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欲望の加速

欲望の加速5

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「んっ……」 

 義兄の鼻にかかったどこか甘い声に煽られ、胸の奥底に灯った情欲の火が煽られる。
和哉は柚希が目を覚まさないのをいいことに子どもの頃のワンちゃんごっことは一線を確実に超えた、濃厚な口づけを繰り返す。
角度を変えて何度も味わう慎ましい形の唇はなんだか小さく感じられた。それは和哉自身が成長したからに他ならないだろう。

(あと少しだけ……。少しだけ……)

 柚希に嫌われたくはないが、この行為がばれたらばれたで即、思いを伝えてその場で全て奪ってしまおう。
そんな威勢がむずむずと腹の奥に生まれたが、いやしかしどうしても嫌われたくはないからなんとか言い訳を考えねばといじいじと考える。
 しかし手の中にある熱い身体をまさぐっているうちに、次第にそんなこと全てどうでもよくなってきた。
 呼吸すら奪うように口を全て覆うと、苦し気に色っぽく身をよじる柚希が目が醒めそうになる。柚希が眉を寄せ、涙を浮かべて苦しそうにすると僅かに唇を離し、しかしまた覆って、兄の吐息を管理する様にぎりぎりの線を攻めて、自分が兄の全てを握っているような錯覚にぞくぞくとした快感を覚える。このまま起きてしまえばいいのにという気持ちと、まだ今は知られたくないという気持ちがせめぎ合う。

 ちゅっとわざと大きめに音を立てて唇を離すと、すでに兆した股間が痛い程で、このまま布団の中に滑り込み、身体を擦り付け抑え込み、共寝をしてしまいたくて仕方がなくなる。

「柚希っ」

(愛してる、愛してる。兄さんがΩじゃなくても本当はいいんだ……。君が僕だけを特別に好きになってくれるなら、なんだっていい。僕だけを意識して、僕だけに……)

 自分のモノのように名前を呼んで、頭の中で届かぬ告白をして。
 顔から火が吹きそうなほど熱く昂る身体をなんとか柚希からひき離して自室に逃げ帰る。
 部屋に帰ると布団の中に飛び込んでかつて浴室や着替える時など盗み見た、真っ白な柚希の艶めかしい身体を頭一杯に想像する。
 先ほど実際に味わった感触や、夏場学生服の半袖シャツから覗く二の腕を後ろから抱きしめながらするりと触った時の滑らかな手触りを必死に手掛かりとして柚希の全身の素肌の味を想像しながら重たく滾るペニスに手を伸ばし、抜いたことなど数限りない。

 そんなことを半年近く繰り返したのち、ついに二人きりになれるチャンスが巡ってきた。
 父に出張が入り、母も学生時代の友人との旅行で出かけている時がたまたま同時に起こった時、和哉はもっと大胆な方法に打って出たのだ。

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