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可愛い弟
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父の敦哉も晶も、手足は長くがっしりしつつも尻はきゅっと引き締まって、その鍛え上げられたセクシーな体格は骨格からして日本人離れしている。
和哉も今ではその眩い造形美の仲間入りをしていることが、兄として誇らしくも思う。
だからといってお姫様抱っこで外まで歩かれては兄の沽券にかかわるというものだ。
「でもちょっとまて、流石にまだ自分で歩けるって」
「このアパート、階段急なんだから、ふらついて落ちたら大変だろ。大人しく掴まってて」
和哉が小首を少し傾げ、目配せしてきた。暗に首に手を回せと言っているのだと察した柚希は仕方なく指示に従うと、明るい綺麗な茶色の前髪を僅かに揺らし、同年代の女の子なら即落ちしそうな人懐っこくふんわり明るい笑顔を見せた。
「素直でよろしい」
(くそっ、ただのイケメンじゃねぇか。ほんっと、生意気なっ)
そういうと和哉は抜群の安定感で荷物も柚希も一緒くたに車まで運び入れ、再び軽やかに二階に駆け上がると施錠をし柚希の靴をもって降りてきてくれた。
父の車はいわゆるセダンタイプのファミリーカーだ。再婚した時に張り切って買った中古車で、下見に行ったはずが男三人が笑顔で車に乗り込んで帰ってきた時には母は大いに呆れたものだった。
そもそも母より4つ年下の父は柚希とは20歳も年が離れておらず、スポーツもアウトドアも大好き。α性をもつ義父は若々しくて当時なんて黙っていたら学生に見えたかもしれぬほど。そこらへんでお目に掛かれない体躯はずば抜けて格好が良くて、どちらかといえば年の離れたお兄ちゃんができたようで柚希はこの再婚がとても嬉しかった。
勿論その父の血を引いた和哉も父に瓜二つとまではいかないが、怜悧な面差しと均整がとれつつがっしりした体格がとても似ている。笑うと愛嬌漂う目元にはさらに甘さが足されたような今風のイケメンだ。
優しくて誰にでも親切な弟は、昔父の敦哉を見た時に大きくなったら和哉もこんな感じの男前になるのかな?とドキドキした通り、飛び切り素敵な青年に育った。
柚希の実の父は母より20歳も年上のα男性で、柚希も抱き上げて膝に乗せてもらってよく可愛がっては貰ったが、いつも書斎で物静かに本を読んでいるような大人しい男性だった。
髪も真っ白だったから、父というよりお爺ちゃんに近い雰囲気だった。名家の出身で、ずっと独身をとおすものだと思っていた親族や兄弟の思惑をよそに秘書をしていた母と結婚。
しかし結婚生活の大部分は病を経た父の看病に母は明け暮れていた。そしてついには柚希が10歳の時に亡くなってしまった。
和哉も今ではその眩い造形美の仲間入りをしていることが、兄として誇らしくも思う。
だからといってお姫様抱っこで外まで歩かれては兄の沽券にかかわるというものだ。
「でもちょっとまて、流石にまだ自分で歩けるって」
「このアパート、階段急なんだから、ふらついて落ちたら大変だろ。大人しく掴まってて」
和哉が小首を少し傾げ、目配せしてきた。暗に首に手を回せと言っているのだと察した柚希は仕方なく指示に従うと、明るい綺麗な茶色の前髪を僅かに揺らし、同年代の女の子なら即落ちしそうな人懐っこくふんわり明るい笑顔を見せた。
「素直でよろしい」
(くそっ、ただのイケメンじゃねぇか。ほんっと、生意気なっ)
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そもそも母より4つ年下の父は柚希とは20歳も年が離れておらず、スポーツもアウトドアも大好き。α性をもつ義父は若々しくて当時なんて黙っていたら学生に見えたかもしれぬほど。そこらへんでお目に掛かれない体躯はずば抜けて格好が良くて、どちらかといえば年の離れたお兄ちゃんができたようで柚希はこの再婚がとても嬉しかった。
勿論その父の血を引いた和哉も父に瓜二つとまではいかないが、怜悧な面差しと均整がとれつつがっしりした体格がとても似ている。笑うと愛嬌漂う目元にはさらに甘さが足されたような今風のイケメンだ。
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髪も真っ白だったから、父というよりお爺ちゃんに近い雰囲気だった。名家の出身で、ずっと独身をとおすものだと思っていた親族や兄弟の思惑をよそに秘書をしていた母と結婚。
しかし結婚生活の大部分は病を経た父の看病に母は明け暮れていた。そしてついには柚希が10歳の時に亡くなってしまった。
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