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HAPPY START3

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 部屋が昏くなってきて、今は夜に向かう時刻だとようやくわかった。
 しっとりと落ち着いた空間に戻ったが、和哉はお日様の光の下で活動しているような輝く存在感を放っている。和哉は幼い頃、バスケのシュートを決めた時など、こんなふうにいつでも屈託ない笑顔をしていた。
 生来はこういう陽の光が似合う青年なのだ。それを柚希が翳りの中に押し込めてしまっていたようなものだ。
 少しずつ愁いを帯びた笑顔を浮かべるようになっていたのは、今思えば柚希への報われぬ恋に身をやつしていたからなのだろう。

(俺なんかを好きになったから……)
 
 しかし久しぶりに和哉をこんないい笑顔をもたらしたのもまた自分なのかと思うと柚希は少しほっとして、誰構わず申し訳なくて、そして晶のことが頭を過ってまた胃の腑が小さく締め付けられた気持ちになった。
 だがそれは努めて顔には出さなかった。
   
 柚希がやや思案気な顔をして傾けた白い項に、和哉が感極まったような泣き笑いみたいな表情で吸い寄せられるようにそろりと手を伸ばしてきた。

 痛みを覚えるその部位は敏感で、流石に触られたら堪らないと柚希は身体を引いた。それがまた拒んでいるように取られたかと心配になり恐る恐る上目遣いに見上げたが、和哉は気分を害することなく溢れる笑顔のままだ。

「ごめん。嬉しすぎて、手当てしたのに何回でも見たくなっちゃうんだよね」

 ずきんずきんと痛む項に張られているガーゼとテープのやや引き連れた感じが伝わり、そこから今度は消えてはいない幾たびの生々しくも情熱的な交接の記憶が呼び起される。完全とはいかないが、きちんと残っていた。
 人生で感じたことがない程の快感と繰り返し囁かれる愛の言葉、奥を穿つ和哉の杭は熱く硬く、いつまでも絶えることのない交接にイキすぎて気をやりながらも、意識が戻ればまた柚希も彼を求めて続けていた。   
 初めての和哉との深い触れ合いだったのにもかかわらず、何か懐かしさも覚える熱い掌に翻弄され、だが時には自らの身体で和哉を惑わし墜とした。

『かずぅ。もっと、ちょうだいってばぁ!』

 強請れば訪れる更なる快楽に溺れ、互いの息遣いだけが聞こえる間にも何度も唇を交わし、少しでも身体が離れれば、すすり泣いて欲しがった。
 和哉がいくらでも身を捧げんとばかりに抱き寄せて強く強く抱きしめてくれると、安心してまた欲しくなる。

『柚希……、何度でも僕をあげるね?    沢山あげるから……』   
『沢山ちょうだい! すき。かずは、おれのなの! ぎゅっとして!』

「ぐわあぁぁ!!!    恥ずかしくて死ぬ!」
「何1人で悶えてるの?    えっちだなあ」
「くううっ」

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