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逃避
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高校卒業後は晶は有名大学、柚希は製菓の専門学校に進学した。
卒業後何年かしてバスケ部のチームメイトの飲み会があった。そこで再会した時、晶は誰でも一度は名前を聞くような大企業に就職が内定していた。
すっかり頼もしい大人の男に成長していた晶から『ユズ先輩。俺と付き合いませんか?』なんてストレートに告白された時には、驚いて心臓が口から飛び出るかと思ったものだ。
柚希がΩ判定を受けたことは昔の仲間に率先して話した訳では無い。
むしろ判定を受けた後は専門学校の勉強、その後は仕事が忙しくてといちいち理由をつけては昔のバスケ仲間の集まりから疎遠になっていた。
判定から二年が経ってから元バスケ部の新年会の誘いをもらった時、懐かしさと縁が切れかけていた寂しさも手伝って、柚希は昔の仲間と勇気をだして会ってみようと思ったのだ。
しかし噂とはどこからともなく漏れるもので、その日の飲み会はかつての司令塔で副キャプテンがなんとΩに変化していたという話題で持ち切りになっていた。
仕事で到着が遅れた柚希は、すでにかなりの飲酒で盛り上がった皆の前でΩになった珍獣のような扱いを受けた。かつてのチームメイトから寄ってたかって、酔いと仲間内の気安さ混じりに、結構際どい性的な質問を投げつけられたのだ。
柚希も自分がβだったころはΩに対して『なんとなくエロい』イメージがあったし、存在が気にならなくもなかった。
アダルトな動画を仲間内で興味本位で見た中に、『Ωもの』なんかも混じっていたことがる。勿論実際のΩが出演しているわけではないだろうが、Ωのチョーカーを模したエロティックな首輪をつけた女優が、発情期にどエロく男を求める姿に、やはり男としてそそられるものがあった。
しかしいざ自分があんあん喘ぎながら男を求める側、つまりあちら側に立たされるとなると話は別だ。
バスケ部の仲間たちは 酔いが回って遠慮がなくなっていたものだから、柚希を飲み屋の壁際に押し込めるとなんとなく身体を寄せられたり、匂いを嗅いで来たりした。
『Ωとやるのって、やっぱ死ぬほど気持ちいってホント?』『俺ユズならいけるかも? 顏だけ見たら結構美人だもんな』などと明け透けに言われじりじり皆に囲まれた。
共にコートを駆け回った旧友たち。青春時代を過ごした大切なチームメイト。
そんな彼らの事を嫌いになりそうで、そんな気持ちに沈んだ自分がただただ惨めで悲しかった。
柚希は冗談で躱すこともできずにへらへらと口元だけで笑い、水滴がついて濡れたコップを握りしめたまま、ショックのあまり身動きもとれずに困り果てていた。
かつての仲間と自分の間に絶対的に踏み越えられぬ垣根が生まれたようで、柚希は胸に沢山の棘が刺さったようなチクチクと切ない痛みに苛まれ、切なくて泣きそうになった。実際奥歯を噛み締めて零れそうな涙を我慢していた。
みるみる元気をなくす柚希の様子を黙って見守っていた晶が、見かねて外へ連れ出してくれたのだ。
卒業後何年かしてバスケ部のチームメイトの飲み会があった。そこで再会した時、晶は誰でも一度は名前を聞くような大企業に就職が内定していた。
すっかり頼もしい大人の男に成長していた晶から『ユズ先輩。俺と付き合いませんか?』なんてストレートに告白された時には、驚いて心臓が口から飛び出るかと思ったものだ。
柚希がΩ判定を受けたことは昔の仲間に率先して話した訳では無い。
むしろ判定を受けた後は専門学校の勉強、その後は仕事が忙しくてといちいち理由をつけては昔のバスケ仲間の集まりから疎遠になっていた。
判定から二年が経ってから元バスケ部の新年会の誘いをもらった時、懐かしさと縁が切れかけていた寂しさも手伝って、柚希は昔の仲間と勇気をだして会ってみようと思ったのだ。
しかし噂とはどこからともなく漏れるもので、その日の飲み会はかつての司令塔で副キャプテンがなんとΩに変化していたという話題で持ち切りになっていた。
仕事で到着が遅れた柚希は、すでにかなりの飲酒で盛り上がった皆の前でΩになった珍獣のような扱いを受けた。かつてのチームメイトから寄ってたかって、酔いと仲間内の気安さ混じりに、結構際どい性的な質問を投げつけられたのだ。
柚希も自分がβだったころはΩに対して『なんとなくエロい』イメージがあったし、存在が気にならなくもなかった。
アダルトな動画を仲間内で興味本位で見た中に、『Ωもの』なんかも混じっていたことがる。勿論実際のΩが出演しているわけではないだろうが、Ωのチョーカーを模したエロティックな首輪をつけた女優が、発情期にどエロく男を求める姿に、やはり男としてそそられるものがあった。
しかしいざ自分があんあん喘ぎながら男を求める側、つまりあちら側に立たされるとなると話は別だ。
バスケ部の仲間たちは 酔いが回って遠慮がなくなっていたものだから、柚希を飲み屋の壁際に押し込めるとなんとなく身体を寄せられたり、匂いを嗅いで来たりした。
『Ωとやるのって、やっぱ死ぬほど気持ちいってホント?』『俺ユズならいけるかも? 顏だけ見たら結構美人だもんな』などと明け透けに言われじりじり皆に囲まれた。
共にコートを駆け回った旧友たち。青春時代を過ごした大切なチームメイト。
そんな彼らの事を嫌いになりそうで、そんな気持ちに沈んだ自分がただただ惨めで悲しかった。
柚希は冗談で躱すこともできずにへらへらと口元だけで笑い、水滴がついて濡れたコップを握りしめたまま、ショックのあまり身動きもとれずに困り果てていた。
かつての仲間と自分の間に絶対的に踏み越えられぬ垣根が生まれたようで、柚希は胸に沢山の棘が刺さったようなチクチクと切ない痛みに苛まれ、切なくて泣きそうになった。実際奥歯を噛み締めて零れそうな涙を我慢していた。
みるみる元気をなくす柚希の様子を黙って見守っていた晶が、見かねて外へ連れ出してくれたのだ。
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