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逃避
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(とにかく俺が悪い……。このまま煮え切らないんじゃ、やっぱダメだよな。晶みたいないいやつのこと、好きになる子はこれまでもこれからもいっぱい居るだろうし。この発情期終わったら、あいつときちんと別れてやらないと、な……)
しかしこんな人生の一大事、付き合って数か月で決心が付けられるわけがないとも思う。何人でも番が持てるαと違ってΩは番を作れるのは一生に一度なのだから。
(いっそ……。強引に有無を言わせずに奪ってくれたら。踏ん切りもつくのかな? それが俺の運命なんだって)
いつもきっちりと背筋を伸ばした真面目な晶。真面目な性格で仕事も手を抜かないようでいつも忙しそうにしている。そんな彼がふらりと週末に柚希の家を訪ねてきたとき、傍にいるときはとても寛いだ様子で整った顔を大きく崩して、豪快にあくびをしたりする。
そんな時、彼のα特有の大きく発達した犬歯が清潔感溢れる口元からちらりと覗き見える。それに言いようもない興奮を覚えるのはやはり柚希がだからなのかもしれない。
がっしりと身体の大きな彼に背後から押さえつけられ、口に含み切れぬほど大きなアレを嵌められ、思うさま揺さぶられたら。そしてがつがつと遠慮なく突き上げられながら首筋に牙を突き立てられたら。きっと想像もできないほど、途方もない快感が待ち受けているのだろう。
怖くてたまらないくせに、そんな身勝手なことを想像して、柚希は熱い吐息を漏らして乾いた唇を舌で湿らせながら布団の中で震えた。
今もまた少しずつ腹の中で逆巻く熱の怠くて甘い疼きにたえながら胎児のように丸まり布団にくるまったままの状態でいた。そんな柚希の耳に、がちゃがちゃっとドアノブが回される音が聞こえてきた。
鍵をかけているのでここに入ってこられるのは合い鍵を渡している家族と晶だけだ。
しかし一瞬だけ、もしかして晶が来たのではないかと身を強張らせ緊張する。あんなことを想像しているくせに、でも惑ってばかりの自分は、どんな顔をして恋人に会えばいいのかわからなかったからだ。
「柚兄 大丈夫?」
眩しい陽光がダイニングまで差しこんで、ふわりと果物に似た芳醇な甘い香りが漂ってきた。隣の公園にはこの時期金木犀の花が芳香を漂わせるからその香りが風に運ばれてきたのだろう。
ゆっくりと首をもたげるとコンビニ袋を手に下げた弟の和哉が乱れたベッドの上、ぐったりした柚希を見おろしていた。
(……晶は今仕事中。来るはずないか)
中々自分からは顔を見に行けない弟がこうして駆けつけてくれたことはもちろん嬉しい。しかし一瞬でも晶が来てくれたのかもと期待し、期待したくせに来なかったことにほっとする。
(俺って本当に身勝手だ……)
見上げたら心配げな表情の弟と目がある。柚希は目を瞑って大きく息を吐きだした。
しかしこんな人生の一大事、付き合って数か月で決心が付けられるわけがないとも思う。何人でも番が持てるαと違ってΩは番を作れるのは一生に一度なのだから。
(いっそ……。強引に有無を言わせずに奪ってくれたら。踏ん切りもつくのかな? それが俺の運命なんだって)
いつもきっちりと背筋を伸ばした真面目な晶。真面目な性格で仕事も手を抜かないようでいつも忙しそうにしている。そんな彼がふらりと週末に柚希の家を訪ねてきたとき、傍にいるときはとても寛いだ様子で整った顔を大きく崩して、豪快にあくびをしたりする。
そんな時、彼のα特有の大きく発達した犬歯が清潔感溢れる口元からちらりと覗き見える。それに言いようもない興奮を覚えるのはやはり柚希がだからなのかもしれない。
がっしりと身体の大きな彼に背後から押さえつけられ、口に含み切れぬほど大きなアレを嵌められ、思うさま揺さぶられたら。そしてがつがつと遠慮なく突き上げられながら首筋に牙を突き立てられたら。きっと想像もできないほど、途方もない快感が待ち受けているのだろう。
怖くてたまらないくせに、そんな身勝手なことを想像して、柚希は熱い吐息を漏らして乾いた唇を舌で湿らせながら布団の中で震えた。
今もまた少しずつ腹の中で逆巻く熱の怠くて甘い疼きにたえながら胎児のように丸まり布団にくるまったままの状態でいた。そんな柚希の耳に、がちゃがちゃっとドアノブが回される音が聞こえてきた。
鍵をかけているのでここに入ってこられるのは合い鍵を渡している家族と晶だけだ。
しかし一瞬だけ、もしかして晶が来たのではないかと身を強張らせ緊張する。あんなことを想像しているくせに、でも惑ってばかりの自分は、どんな顔をして恋人に会えばいいのかわからなかったからだ。
「柚兄 大丈夫?」
眩しい陽光がダイニングまで差しこんで、ふわりと果物に似た芳醇な甘い香りが漂ってきた。隣の公園にはこの時期金木犀の花が芳香を漂わせるからその香りが風に運ばれてきたのだろう。
ゆっくりと首をもたげるとコンビニ袋を手に下げた弟の和哉が乱れたベッドの上、ぐったりした柚希を見おろしていた。
(……晶は今仕事中。来るはずないか)
中々自分からは顔を見に行けない弟がこうして駆けつけてくれたことはもちろん嬉しい。しかし一瞬でも晶が来てくれたのかもと期待し、期待したくせに来なかったことにほっとする。
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見上げたら心配げな表情の弟と目がある。柚希は目を瞑って大きく息を吐きだした。
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