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約束
約束4
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(そうならない様に、僕が柚にいを守ってやらなきゃ。でも今は柚にいに、僕にもっともっとメロメロになってもらわないとね? 柚にいが高校に行っても大学に行っても、ずっと僕のことを可愛がってくれるように)
和哉はこれまでも顔立ちは女の子みたいに綺麗だったけれど背丈は低い方ではなかったので、『王子様みたい』とか女子からちやほやされることも多かった。しかし人からしつこくべったりされたり、必要以上に構われるのは苦手で、母のことがあってからはより皆の環の中から少し外れていた。周りも腫れ物にでも触る様にそれを黙認し教室でも一人憂い顔で物思いにふけっていることが多かった。
そんな和哉なのに柚希の前ではお得意の愛嬌を使ってかまえかまえと『わんちゃんごっこ』までして、手を変え品を変えて誘惑しようとしてしまう。
前にテレビで仔犬の特集をしていた時、キュンキュン啼く仔犬の物まねをしたら柚希がいたく気に入ってお得意のキラキラした目で和哉を見つめてきた。
喜ばせようとやっているうちにくだらないけれど二人の間で定番のおふざけ遊びになっていた。
わんわん!なんてクラスの奴らに見られたら憤死しそうだけれど、柚希が喜ぶならなんだって喜んでしてしまう。
(柚にいは、ちょっと母さんに似てる、俺のこの顏大好きだもんね?)
しつこく背中にしがみついて、シャツ越しにも直接にも柚希の柔い素肌を甘噛みするたび、和哉の幼い欲は満たされ、柚季も仕方ないなあというふうに手を止めて頭を撫ぜてくれる。顎の辺りをソフトに指先で撫ぜ触れられるとたまらなく心地よかった。
(僕……。柚にいのこと、好きだな)
誰かを好きだと思う気持ちは胸の中でひときわ輝き温かくて病みつきになりそうだ。
これから更なる成長を迎えるであろうその手はまだ白くほっそりと少女のように優美で、切れ長でありつつ大きくぱっちりと開く独特の美しい瞳は細めると美しくしなやかな猫の目ようだ。
最愛の母の死にぽっかりと空いた心のうろを、いつだって柚希の溢れる愛情で満たし続けて欲しくて。
この人の際立つ美しい視線をどうしたらいつでも自分にだけ向けておけるのか、どうしたらもっともっとこの人に愛されるのか。
和哉はいつの間にかそんな事ばかり考えて生きるようになっていた。
和哉はこれまでも顔立ちは女の子みたいに綺麗だったけれど背丈は低い方ではなかったので、『王子様みたい』とか女子からちやほやされることも多かった。しかし人からしつこくべったりされたり、必要以上に構われるのは苦手で、母のことがあってからはより皆の環の中から少し外れていた。周りも腫れ物にでも触る様にそれを黙認し教室でも一人憂い顔で物思いにふけっていることが多かった。
そんな和哉なのに柚希の前ではお得意の愛嬌を使ってかまえかまえと『わんちゃんごっこ』までして、手を変え品を変えて誘惑しようとしてしまう。
前にテレビで仔犬の特集をしていた時、キュンキュン啼く仔犬の物まねをしたら柚希がいたく気に入ってお得意のキラキラした目で和哉を見つめてきた。
喜ばせようとやっているうちにくだらないけれど二人の間で定番のおふざけ遊びになっていた。
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しつこく背中にしがみついて、シャツ越しにも直接にも柚希の柔い素肌を甘噛みするたび、和哉の幼い欲は満たされ、柚季も仕方ないなあというふうに手を止めて頭を撫ぜてくれる。顎の辺りをソフトに指先で撫ぜ触れられるとたまらなく心地よかった。
(僕……。柚にいのこと、好きだな)
誰かを好きだと思う気持ちは胸の中でひときわ輝き温かくて病みつきになりそうだ。
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最愛の母の死にぽっかりと空いた心のうろを、いつだって柚希の溢れる愛情で満たし続けて欲しくて。
この人の際立つ美しい視線をどうしたらいつでも自分にだけ向けておけるのか、どうしたらもっともっとこの人に愛されるのか。
和哉はいつの間にかそんな事ばかり考えて生きるようになっていた。
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