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欲望の加速
欲望の加速11
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柚希を一瞬でも手に入れたような心地になり、あれほど手に入れたかった細くもしっかりとした骨格の悩ましい身体を揺さぶっている時、確かに兄との間に一体感を感じて頭の中は快感で満たされた気がした。
しかし真新しい客用布団にいった夥しく放った精液と共に、夢見心地の気分まで全て霧散した。
(柚希、兄さん……。目を覚ませ。僕を見て)
柚希は再び泥酔し、ぐちゃぐちゃになった互いの身体をどうにかせねばとおもい何度も自分に号令をかけたが、それでも和哉は柚希の身体を離すことができなかった。
まんじりともせずに微睡んで……。白む朝を待たずに彼の身体を清めて洗濯物を出し、再び共に添い寝をして横になった。腕枕をしながら乱れた黒髪を優しく撫でつけると、胸に擦り寄ってくる。誰だと思ってしている仕草なのかを考えると空しくて……。
和哉もひと時瞼を瞑ると、温かな身体をくっつけてねむっているというこの事実だけを幸せと思い込もうと柚希の身体をぎゅっと抱き寄せた。
翌日は昼近くになってやっと目を覚まし、二日酔いで頭を押さえて呻く柚希を甲斐甲斐しく介抱して礼を言われ続けた。
昨晩の熱く狂おしいやり取りを何も知らぬ柚希が哀れででも憎たらしくて、しかしすまなそうな顔で笑いかけてくれるのが誰より可愛くて。
柚希を一時でも手に入れた気持ちになって愛情が全身から溢れ零れるようでも、この気持ちを今伝えるべきかを判断ができず。
すべての感情が混ぜこぜの17歳の和哉はもう、このまま気持ちを抑えきれずに長きにわたる片思いを告白してしまおうと決心した。
しかし柚希は再び忙しい毎日を過ごし、バイトも遅くまでしてから帰り、帰宅後はすぐに眠ってしまいと、7年越しの片思いを告白するには適当でない夜が続いた。
愛する人に、一世一代の告白するならば、おざなりのそれでは嫌だった。
柚希の時間がしっかりとれる日が良いと週末の柚希のバイトがない、二人で買い物に行くと決めていた日に、柚希が以前からいきたいといっていた古民家の甘味処でと狙いを定めた。
次のお互いの休みには……と何べんも何べんも告白の言葉を考えていた平日。そうあの日から一週間待たずして、柚希は発情した。
柚希はやはりΩであると宣告された現実を受け入れられないようだった。
家族のいない隙に別に医師に『どうしたらβに戻れるのか?』と聞いて否定され、泣いて泣いて取り乱していたと医師から桃乃が聞かされた。
そののちは落ち着いて、三日後色々な検査の結果退院することになった。柚希は柚希なりに沢山悩んであんなに大好きだった義父と物理的な距離をとるために家を出る決心を固めた。
真面目で家族思いで地に足をつけた柚希らしい答えだったが、責任を感じていた敦哉は血相を変えてそれを止めた。
そんなことをする必要はない、今後は抑制剤をしっかり服用するし、ヒートの時には自分がホテル住まいに移ると敦哉が説得しても、母がそれならば昔と同じように二人でアパートに越しましょうと柚希に訴えても。外でオメガが一人で暮らすことの危険性をまざまざと和哉が説いても。
いつもは和哉の言うことには素直に耳を傾けて我儘を聞いてくれる柚希なのに頑として譲らなかった。
「俺、こんな身体になっちまってごめんな?? みんなには迷惑をかけたくないし。俺ももう成人してるから一人暮らししてもおかしくないだろ? 環境を変えて一から出直すから、これから自分がこの身体で生きていくって自分でも納得できないと、とても前に進めそうにない……。」
柚希は柔軟な考え方ができる人だから、わりとすぐに自分がΩであることをうけいれるのではないかと安易に考えていただ。それだけに柚希がΩとして変化したことの嬉しさに内心浮かれ切っていた和哉は、自分が巻き起こした事態に冷や水を浴びせかけられた心地になった。
(兄さんは僕が思っている以上に、βのままで居たかったんだ。僕が今まで兄さんにしたことをすべてを告白して僕がαだと知れたら……。兄さんはもう僕を弟としても愛してくれなくなる?)
