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黒猫王子は狼騎士に溺愛される🎃(ハッピーハロウィン)
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ぎょっとした柚希が和哉の顔が良く見える位置、ステージの前側に移動をしたら、今度はシンデレラ風ドレスを着て頭にティアラを載せた女の子が負けじと言い返す。
「それなら私も狼騎士様のこと、大好きです! ドーナツ屋さんのSNSで見かけた時からずっと好きでした! 私と付き合ってください!」
いきなりの交際お願いします宣言×2ともあり、コンテストの実行委員をしているお姉さんもあきれ顔だが、周囲は寧ろ盛り上がってきてしまった。
「どっちを選ぶんだ?!」
「色男!」
「騎士様、すごい。もてもて~」
などと囃し立てている中には満面の笑みで腕を振り上げている酒屋の若旦那の姿もある。柚希はあまりのことに成り行きを見守るのが馬鹿馬鹿しくなり、そしてぐっと哀しくなった。
(俺だって和哉の事、大好きだってみんなの前で言ってみたい。それで面と向かって誰からもちゃんと祝福されてみたい。……俺も和哉と年が同じか下だったら、あんな風に素直に和哉に愛されたいって言えたのかな。年が上だったからずっと兄貴面して生きてきたけど、本当は、俺だって……)
「あの。いいですか?」
すると急に両側にあるスピーカーからマイクを通して和哉の声がしてきた。
「申し訳ございません、プリンセス。『狼騎士』には一生涯の忠誠と心を捧げる主がいらっしゃいます。ここにいらしてください。『黒猫王子』」
急に皆からの注目が今度は柚希こと黒猫王子に注がれてしまった。戸惑っていたら、運営をしてくれている眼鏡の女性が、優しい笑顔で舞台下から柚希を手招きしてくれた。
そのまま彼女がプリンセスを一度中央からどかし、ぽっかりと丸い空間を作る。そこには狼騎士姿の和哉が自らの剣の刃を両手で捧げ持って跪き、王子の登場を待っていた。
(これなんか映画とかで見たことがあるシーンだ。騎士を任命する奴だろ)
「王子、刃を私の肩へ」
和哉の前に立った柚希は彼にいわれるまま、模造とはいえそれなりに重さの或る剣の柄を握ると、慎重に狼騎士の銀髪が降りかかった肩に刃を置く。
和哉の美しい顔と逞しい体躯が引き立つ扮装でそんな風に跪かれると、何となく自分も心が引き締まってくるから不思議だ。
「騎士の叙任宣言は何でもいいのです。私は貴方の騎士です。黒猫王子のお心のままに」
跪いた騎士が青い目で熱っぽく黒猫王子を見上げてくる。芝居ではあるが、瞳の奥にある和哉の思いは本物のような気がしていた。
(叙任宣言……。って急に言われても)
戸惑って会場の方を見渡せば、急に始まったイベントのショーに皆が釘付けになって見守っている。
(な、何を言えばいいんだ。俺にアドリブを求めるな)
「それなら私も狼騎士様のこと、大好きです! ドーナツ屋さんのSNSで見かけた時からずっと好きでした! 私と付き合ってください!」
いきなりの交際お願いします宣言×2ともあり、コンテストの実行委員をしているお姉さんもあきれ顔だが、周囲は寧ろ盛り上がってきてしまった。
「どっちを選ぶんだ?!」
「色男!」
「騎士様、すごい。もてもて~」
などと囃し立てている中には満面の笑みで腕を振り上げている酒屋の若旦那の姿もある。柚希はあまりのことに成り行きを見守るのが馬鹿馬鹿しくなり、そしてぐっと哀しくなった。
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「あの。いいですか?」
すると急に両側にあるスピーカーからマイクを通して和哉の声がしてきた。
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そのまま彼女がプリンセスを一度中央からどかし、ぽっかりと丸い空間を作る。そこには狼騎士姿の和哉が自らの剣の刃を両手で捧げ持って跪き、王子の登場を待っていた。
(これなんか映画とかで見たことがあるシーンだ。騎士を任命する奴だろ)
「王子、刃を私の肩へ」
和哉の前に立った柚希は彼にいわれるまま、模造とはいえそれなりに重さの或る剣の柄を握ると、慎重に狼騎士の銀髪が降りかかった肩に刃を置く。
和哉の美しい顔と逞しい体躯が引き立つ扮装でそんな風に跪かれると、何となく自分も心が引き締まってくるから不思議だ。
「騎士の叙任宣言は何でもいいのです。私は貴方の騎士です。黒猫王子のお心のままに」
跪いた騎士が青い目で熱っぽく黒猫王子を見上げてくる。芝居ではあるが、瞳の奥にある和哉の思いは本物のような気がしていた。
(叙任宣言……。って急に言われても)
戸惑って会場の方を見渡せば、急に始まったイベントのショーに皆が釘付けになって見守っている。
(な、何を言えばいいんだ。俺にアドリブを求めるな)
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