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第二部 ありがとう、おめでとう よろしくね
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久々に家族全員が実家で顔を合わせて食卓を囲んでいると、桃乃が敦哉と目配せしてから口を開いた。
「敦哉さんとも話したんだけど。柚希、この家に戻ってこない?」
「ここに……」
あんな風に家を出て行かざるを得なかった手前、両親の心遣いはもちろん嬉しかった。柚希の悲願は家族みんなで仲良く暮らすこと。苦労をかけてばかりの母を幸せにすること。
「俺は……」
ちらり、と和哉を見るとすごい目力で『僕は、兄さんと二人っきりになれる場所が欲しい』と訴えかけてきた。二人が番になって一か月半あまり。もしかしたら両親からこう誘われる可能性もあるだろうと想定していた。柚希は予め和哉と相談していた答えを口にする。
「俺も成人した男だから一度家を出たら戻らないよ。でもちょくちょく遊びに来るね」
「そうね……。わかったわ」
最近の母は今まで離れていた時間を取り戻すかのように、やれ夕飯沢山作りすぎたから食べに来て、やれ冬物でいい感じのお洋服を2人分買ったからとりに来てなど、他愛のないことで柚希を呼び出してくれるようになった。
(さんざん心配かけたから、母さんの好きなようにしてあげたい。でも今は和哉との時間も大切にしてあげたい)
恐らく柚希が思っている以上に、柚希は和哉を傷つけ追い込んできたはずなのだ。彼の気持ちを知ってからは余計にそう思った。
番として選んだからには、義弟としてだけでなく、番として、将来の夫として彼を支えて幸せにしてあげる責任がある。
「いずれは、和哉もこの家を出ることになると思う。そうなった時は……。俺に和哉を任せて欲しい。ちゃんと幸せにするから。心配しないで」
「まあ、柚希!」
照れて和哉の方を見ずに、かっぱ巻きを口に頬りこんだら、和哉がテーブルの下で柚希の膝のあたりをぎゅっと握ってきた。促されるように彼を見上げたら、少しだけ目を潤ませている。
「兄さん……、惚れ直す」
「柚くん。和哉をよろしく頼むね」
番になった直後、ふわふわした頭のまま挨拶をした時より、今だからこそもっとしっかり決意を表したかった。柚希は胸を張り、両こぶしを握ると、武士の様にきりっと頭を下げた。
「はい。任せてください」
その後は酒も入って、家族の団欒は和やかに進んだ。家を出ている間の事を忌憚なく話ができるようになったが何よりうれしい。
「ここに帰るたびに有名洋菓子店のスィーツがあるなあって思ってたけど、やっぱりあれ敦哉さんが買ってきてくれてたんだ。ありがとうございます」
「そうそう敦哉さん、柚くんの仕事の助けになればって、地方出張の時も色々お土産買ってきていたのよね~」
敦哉は柚希が家に帰ってくると聞かされると、決まって会社近くで評判がいいと聞きつけたスィーツを捜し歩いては、柚希の為に買ってきてくれたらしい。その気遣いにもジーンと来てしまう。
(和哉の優しいところは、敦哉さん譲りだよなあって思う)
「……あんなことが罪滅ぼしになるとは思っていたわけじゃなかったが、仕事を頑張る柚君に何かをしてあげたかった」
「敦哉さんとも話したんだけど。柚希、この家に戻ってこない?」
「ここに……」
あんな風に家を出て行かざるを得なかった手前、両親の心遣いはもちろん嬉しかった。柚希の悲願は家族みんなで仲良く暮らすこと。苦労をかけてばかりの母を幸せにすること。
「俺は……」
ちらり、と和哉を見るとすごい目力で『僕は、兄さんと二人っきりになれる場所が欲しい』と訴えかけてきた。二人が番になって一か月半あまり。もしかしたら両親からこう誘われる可能性もあるだろうと想定していた。柚希は予め和哉と相談していた答えを口にする。
「俺も成人した男だから一度家を出たら戻らないよ。でもちょくちょく遊びに来るね」
「そうね……。わかったわ」
最近の母は今まで離れていた時間を取り戻すかのように、やれ夕飯沢山作りすぎたから食べに来て、やれ冬物でいい感じのお洋服を2人分買ったからとりに来てなど、他愛のないことで柚希を呼び出してくれるようになった。
(さんざん心配かけたから、母さんの好きなようにしてあげたい。でも今は和哉との時間も大切にしてあげたい)
恐らく柚希が思っている以上に、柚希は和哉を傷つけ追い込んできたはずなのだ。彼の気持ちを知ってからは余計にそう思った。
番として選んだからには、義弟としてだけでなく、番として、将来の夫として彼を支えて幸せにしてあげる責任がある。
「いずれは、和哉もこの家を出ることになると思う。そうなった時は……。俺に和哉を任せて欲しい。ちゃんと幸せにするから。心配しないで」
「まあ、柚希!」
照れて和哉の方を見ずに、かっぱ巻きを口に頬りこんだら、和哉がテーブルの下で柚希の膝のあたりをぎゅっと握ってきた。促されるように彼を見上げたら、少しだけ目を潤ませている。
「兄さん……、惚れ直す」
「柚くん。和哉をよろしく頼むね」
番になった直後、ふわふわした頭のまま挨拶をした時より、今だからこそもっとしっかり決意を表したかった。柚希は胸を張り、両こぶしを握ると、武士の様にきりっと頭を下げた。
「はい。任せてください」
その後は酒も入って、家族の団欒は和やかに進んだ。家を出ている間の事を忌憚なく話ができるようになったが何よりうれしい。
「ここに帰るたびに有名洋菓子店のスィーツがあるなあって思ってたけど、やっぱりあれ敦哉さんが買ってきてくれてたんだ。ありがとうございます」
「そうそう敦哉さん、柚くんの仕事の助けになればって、地方出張の時も色々お土産買ってきていたのよね~」
敦哉は柚希が家に帰ってくると聞かされると、決まって会社近くで評判がいいと聞きつけたスィーツを捜し歩いては、柚希の為に買ってきてくれたらしい。その気遣いにもジーンと来てしまう。
(和哉の優しいところは、敦哉さん譲りだよなあって思う)
「……あんなことが罪滅ぼしになるとは思っていたわけじゃなかったが、仕事を頑張る柚君に何かをしてあげたかった」
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