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第二部 ありがとう、おめでとう よろしくね
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(俺にできることは、一生懸命仕事をして、和哉があんな顔をしないように不安にさせないようにすることだな。なんだかんだ言ってあいつはまだ学生だし、俺の方が年上なんだから。俺がしっかりしないと……)
晶とのことで思い知ったこと。
思っていることは口に出して伝えあい、時にはぶつかり合わねば大きな誤解を孕んだまますれ違い続けてしまうかもしれないということ。
(晶が本当は同情なんかじゃなくて、俺のことを心から愛してくれているってもっと早くに気がついていたら……。俺の心も、身体もあいつに向かって開いて、もっと深く愛し合えたかもしれない。でも俺が逃げてばかりであいつの気持ちを少しも理解しようとしなかったから、結局別れることになったんだ。……俺のせいで起こるべくして起こった別れ。俺は……。二度と……)
柚希は一度振り返って、やはりまだ車を止めたままでいる和哉に向かって大きく手を振った。
車の中から和哉が手を振り返してくれたかは見えづらかったが、そのあとは振り返らずに店まで駆け足で出勤していった。
その日は和哉との情事の余韻に浸る時間がない程大忙しだった。クリスマス用にサンタ帽子の飾りをかぶったワンコ型のドーナツの売れ行きも好調で、予約販売をしている、ドーナツを組体操みたいに重ねて飾ったデコレーションドーナツも無事に最終時間の18時までに引き渡しが終了した。
そのあとも今度は新年のご挨拶用に地方発送される贈答品の梱包や発送準備を手伝っていたらあっという間に時間は経った。
制服から着替えが終わった後も事務所で明日の仕事のことなど確認をしていたら、同僚の三枝と二階の通販担当の水野がまだユニフォーム姿のまま片づけをしていた。
「一ノ瀬、二階の手伝いもありがとうね。でも早く帰りなよ。新婚さんなんだから」
「和哉、道が混んでいて車が進まないからもう少しかかるって。それに新婚じゃないですよ。番になったってだけで」
「新婚みたいなものでしょ? 番関係なんて、結婚したみたいなものなんだから」
「そうなの?」
「そりゃそうでしょ。むしろ結婚より重たいでしょ? 一生切れない絆があるんだから。あーあ。うらやましいなあ」
晶とのことで思い知ったこと。
思っていることは口に出して伝えあい、時にはぶつかり合わねば大きな誤解を孕んだまますれ違い続けてしまうかもしれないということ。
(晶が本当は同情なんかじゃなくて、俺のことを心から愛してくれているってもっと早くに気がついていたら……。俺の心も、身体もあいつに向かって開いて、もっと深く愛し合えたかもしれない。でも俺が逃げてばかりであいつの気持ちを少しも理解しようとしなかったから、結局別れることになったんだ。……俺のせいで起こるべくして起こった別れ。俺は……。二度と……)
柚希は一度振り返って、やはりまだ車を止めたままでいる和哉に向かって大きく手を振った。
車の中から和哉が手を振り返してくれたかは見えづらかったが、そのあとは振り返らずに店まで駆け足で出勤していった。
その日は和哉との情事の余韻に浸る時間がない程大忙しだった。クリスマス用にサンタ帽子の飾りをかぶったワンコ型のドーナツの売れ行きも好調で、予約販売をしている、ドーナツを組体操みたいに重ねて飾ったデコレーションドーナツも無事に最終時間の18時までに引き渡しが終了した。
そのあとも今度は新年のご挨拶用に地方発送される贈答品の梱包や発送準備を手伝っていたらあっという間に時間は経った。
制服から着替えが終わった後も事務所で明日の仕事のことなど確認をしていたら、同僚の三枝と二階の通販担当の水野がまだユニフォーム姿のまま片づけをしていた。
「一ノ瀬、二階の手伝いもありがとうね。でも早く帰りなよ。新婚さんなんだから」
「和哉、道が混んでいて車が進まないからもう少しかかるって。それに新婚じゃないですよ。番になったってだけで」
「新婚みたいなものでしょ? 番関係なんて、結婚したみたいなものなんだから」
「そうなの?」
「そりゃそうでしょ。むしろ結婚より重たいでしょ? 一生切れない絆があるんだから。あーあ。うらやましいなあ」
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