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第二部 ありがとう、おめでとう よろしくね
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その授業を受けた日、小学生が初見で知るには衝撃的な内容すぎてクラスメイトはその話でもちきりになった。
大体そんな時は年上の兄弟がいる子が話の中心になって知ったかぶりの知識を披露してクラスメイトの注目を浴びるものだ。
高校生の姉のいる女の子が和哉の前にやってきてやはり知識をひけらかそうとしてきた。
「絶対和哉くんってαだよねえ。背も高いし、運動もできるし頭もいいし、すっごくかっこいいもん。王子様みたいだもの」
和哉はわらわらと賑やかなタイプの女の子たちに囲まれて、内心騒がしいなあと煩わしく思いながら、外面欲はにかんで照れた素振りを見せていた。
すると最近は柚希に教わったバスケットのおかげで仲良くなれた男子のグループも珍しく乗ってきた。
「和哉の父さんってさ、αだろ? 授業参観来た時、母さんたちが噂してたぜ。すんごいイケメンだし、背も高いし、うちの父さんと大違いって」
「絶対に親がαだったら子供そうってわけじゃないらしいけど、遺伝的な要素はあるっていうじゃない? いいなあ。αだったらΩと運命的に出会って番になってけっこーんだよ。ドラマでやってたのみたもの」
「レイメーの結城くんもαだって噂だよね~ いいなあ私がΩだった番にして欲しいよお」
「絶対違うだろ? Ωって美人が多いんだろ?」
「ひどい! 津田、ふざけんな」
大騒ぎになってきた教室の中で青空にふんわり浮かぶ丸い雲を見ながら、和哉は柚希のことを思い起こしていた。
(柚にいはどっちなんだろう? 高校生になるまで分からないものなのかな? 柚にいは本当に可愛らしいし、Ωかもしれないよな? もし僕が本当にαだったら……)
どく、どくっと高鳴った、胸の鼓動が耳まで聞こえてくるようだ。
今浮かんだアイディアがもう頭の中を占めてそれしか考えられなくなりそうだ。
(柚にいを、番にしたい)
そんな風に意識をした後で、同じ布団に眠っているのだから相手を気にしないでいられるはずもない。
(ああ、眠れないのはいいけど、もしもその、あそこが大人の人みたいになっちゃったらどうしよう。兄さんにばれたりしたら……。最悪だよな。え、でも思春期には朝になると自然にそうなったりするっていうから……。もしかして柚にいも)
制服から家に帰ってきて私服に着替える時に何度も見かけた柚希の真っ白な身体に桃色の胸飾り、そして滑らかにくびれた腰。艶めかしく身体をよじりながら朝の日差しの中、吐精して頬を染める柚希の幻影が頭の中にもわっと浮かんできて、和哉は布団の中で思わずエビのように身体を丸めて前のめりになった。
「ううっ……」
「え? どうしたの? カズ?? どこかいたいの??」
「ちょ、ちょっとだけ、腹……。大分、ズキズキ痛い……」
「え、どこどこ?」
「さ、触らないで!! 痛いから!! 摩っちゃダメ、う、むり!」
「むり?? トイレいく?? ごめん。敦哉さん呼んでくる??」
「大丈夫!! 呼ばないで!! 大人しくしてれば納まると思うから!」
「そう? ごめん、俺家に帰った方がゆっくり眠れる??」
「絶対にここにいて。朝までいて」
「分かったよ」
気を静めて眠ってしまった方が楽かもだけど、でもそうしたらプレゼントを柚希が置きに来てまたサンタを信じてるふりをしなければならなくなるし、父と柚希がそれをまた大成功みたいに蔭で二人で喜び合うかもしれないのは癪だし。そして柚希はとにかくいい匂いで、「痛いの納まりますように」なんて甘い声で囁きながら、お腹を摩ってくれているのにたまに下腹部に触れそうになるぎりぎりな感じが堪らなくて……。
