190 / 296
第二部 ありがとう、おめでとう よろしくね
19
しおりを挟む
☆最新しおりのみなさま、申し訳ないです!!! 先に18を公開してしまっておりました!!!
ご迷惑おかけしてすみません。ドジな私をお許しください。
11/7今朝、16.17を慌てて更新させていただきました。
晶襲来までの様子をもう一度ご覧くださいませ~ 読んだよと一言感想とかぽちっとエールとかいただけると
とってもとってもありがたいです💛 よろしくお願いいたします。
「ちょっとだけ、な。ここでは、あれだから……」
しかしどこか店に入って今更ゆっくり差し向って話すという気にはなれず、柚希は自分が先導して歩いていくことにした。
クリスマスイブ当日の夕べに商店街は何となく浮かれた雰囲気が漂い、行きかう人々の顔つきがいやに明るく輝いて見える。
そんな中少しでも人目が少なく落ち着ける場所へと商店街から外れ気味に歩いているうち、ホワイトクリスマスと銘打った白いイルミネーションを桜の木々に施した川沿いの道にでてしまった。
はしゃいだ声に惹かれるように目をやれば、近隣にある高校の生徒が写真を撮ったり、買い物帰りなのか幼子と自転車に乗ったまま光を指差す親子連れなどが見に来ている。街中にささやかにある、そんなのんびりとした雰囲気漂うイルミネーションだ。距離も短いからみんな写真を撮ったら用なしとばかりにすぐにいなくなる。
適度な雑踏、適度な静けさの中。がしゃり、とフェンスを掴んで昏い川を覗きこんだ晶が呟いた。
「……春の桜の方が、やっぱり綺麗だな」
「そうだね……」
春には桜が咲き乱れる木々は、今は白い灯りが取り付けられて、美しくもあるがやはり少し寒々しく物悲しい。
(春には……。仕事帰りに晶とここに寄ったんだっけ)
シフト勤務の柚希の次の休みにはもう桜が散ってしまうだろうからと、晶はわざわざ忙しい平日の夜に仕事を切り上げて、スーツの上着を小脇に抱え文字通り駆けつけてくれた。そのまま近くのコンビニで買い込んだチューハイを片手に、2人して立ったまま花見を楽しんだ。
(桜の花びらが真っ白な雪みたいに見えた。梢が重そうにゆっくり揺れるたびに花びらが沢山散って……。あの時はすごく、綺麗で……)
はらはらと花びらが散る中、温んだ春風が心地よくて、猫のように目を細めて眠そうにしていたら、晶が柚希の髪から花弁を取り除きついでに優しく顎先を撫ぜてから腕の中へ抱き寄せられた。
アルコール度数の少ない酒でもすぐに幸せなほろ酔い気分を味わえる、柚希は得だな、なんて揶揄われ、腕の中で目を開いたら満開の桜の前で晶は穏やかに微笑んでいた。
その後は指を絡ませブランコのように少し揺らしながら駅までの道を手を繋いで歩いた。
(幸せだったよな……。あの時だって)
ご迷惑おかけしてすみません。ドジな私をお許しください。
11/7今朝、16.17を慌てて更新させていただきました。
晶襲来までの様子をもう一度ご覧くださいませ~ 読んだよと一言感想とかぽちっとエールとかいただけると
とってもとってもありがたいです💛 よろしくお願いいたします。
「ちょっとだけ、な。ここでは、あれだから……」
しかしどこか店に入って今更ゆっくり差し向って話すという気にはなれず、柚希は自分が先導して歩いていくことにした。
クリスマスイブ当日の夕べに商店街は何となく浮かれた雰囲気が漂い、行きかう人々の顔つきがいやに明るく輝いて見える。
そんな中少しでも人目が少なく落ち着ける場所へと商店街から外れ気味に歩いているうち、ホワイトクリスマスと銘打った白いイルミネーションを桜の木々に施した川沿いの道にでてしまった。
はしゃいだ声に惹かれるように目をやれば、近隣にある高校の生徒が写真を撮ったり、買い物帰りなのか幼子と自転車に乗ったまま光を指差す親子連れなどが見に来ている。街中にささやかにある、そんなのんびりとした雰囲気漂うイルミネーションだ。距離も短いからみんな写真を撮ったら用なしとばかりにすぐにいなくなる。
適度な雑踏、適度な静けさの中。がしゃり、とフェンスを掴んで昏い川を覗きこんだ晶が呟いた。
「……春の桜の方が、やっぱり綺麗だな」
「そうだね……」
春には桜が咲き乱れる木々は、今は白い灯りが取り付けられて、美しくもあるがやはり少し寒々しく物悲しい。
(春には……。仕事帰りに晶とここに寄ったんだっけ)
シフト勤務の柚希の次の休みにはもう桜が散ってしまうだろうからと、晶はわざわざ忙しい平日の夜に仕事を切り上げて、スーツの上着を小脇に抱え文字通り駆けつけてくれた。そのまま近くのコンビニで買い込んだチューハイを片手に、2人して立ったまま花見を楽しんだ。
(桜の花びらが真っ白な雪みたいに見えた。梢が重そうにゆっくり揺れるたびに花びらが沢山散って……。あの時はすごく、綺麗で……)
はらはらと花びらが散る中、温んだ春風が心地よくて、猫のように目を細めて眠そうにしていたら、晶が柚希の髪から花弁を取り除きついでに優しく顎先を撫ぜてから腕の中へ抱き寄せられた。
アルコール度数の少ない酒でもすぐに幸せなほろ酔い気分を味わえる、柚希は得だな、なんて揶揄われ、腕の中で目を開いたら満開の桜の前で晶は穏やかに微笑んでいた。
その後は指を絡ませブランコのように少し揺らしながら駅までの道を手を繋いで歩いた。
(幸せだったよな……。あの時だって)
0
お気に入りに追加
299
あなたにおすすめの小説

初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話
ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。
βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。
そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。
イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。
3部構成のうち、1部まで公開予定です。
イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。
最新はTwitterに掲載しています。
運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー
白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿)
金持ち社長・溺愛&執着 α × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω
幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。
ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。
発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう
離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。
すれ違っていく2人は結ばれることができるのか……
思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいαの溺愛、身分差ストーリー
★ハッピーエンド作品です
※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏
※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m
※フィクション作品です
※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです

元ベータ後天性オメガ
桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。
ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。
主人公(受)
17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。
ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。
藤宮春樹(ふじみやはるき)
友人兼ライバル(攻)
金髪イケメン身長182cm
ベータを偽っているアルファ
名前決まりました(1月26日)
決まるまではナナシくん‥。
大上礼央(おおかみれお)
名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥
⭐︎コメント受付中
前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。
宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
トップアイドルα様は平凡βを運命にする
新羽梅衣
BL
ありきたりなベータらしい人生を送ってきた平凡な大学生・春崎陽は深夜のコンビニでアルバイトをしている。
ある夜、コンビニに訪れた男と目が合った瞬間、まるで炭酸が弾けるような胸の高鳴りを感じてしまう。どこかで見たことのある彼はトップアイドル・sui(深山翠)だった。
翠と陽の距離は急接近するが、ふたりはアルファとベータ。翠が運命の番に憧れて相手を探すために芸能界に入ったと知った陽は、どう足掻いても番にはなれない関係に思い悩む。そんなとき、翠のマネージャーに声をかけられた陽はある決心をする。
運命の番を探すトップアイドルα×自分に自信がない平凡βの切ない恋のお話。
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる