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黒猫王子は狼騎士に溺愛される🎃(ハッピーハロウィン)
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和哉は自分も狼騎士の凝りに凝った、しかし自分としては纏うのが気恥ずかしい仮装に着替えつつ、しかし騎士様らしく堂々と商店街に繰り出すことにした。
人生で銀髪にしたりカラーコンタクトをしたのも初めてだし、当然コスプレをしたのも初めてだ。
流石に派手なこの姿で商店街を歩くと人々の視線が一気に自分に集中するのが分かる。とはいえ大学の構内にいる時も街を歩くときも、長身美形の和哉は大抵人からじっと見られやすいので慣れっこといえば慣れっこだ。
「狼騎士様きた~」
小さな子供やその保護者等、前を行く手をすぐに阻まれたが、実行委員の人々が素早く道を開けてくれて、本部のある方へ誘導してくれる。
ちょうど柚希の勤め先のドーナツ屋の前を通ると、店頭にいた三枝が、今日のヘアスタイルのインナーカラーが紫色で、頭に悪魔の角をつけた状態で人垣の向こうから手を振ってくれた。
「やあ、和哉。あ、騎士様か。すごく似合ってるな。一ノ瀬も別人みたいだったけど兄弟して2.5次元って感じ」
和哉は苦笑しながら肩につけられた鎧のせいで若干動かしにくい腕を上げて振り返した。
「三枝さん。そこは『番』同士って言ってください」
「あ、すまん。どうも慣れなくてね。あいつ、もういつも通りに出勤してきてるし」
(いつもどおり、かあ)
番になってから和哉は片時も柚希と離れたくないと日に日に思いが募るのに、柚希の方は仕事に復帰して生き生きと嬉しそうな様子なのだ。
それが和哉にはなんだか物足りない。もっともっと兄からの関心と愛を引き出したくてたまらなくなるのだ。
流石に兄に仕事を辞めさせるまではやりすぎだとは思うし、そこまで柚希を縛り付けるのは良くないと頭では分かっている。
だが四六時中和哉のことを考えて欲しいと思う独占欲は、手に入れてからさらに増すばかりだ。
(思えば兄さんは発情期の最後の方は仕事の心配ばかりしてたよな)
10年近く片思いだった相手が自分に振り向いてくれたというのに何を贅沢な悩みだとも思う。
しかし柚希が他の男と話をしていたり、あまつさえその男が元々柚希のことを気に入っていて可愛がっていた素振りを見せた相手だと、今まで我慢してきた分、タガが外れやすいのだ。
今もまた、子どもたちに景品のお菓子を配る係についているはずの兄に、酒屋の若旦那がべったりと張り付き、何故か腕なんか掴まれているところを目の当りにして、和哉の中の狼が首をもたげ簡単に唸り牙を剥く。
(酒屋のあいつか。晶先輩と兄さんが付き合う前、結構頻繁に店に来るのを誘いに来てたやつだな。気に入らない)
人生で銀髪にしたりカラーコンタクトをしたのも初めてだし、当然コスプレをしたのも初めてだ。
流石に派手なこの姿で商店街を歩くと人々の視線が一気に自分に集中するのが分かる。とはいえ大学の構内にいる時も街を歩くときも、長身美形の和哉は大抵人からじっと見られやすいので慣れっこといえば慣れっこだ。
「狼騎士様きた~」
小さな子供やその保護者等、前を行く手をすぐに阻まれたが、実行委員の人々が素早く道を開けてくれて、本部のある方へ誘導してくれる。
ちょうど柚希の勤め先のドーナツ屋の前を通ると、店頭にいた三枝が、今日のヘアスタイルのインナーカラーが紫色で、頭に悪魔の角をつけた状態で人垣の向こうから手を振ってくれた。
「やあ、和哉。あ、騎士様か。すごく似合ってるな。一ノ瀬も別人みたいだったけど兄弟して2.5次元って感じ」
和哉は苦笑しながら肩につけられた鎧のせいで若干動かしにくい腕を上げて振り返した。
「三枝さん。そこは『番』同士って言ってください」
「あ、すまん。どうも慣れなくてね。あいつ、もういつも通りに出勤してきてるし」
(いつもどおり、かあ)
番になってから和哉は片時も柚希と離れたくないと日に日に思いが募るのに、柚希の方は仕事に復帰して生き生きと嬉しそうな様子なのだ。
それが和哉にはなんだか物足りない。もっともっと兄からの関心と愛を引き出したくてたまらなくなるのだ。
流石に兄に仕事を辞めさせるまではやりすぎだとは思うし、そこまで柚希を縛り付けるのは良くないと頭では分かっている。
だが四六時中和哉のことを考えて欲しいと思う独占欲は、手に入れてからさらに増すばかりだ。
(思えば兄さんは発情期の最後の方は仕事の心配ばかりしてたよな)
10年近く片思いだった相手が自分に振り向いてくれたというのに何を贅沢な悩みだとも思う。
しかし柚希が他の男と話をしていたり、あまつさえその男が元々柚希のことを気に入っていて可愛がっていた素振りを見せた相手だと、今まで我慢してきた分、タガが外れやすいのだ。
今もまた、子どもたちに景品のお菓子を配る係についているはずの兄に、酒屋の若旦那がべったりと張り付き、何故か腕なんか掴まれているところを目の当りにして、和哉の中の狼が首をもたげ簡単に唸り牙を剥く。
(酒屋のあいつか。晶先輩と兄さんが付き合う前、結構頻繁に店に来るのを誘いに来てたやつだな。気に入らない)
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