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黒猫王子は狼騎士に溺愛される🎃(ハッピーハロウィン)
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(この子、パン屋のアルバイトしてる子だ)
柚希もそのパン屋にお昼を飼いに行ったりするが、その子も柚希の店にドーナツを良く買いに来てくれる。
同僚の三枝姉さん曰く、スタッフに「カズさんの新作紹介っていつ撮影してるんですか?」と聞いてきたことがあるらしい。明らかに和哉目当てだ。
「柚希、お前気を付けとけよ」と釘を刺されたが、「和哉がモテるのは今に始まったことじゃないですよ~」と照れながら答えて「この、ブラコンめ」と呆れられたものだ。
ばっちりメイクをしたJKは「仕上がった」感じの美しさを持っていて、大学生の和哉と並んでいてもそん色ない大人っぽい雰囲気だ。
和哉はドーナツ店のSNSに、店長の熱いラブコールを受けて、たびたび登場してくれている。
イケメン+新作ドーナツがアップされた時は注目度が違うのだそうだ。それもこれも、和哉ができるだけ多くの接点を柚希と持ちたくて続けてくれたこと。
全ては柚希のためだったと理解している。それでついでにお店に貢献してくれていたわけだ。
和哉目当てにお店に来る女の子がいるという話はこれ以外にも良く聞いたし、柚希はそのたびひそかに複雑な思いを抱いていた。当時柚希には晶がいたし、弟である和哉の恋路にとやかく言える立場ではなかった。
しかし番となった今、話は別だった。
美女と野獣のベル風の黄色いドレスを着て、むぎゅっと胸を和哉の逞しい腕に押し当てているのが見えて、柚希は内心気が気ではない。
(ちょ、くっつきすぎだろ。お前も避けろよ! 和哉!)
恨みがましい視線を送ってしまいそうになるが、ここは「王子様」として我慢せねばならないのが辛い。内心は今すぐ彼女を和哉から引っぺがしたくて堪らない。
柚希はイライラを鎮める代わりに、唇をきゅっと噛み締めた。
「早く~、こっちきてくださいよお」
負けじと今度はシンデレラの恰好をしている子まで逆の腕に絡みついてきて、ベルの恰好をした子に牽制を繰り広げている。後ろに控えている子たちも顔を見合わせて自分たちも行こうか行くまいか迷っているようだ。
(一人引っぺがしたところで次々にっ! 俺の番、モテすぎる、つらっ)
「表彰式がはじまる前に一緒に写真お願いします!」
女の子たちに囲まれた狼騎士は困ったような微笑みを浮かべて、柚希に「ごめんね」と唇の形だけで合図を送ってきた。柚希はいつもの優しい「兄の顔」でこくんっと頷いた。
和哉はもう一度こちらを見てくれると思ったが、女の子たちに勢いよく腕を引かれて、そのままフォトコーナーに華やかな一群を引き連れて行ってしまった。
柚希は胸が小さな炎にちりちりと炙られて、ドス黒い煙が心いっぱいに充満していくような嫌な心地がしてきた。
(そっか、俺、和哉と交際ゼロ日で番になっちゃったからな。今までは兄貴面して和哉がモテるのも、「カズくん恰好いいから好きになっても仕方ないよね」ぐらいの気持ちで思ってたけど……。番目線になったら、こんなにもモヤモヤするんだ)
柚希は自分の中に人生で初めて強く感じた『独占欲』を見つけ、それに翻弄されそうになった。口元はお菓子を配るために笑みを浮かべても、目元では笑えていない柚希だった。
柚希もそのパン屋にお昼を飼いに行ったりするが、その子も柚希の店にドーナツを良く買いに来てくれる。
同僚の三枝姉さん曰く、スタッフに「カズさんの新作紹介っていつ撮影してるんですか?」と聞いてきたことがあるらしい。明らかに和哉目当てだ。
「柚希、お前気を付けとけよ」と釘を刺されたが、「和哉がモテるのは今に始まったことじゃないですよ~」と照れながら答えて「この、ブラコンめ」と呆れられたものだ。
ばっちりメイクをしたJKは「仕上がった」感じの美しさを持っていて、大学生の和哉と並んでいてもそん色ない大人っぽい雰囲気だ。
和哉はドーナツ店のSNSに、店長の熱いラブコールを受けて、たびたび登場してくれている。
イケメン+新作ドーナツがアップされた時は注目度が違うのだそうだ。それもこれも、和哉ができるだけ多くの接点を柚希と持ちたくて続けてくれたこと。
全ては柚希のためだったと理解している。それでついでにお店に貢献してくれていたわけだ。
和哉目当てにお店に来る女の子がいるという話はこれ以外にも良く聞いたし、柚希はそのたびひそかに複雑な思いを抱いていた。当時柚希には晶がいたし、弟である和哉の恋路にとやかく言える立場ではなかった。
しかし番となった今、話は別だった。
美女と野獣のベル風の黄色いドレスを着て、むぎゅっと胸を和哉の逞しい腕に押し当てているのが見えて、柚希は内心気が気ではない。
(ちょ、くっつきすぎだろ。お前も避けろよ! 和哉!)
恨みがましい視線を送ってしまいそうになるが、ここは「王子様」として我慢せねばならないのが辛い。内心は今すぐ彼女を和哉から引っぺがしたくて堪らない。
柚希はイライラを鎮める代わりに、唇をきゅっと噛み締めた。
「早く~、こっちきてくださいよお」
負けじと今度はシンデレラの恰好をしている子まで逆の腕に絡みついてきて、ベルの恰好をした子に牽制を繰り広げている。後ろに控えている子たちも顔を見合わせて自分たちも行こうか行くまいか迷っているようだ。
(一人引っぺがしたところで次々にっ! 俺の番、モテすぎる、つらっ)
「表彰式がはじまる前に一緒に写真お願いします!」
女の子たちに囲まれた狼騎士は困ったような微笑みを浮かべて、柚希に「ごめんね」と唇の形だけで合図を送ってきた。柚希はいつもの優しい「兄の顔」でこくんっと頷いた。
和哉はもう一度こちらを見てくれると思ったが、女の子たちに勢いよく腕を引かれて、そのままフォトコーナーに華やかな一群を引き連れて行ってしまった。
柚希は胸が小さな炎にちりちりと炙られて、ドス黒い煙が心いっぱいに充満していくような嫌な心地がしてきた。
(そっか、俺、和哉と交際ゼロ日で番になっちゃったからな。今までは兄貴面して和哉がモテるのも、「カズくん恰好いいから好きになっても仕方ないよね」ぐらいの気持ちで思ってたけど……。番目線になったら、こんなにもモヤモヤするんだ)
柚希は自分の中に人生で初めて強く感じた『独占欲』を見つけ、それに翻弄されそうになった。口元はお菓子を配るために笑みを浮かべても、目元では笑えていない柚希だった。
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