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可愛い弟
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柚希の方もパンをあっという間に二口、三口と食べたところで、父よりずっと丁寧な運転をしてくれる和哉の様子が気になった。
(こいつ、こんなに飴が好きだったっけ? あ、そうか学校から直接ここきてくれて、今この時間じゃ、昼飯食べてないかもな。腹減ってるけどずっと運転中だから飴食べてんのか)
「和哉、腹減ってるだろ? お前も食べる?」
「うん。あーん」
丁度信号で止まったから、生クリームパンを口元まで差し出すと、和哉は飴の棒を取り出して、代わりに子どもの頃のように大きく口を開けた。
無邪気にも見えるその仕草に柚希が蕩けるように甘く微笑んだので、それを見て和哉もまた照れもせず穏やかに微笑み返してきた。
やはり腹が減っていたのか和哉も大口でパンを齧り取ってきた。柔らかな唇が指に当たるがもう一口、さらに一口と食べ進める。ふいに中指と薬指にかりっと歯を当てられ甘噛みをされた。
驚いて僅かに目を見張りながら和哉を見つめると、うっそりと瞳を細めて悪戯っ子っぽく微笑む顔つきの中に精悍な男の色気も感じて、不覚にもドキッとしてしまった。
追い打ちをかけるように唇と柔らかな熱い舌が指についた生クリームごと舐めとっていった。
「あっ……」
思わず口を押えたが遅かったようだ。発情期に差し掛かり身体中が敏感になっているせいなのか、思わず切なげな吐息を漏らしてしまう。
ぞくぞくぞくぞくっと背筋から尾てい骨の辺りまで甘い疼きが駆け抜ける。
柚希は涙目で和哉を睨むと彼は一瞬瞳を見開いた後、こちらを揶揄うような艶やかにすら見える笑みを残してから、正面を向きなおして車を再発進させた。
艶めかしい雰囲気を払しょくする様に、ごしごしとシャツで指を拭いた柚希は慌てて窓を開けると車窓から平日の街中を眺めて顔の火照を隠そうとした。
一瞬また金木犀の香りが漂った気がしたが吹き込んだ風に流される。
「噛みつくなよ。お前! 子供の頃の癖、直ってないな」
「なにが?」
「とぼけんなよ。……ちっちゃい頃、よく俺に噛みついてただろ、べろべろ舐めたり噛んだりさ」
「そうだっけ?」
「嘘だと思うならみてみろよ。ここ! まだ痕残ってるんだからな」
首筋に残るちっちゃな噛み痕は再婚直後ぐらいの頃にふざけてワンちゃんごっこをしている時に和哉が柚希につけた痕の一つだ。
首の他には鎖骨の上、二の腕にも薄っすらとだが痕がある。
むきになってシャツを寛げ、母親似の真っ白な肌を晒した柚希に、運転中の和哉はミラー越しに意味深な笑みを目元に刻む。
(こいつ、こんなに飴が好きだったっけ? あ、そうか学校から直接ここきてくれて、今この時間じゃ、昼飯食べてないかもな。腹減ってるけどずっと運転中だから飴食べてんのか)
「和哉、腹減ってるだろ? お前も食べる?」
「うん。あーん」
丁度信号で止まったから、生クリームパンを口元まで差し出すと、和哉は飴の棒を取り出して、代わりに子どもの頃のように大きく口を開けた。
無邪気にも見えるその仕草に柚希が蕩けるように甘く微笑んだので、それを見て和哉もまた照れもせず穏やかに微笑み返してきた。
やはり腹が減っていたのか和哉も大口でパンを齧り取ってきた。柔らかな唇が指に当たるがもう一口、さらに一口と食べ進める。ふいに中指と薬指にかりっと歯を当てられ甘噛みをされた。
驚いて僅かに目を見張りながら和哉を見つめると、うっそりと瞳を細めて悪戯っ子っぽく微笑む顔つきの中に精悍な男の色気も感じて、不覚にもドキッとしてしまった。
追い打ちをかけるように唇と柔らかな熱い舌が指についた生クリームごと舐めとっていった。
「あっ……」
思わず口を押えたが遅かったようだ。発情期に差し掛かり身体中が敏感になっているせいなのか、思わず切なげな吐息を漏らしてしまう。
ぞくぞくぞくぞくっと背筋から尾てい骨の辺りまで甘い疼きが駆け抜ける。
柚希は涙目で和哉を睨むと彼は一瞬瞳を見開いた後、こちらを揶揄うような艶やかにすら見える笑みを残してから、正面を向きなおして車を再発進させた。
艶めかしい雰囲気を払しょくする様に、ごしごしとシャツで指を拭いた柚希は慌てて窓を開けると車窓から平日の街中を眺めて顔の火照を隠そうとした。
一瞬また金木犀の香りが漂った気がしたが吹き込んだ風に流される。
「噛みつくなよ。お前! 子供の頃の癖、直ってないな」
「なにが?」
「とぼけんなよ。……ちっちゃい頃、よく俺に噛みついてただろ、べろべろ舐めたり噛んだりさ」
「そうだっけ?」
「嘘だと思うならみてみろよ。ここ! まだ痕残ってるんだからな」
首筋に残るちっちゃな噛み痕は再婚直後ぐらいの頃にふざけてワンちゃんごっこをしている時に和哉が柚希につけた痕の一つだ。
首の他には鎖骨の上、二の腕にも薄っすらとだが痕がある。
むきになってシャツを寛げ、母親似の真っ白な肌を晒した柚希に、運転中の和哉はミラー越しに意味深な笑みを目元に刻む。
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