和哉は頭の中がショートしたようにもうあれやこれやでいっぱいになって……。
そのまま意識を失うようにして眠りについてしまったのだった。
大体そんな時は年上の兄弟がいる子が話の中心になって知ったかぶりの知識を披露してクラスメイトの注目を浴びるものだ。
高校生の姉のいる女の子が和哉の前にやってきてやはり知識をひけらかそうとしてきた。
「絶対和哉くんってαだよねえ。背も高いし、運動もできるし頭もいいし、すっごくかっこいいもん。王子様みたいだもの」
和哉はわらわらと賑やかなタイプの女の子たちに囲まれて、内心騒がしいなあと煩わしく思いながら、外面欲はにかんで照れた素振りを見せていた。
すると最近は柚希に教わったバスケットのおかげで仲良くなれた男子のグループも珍しく乗ってきた。
「和哉の父さんってさ、αだろ? 授業参観来た時、母さんたちが噂してたぜ。すんごいイケメンだし、背も高いし、うちの父さんと大違いって」
「絶対に親がαだったら子供そうってわけじゃないらしいけど、遺伝的な要素はあるっていうじゃない? いいなあ。αだったらΩと運命的に出会って番になってけっこーんだよ。ドラマでやってたのみたもの」
「レイメーの結城くんもαだって噂だよね~ いいなあ私がΩだった番にして欲しいよお」
「絶対違うだろ? Ωって美人が多いんだろ?」
「ひどい! 津田、ふざけんな」
大騒ぎになってきた教室の中で青空にふんわり浮かぶ丸い雲を見ながら、和哉は柚希のことを思い起こしていた。
(柚にいはどっちなんだろう? 高校生になるまで分からないものなのかな? 柚にいは本当に可愛らしいし、Ωかもしれないよな? もし僕が本当にαだったら……)
どく、どくっと高鳴った、胸の鼓動が耳まで聞こえてくるようだ。
今浮かんだアイディアがもう頭の中を占めてそれしか考えられなくなりそうだ。
(柚にいを、番にしたい)
そんな風に意識をした後で、同じ布団に眠っているのだから相手を気にしないでいられるはずもない。
(ああ、眠れないのはいいけど、もしもその、あそこが大人の人みたいになっちゃったらどうしよう。兄さんにばれたりしたら……。最悪だよな。え、でも思春期には朝になると自然にそうなったりするっていうから……。もしかして柚にいも)
制服から家に帰ってきて私服に着替える時に何度も見かけた柚希の真っ白な身体に桃色の胸飾り、そして滑らかにくびれた腰。艶めかしく身体をよじりながら朝の日差しの中、吐精して頬を染める柚希の幻影が頭の中にもわっと浮かんできて、和哉は布団の中で思わずエビのように身体を丸めて前のめりになった。
「ううっ……」
「え? どうしたの? カズ?? どこかいたいの??」
「ちょ、ちょっとだけ、腹……。大分、ズキズキ痛い……」
「え、どこどこ?」
「さ、触らないで!! 痛いから!! 摩っちゃダメ、う、むり!」
「むり?? トイレいく?? ごめん。敦哉さん呼んでくる??」
「大丈夫!! 呼ばないで!! 大人しくしてれば納まると思うから!」
「そう? ごめん、俺家に帰った方がゆっくり眠れる??」
「絶対にここにいて。朝までいて」
「分かったよ」
気を静めて眠ってしまった方が楽かもだけど、でもそうしたらプレゼントを柚希が置きに来てまたサンタを信じてるふりをしなければならなくなるし、父と柚希がそれをまた大成功みたいに蔭で二人で喜び合うかもしれないのは癪だし。そして柚希はとにかくいい匂いで、「痛いの納まりますように」なんて甘い声で囁きながら、お腹を摩ってくれているのにたまに下腹部に触れそうになるぎりぎりな感じが堪らなくて……。
和哉は頭の中がショートしたようにもうあれやこれやでいっぱいになって……。
そのまま意識を失うようにして眠りについてしまったのだった。
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