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黒猫王子は狼騎士に溺愛される🎃(ハッピーハロウィン)

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 するとまた舞台の足元に誰かがやって来て、なにやら柚希に向かって囁いている。

『狼騎士よ。私、黒猫王子をその高潔なる魂をもって、生涯護ることを誓いますか?』

(この声、アコ先生だ!)

 イラストの原案者がいうことだから間違いない。これは天の助けとばかりに、柚希はその言葉を一字一句同じようになぞりながら繰り返した。

「狼騎士よ。私、黒猫王子をその高潔なる魂をもって、生涯護ることを誓いますか?」
 情けないことに緊張でやや裏返り気味になったが、柚希はバスケ部時代のお応援で培った、持ち前の声量ではっきりと皆の前に宣言をした。
 すると狼騎士は垂れていた首を上げ、晴々とした顔で黒猫王子を見上げる。そして蕩けるような笑みを唇にはわした。

「我が誇りにかけまして、誓います。我が君。黒猫王子。愛おしい我が番よ」

『我が番』のところをいやに強調しながら狼騎士の和哉は立ち上がると、剣を手にしたまま呆然と立ち尽くす柚希に向かい合う。

(ええええ、和哉、勝手に設定付け加えていいのか!!)

 そのまま呆然とスマホを握りしめているプリンセスたちを横目に、柚希の短めのジャケットで余計に強調された細腰を引き寄せて抱き上げると、皆に見せつけるように頬にちゅっと音を立ててキスをしてきた。

(和哉!!!!!)

 頬だったのは多分きっと、子どもたちが見ている前での和哉、最大限の配慮のつもりだったのだろう。
 いたずらっぽい眼差しで柚希を惑わす騎士様は、そのまま盛り上がったイベント会場の舞台の上からゆったりとした仕草で皆を一瞥する。そして優雅に礼をして柚希を抱えたまま舞台袖へと引っ込んでいった。
 スピーカーが周りの音まで拾って煩く、会場はざわついていたが、運営の女性が慌てた声でその場を閉めてくれる。

「ええと、騎士様も王子様もお帰りになられたのでこれにて表彰式は終了です。続いて当選番号の発表会にうつります」
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