、ふわふわのパジャマ姿の柚希がご機嫌よく腕の中で身をよじっているのは和哉側から見ても安心感が満ち満ちてくる眺めと言えた。
「……·寝てる俺でも、手ぇ出していいよ? そしたら起きるし?」
そんな風に和哉をたぶらかすような口ぶりで目を眇めたまま弟の頬を悪戯して撫ぜ返したから、その手を掴まれて掌に柔やわと口づけられて、その後は目覚めを促すように指先を齧られた。
「違うよ。そういうのじゃなくて……。たまには兄さんのことを僕が甘やかしたいって思ったんだよ。仕事もだけどいつも家事もしっかり分担して学生の僕に押し付けたりもしなくて、頑張ってるから。恋人として柚希を甘やかしたいんだ」
「ふーん。甘やかしてくれるんだ?」
和哉の手ごと掴みあげて柚希はグラスを唇に運ぶと、景気づけにクイッと飲みほす。和哉が魅せられたように顔を傾けて、その形良い唇を近づけてきたから、柚希は手ごわい美姫のように鼻先に素早くグラスを押し付けてブロックした。
「シャンパンすごく美味しい。もう少しちょうだい?」
わざと出した甘えたな声を上げたが和哉がグラスを取り上げて窘めてくる。柚希が自分の分のグラスに危なっかしく指先を伸ばしたから、倒す前にと和哉が先回りして持ち上げ柚希に手渡してくれた。
すかさず飲みほそうとした柚希の手を包み込みこんで掴んだ和哉が、今度はグラスを空けたから、柚希は和哉を艶美な表情で軽く睨みつけ、彼の唇についた雫を唇と小さくだした舐めとる。すると酒のせいだけではなく和哉が耳だけ赤くなった。最近は余裕すら漂う和哉のちょっと年下の学生っぽい若々しい表情が可愛くて胸の奥を擽られながら、柚希はしやったりといった気持ちで和哉の腕に凭れてとろとろとした表情で瞼を閉じた。
「くふふっ」
「柚希、ご機嫌なのはいいけど、ケーキ食べないの? ほら、もう眠くなってる……」
「いいだろ。クリスマスなんだし。ここで眠ったらお前がベッドに運んで?」
「だから、まだ夜更かしって程じゃない時間だし、眠っちゃダメだよ?」
ぺちぺちと頬を指の背で羽のように柔らかく叩かれたり撫ぜられるのが心地よい。身を預けてもびくともしない和哉の腕に抱かれていると、揺りかごにゆられているような安心感が番にしか感じぬ柔らかな甘い香りも相まって、心の中にたっぷりと満ち満ちてくる。
(んーっ。最近の和哉の包容力半端ないな。気持ちいい。どうにでもしてくれって気持ちになる)
半分は早くも酔いが回り始めているのかもしれないが、ふわふわのパジャマ姿の柚希がご機嫌よく腕の中で身をよじっているのは和哉側から見ても安心感が満ち満ちてくる眺めと言えた。
「……·寝てる俺でも、手ぇ出していいよ? そしたら起きるし?」
そんな風に和哉をたぶらかすような口ぶりで目を眇めたまま弟の頬を悪戯して撫ぜ返したから、その手を掴まれて掌に柔やわと口づけられて、その後は目覚めを促すように指先を齧られた。
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