しかし真新しい客用布団にいった夥しく放った精液と共に、夢見心地の気分まで全て霧散した。
(柚希、兄さん……。目を覚ませ。僕を見て)
柚希は再び泥酔し、ぐちゃぐちゃになった互いの身体をどうにかせねばとおもい何度も自分に号令をかけたが、それでも和哉は柚希の身体を離すことができなかった。
まんじりともせずに微睡んで……。白む朝を待たずに彼の身体を清めて洗濯物を出し、再び共に添い寝をして横になった。腕枕をしながら乱れた黒髪を優しく撫でつけると、胸に擦り寄ってくる。誰だと思ってしている仕草なのかを考えると空しくて……。
和哉もひと時瞼を瞑ると、温かな身体をくっつけてねむっているというこの事実だけを幸せと思い込もうと柚希の身体をぎゅっと抱き寄せた。
翌日は昼近くになってやっと目を覚まし、二日酔いで頭を押さえて呻く柚希を甲斐甲斐しく介抱して礼を言われ続けた。
昨晩の熱く狂おしいやり取りを何も知らぬ柚希が哀れででも憎たらしくて、しかしすまなそうな顔で笑いかけてくれるのが誰より可愛くて。
柚希を一時でも手に入れた気持ちになって愛情が全身から溢れ零れるようでも、この気持ちを今伝えるべきかを判断ができず。
すべての感情が混ぜこぜの17歳の和哉はもう、このまま気持ちを抑えきれずに長きにわたる片思いを告白してしまおうと決心した。
しかし柚希は再び忙しい毎日を過ごし、バイトも遅くまでしてから帰り、帰宅後はすぐに眠ってしまいと、7年越しの片思いを告白するには適当でない夜が続いた。
愛する人に、一世一代の告白するならば、おざなりのそれでは嫌だった。
柚希の時間がしっかりとれる日が良いと週末の柚希のバイトがない、二人で買い物に行くと決めていた日に、柚希が以前からいきたいといっていた古民家の甘味処でと狙いを定めた。
次のお互いの休みには……と何べんも何べんも告白の言葉を考えていた平日。そうあの日から一週間待たずして、柚希は発情した。
柚希はやはりΩであると宣告された現実を受け入れられないようだった。
家族のいない隙に別に医師に『どうしたらβに戻れるのか?』と聞いて否定され、泣いて泣いて取り乱していたと医師から桃乃が聞かされた。
そののちは落ち着いて、三日後色々な検査の結果退院することになった。柚希は柚希なりに沢山悩んであんなに大好きだった義父と物理的な距離をとるために家を出る決心を固めた。
真面目で家族思いで地に足をつけた柚希らしい答えだったが、責任を感じていた敦哉は血相を変えてそれを止めた。
そんなことをする必要はない、今後は抑制剤をしっかり服用するし、ヒートの時には自分がホテル住まいに移ると敦哉が説得しても、母がそれならば昔と同じように二人でアパートに越しましょうと柚希に訴えても。外でオメガが一人で暮らすことの危険性をまざまざと和哉が説いても。
いつもは和哉の言うことには素直に耳を傾けて我儘を聞いてくれる柚希なのに頑として譲らなかった。
「俺、こんな身体になっちまってごめんな?? みんなには迷惑をかけたくないし。俺ももう成人してるから一人暮らししてもおかしくないだろ? 環境を変えて一から出直すから、これから自分がこの身体で生きていくって自分でも納得できないと、とても前に進めそうにない……。」
柚希は柔軟な考え方ができる人だから、わりとすぐに自分がΩであることをうけいれるのではないかと安易に考えていただ。それだけに柚希がΩとして変化したことの嬉しさに内心浮かれ切っていた和哉は、自分が巻き起こした事態に冷や水を浴びせかけられた心地になった。
(兄さんは僕が思っている以上に、βのままで居たかったんだ。僕が今まで兄さんにしたことをすべてを告白して僕がαだと知れたら……。兄さんはもう僕を弟としても愛してくれなくなる?)
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