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黒猫王子は狼騎士に溺愛される🎃(ハッピーハロウィン)
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兄の柚希は商店街の隠れアイドルだった。和哉はそれを良く知っている。
その証拠にハロウィンイベントの準備のため、今朝早朝開店前の美容室に集まってくださった美容師さんも衣装係さんも、その場にはいなかったがキャラクターのデザインをされた方もみんな柚希のファンだ。
和哉は皆役得とばかり、嬉々として柚希の仮装の準備を手伝ってくれていた、今朝の出来事を思い出していた。
「はあ、一ノ瀬んさん、肌真っ白。つるっつる。毛穴もない」
「肌もそうだけど。なに、この愛されオーラ。元々ガツガツしてない品のいいタイプの男前だったから私、好きだったのに~ さっさと年下イケメンと番になっちゃってさ~ むしろ羨ましい。妬けちゃうわ~」
「アコさんそもそも『黒猫王子』は柚希さんのイメージで描いたって言ってなかったっけ? コンテストの時には来られるって言ってたけど、尊すぎて泣いちゃうんじゃない?」
「あはは……。またまた」
(そうやって冗談っぽく話しているけどな、意外とガチ恋の人もいたと思うよ。兄さんの鈍感。まあそこが可愛いんだけど)
女性陣の勢いに押されて、まだちょっと眠そうな柚希はほんのり頬を染めて微笑み返している。和哉は鏡越しにそんな兄の姿を見て、それから無言を貫いていた女性の美容師とも目が合う。今日は商店街に入ってから何度か感じた、値踏みするような視線が絡みつく。和哉は挑発するように大きな目をやや眇めた。
情報通である兄の同僚の三枝さんによれば、店頭販売の柚希の当番日を予測してわざわざ買いに来る青年部の人や、通販のドーナツの運送をお願いしている業者さん、はては別の街にある支店を応援に行ったとき、隣にある洋品店のお姉さんなど、性別問わずファンが多いと以前から聞いていた。
柚希の幸せを願っている人たちが、元々恋人でもなく、まだ学生の義弟であるお前がなぜ柚希の番になったのかと、面と向かって問うてくるものはまだいない。だが今夜の打ち上げと称した酒の席では無礼講的に突っ込みがありそうだ。
(まあ柚希は綺麗で親切で優しいから誰だって好きになるだろうけど、僕以上に柚希を愛していて幸せ人出来る人間はまずいないはずだからね)
その証拠にハロウィンイベントの準備のため、今朝早朝開店前の美容室に集まってくださった美容師さんも衣装係さんも、その場にはいなかったがキャラクターのデザインをされた方もみんな柚希のファンだ。
和哉は皆役得とばかり、嬉々として柚希の仮装の準備を手伝ってくれていた、今朝の出来事を思い出していた。
「はあ、一ノ瀬んさん、肌真っ白。つるっつる。毛穴もない」
「肌もそうだけど。なに、この愛されオーラ。元々ガツガツしてない品のいいタイプの男前だったから私、好きだったのに~ さっさと年下イケメンと番になっちゃってさ~ むしろ羨ましい。妬けちゃうわ~」
「アコさんそもそも『黒猫王子』は柚希さんのイメージで描いたって言ってなかったっけ? コンテストの時には来られるって言ってたけど、尊すぎて泣いちゃうんじゃない?」
「あはは……。またまた」
(そうやって冗談っぽく話しているけどな、意外とガチ恋の人もいたと思うよ。兄さんの鈍感。まあそこが可愛いんだけど)
女性陣の勢いに押されて、まだちょっと眠そうな柚希はほんのり頬を染めて微笑み返している。和哉は鏡越しにそんな兄の姿を見て、それから無言を貫いていた女性の美容師とも目が合う。今日は商店街に入ってから何度か感じた、値踏みするような視線が絡みつく。和哉は挑発するように大きな目をやや眇めた。
情報通である兄の同僚の三枝さんによれば、店頭販売の柚希の当番日を予測してわざわざ買いに来る青年部の人や、通販のドーナツの運送をお願いしている業者さん、はては別の街にある支店を応援に行ったとき、隣にある洋品店のお姉さんなど、性別問わずファンが多いと以前から聞いていた。
柚希の幸せを願っている人たちが、元々恋人でもなく、まだ学生の義弟であるお前がなぜ柚希の番になったのかと、面と向かって問うてくるものはまだいない。だが今夜の打ち上げと称した酒の席では無礼講的に突っ込みがありそうだ。
(まあ柚希は綺麗で親切で優しいから誰だって好きになるだろうけど、僕以上に柚希を愛していて幸せ人出来る人間はまずいないはずだからね)
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