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第47話 マジ無理だってよ②
しおりを挟む目が覚めると知らない天井。
隣を向けば知ってる人。
ぁ.....つら。
状況を理解してしまった。思い出してしまった。
熱、温もり、吐息、言葉、心地良さ、心のすり減る感覚
.....俺もう二度と辰巳君とセックスしたくない。
まだ悪鬼――とーが君の方がまだマシ。
痛む腰と節々を庇いながら辰巳君の腕を退けて起き上がる。
メガネを外した男前な横顔を見下ろし、辰巳君と将弥さんへの認識を改める。
多分、あの4人組の中で辰巳君と将弥さんが俺の天敵になる気がする。無償の愛。
.....気づいた。
愛を囁かれる度、心が摩耗していくようでしんどかった。
まだ快楽だけ与えられる方がいい。言葉はいらない。
「ま、約束したからもう大丈夫か」
自由は保証された。ならもうこのまま卒業まで突き進むのみ。あとは済賀君だけど、4人のうち3人の手網は俺が握ってるわけだから済賀君は下手なことできないはず。ふっふっふ。
俺が何か言えば助けてくれるよね?
済賀君から守ってくれるよね?
「辰巳君~起きて」
本当はこのまま逃げたい。だけどそれは約束に抵触するから逃げられない。
だから仕方なく俺は辰巳君を起こす。
めんど.....
「ん......おはようさん」
「辰巳君帰ろ。将弥さんからの連絡凄い入ってるから俺やばい」
「そんなもん無視したらええのに」
「できないよ。だって将弥さんは俺の恋人だからさ」
「......なんかイラッときたわ。未途に気持ちがないとしてもなんか嫌や」
聞こえなかった振りしよーっと。
「辰巳君辰巳君、俺の服どうすんの?とーが君の部屋に脱ぎっぱだよ」
「大丈夫や。ちゃーんと用意してあるで!」
「そっか....」
なんでそんな用意周到なの?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
そして寮に帰ってきた俺。
自室には驚くことに悪鬼と将弥さんが居ました。
何でおるねん......
「おぉ無断外泊とはいいご身分だなクソ眼鏡」
「勝手に未途の部屋入んなや。常識ないんかお前?」
顔を合わせて早々に喧嘩する2人。
もーそんなに喧嘩してさー。ぶっちゃけお互い好きなんでしょ?喧嘩するほど仲がいいっていうし。付き合っちゃえば??
「将弥さん~誠にすみませんでした」
喧嘩する2人を横に俺は将弥さんにスライディング土下座。いや、本当に申し訳ないと思ってます。とち狂った妥協をして呆れさせたり、悪鬼に襲われて心配させたり.....本当申し訳ない。
「ん、まぁ猫屋が藍田と一緒にいることは知ってたからな。そこまで心配してねぇ。一緒にいるのが八尋だったら話は変わってくるが」
「とーが君の信用のなさww」
ん?
「.....なんで俺が辰巳君と一緒だってわかったの?」
「そりゃー、お前を助けに行ったら気絶した八尋がいたからな。猫屋を連れてけるのは藍田しかいないだろ」
んん~???
「俺って将弥さんに居場所教えたっけ?教えてない気がするんだけど」
そう聞くと将弥さんは「あちゃー」というような顔をして苦く笑った。
なんであちゃーなんだ?
「猫屋への愛だな」
「ひーーっ、なにそれ!?」
やめて、今本当にそういう系だめなんだよ!愛とか恋とかっ!
ひとり恐怖していると、辰巳君がいきなり耳を触ってきた。いやマジでいきなりすぎんか?
「ほぉ、服やなくてピアスに仕込んどったんか。強かやなぁ」
「し、こむ.....?」
辰巳君の視線の先を辿ると将弥さんがアルカイックスマイルを浮かべていた。目のハイライトが消えていたため凄く怖い。
.....目逸らそ。あと、この話について深く突っ込んで聞くのは自身の寿命を縮めそうだから止める。
俺は自分の身が可愛いからな!しょーがない!
ということで、バチバチな将弥さんと辰巳君からそそーっと離れてスマホをいじる悪鬼の元へ。
俺が自主的に悪鬼のとこに行くとかまじでレアだぞ。
「どうした未途」
「2人が怖いから逃げてきた」
「そ、そうか!俺のとこにっ」
スマホを放り投げ、嬉しそうに悪鬼は俺を膝の間に無理矢理収めた。もう一度言うが無理矢理だ。
まぁ、あの2人の間にいる方が辛いから我慢するけど。
「次は文化祭だね。生徒会忙しいでしょ」
「まぁな。なんせ今回の文化祭は去年と違う、趣向を凝らしたもんにする予定だ。なんだと思う?」
意地悪そうに笑う悪鬼にもーぶるぶるですわ....絶対に暴力にまみれた文化祭やん。生徒会は交流会という前科があるからな。ん?でも文化祭って.....
「趣向もなにもなくない?文化祭ってクラスそれぞれが出し物するわけだし」
「お題があんだよ....ん」
ふんふんと首筋付近の匂いを嗅いでいるらしい悪鬼。生暖かい吐息がかかって身震いしてしまう。
やめろよ.....!と以前の俺ならギャーギャー言ってただろうが、悪鬼の鼻事情を聞いた今では少し躊躇っちゃう。
チュゥッ
「それは許してない!!」
反射的に肘をかます。
「っ、げほっげほっ.....!」
こいつキスしやがった!!しかもなんか吸いつかれたから多分キスマーク!!
「んだよ!キスくらいいいだろ!」
「やだよ!!とーが君絶対なし崩しにセックスに繋げるじゃん!!」
「ちっ」
正解かよ!?マジ油断できねぇ。
将弥さんのとこに逃げようかな?
「.....逃げるなよ」
「エスパーですかね??」
なんで俺の考えてることわかったんや。
と、ツッコミを内心いれていると腹に回された手に力が入り更に悪鬼と密着。く、くるしい。
「.....文化祭のお題は『愛』だ」
お、文化祭の話に戻った。文化祭の話なら逃げないでやろう。
「愛??そのお題に沿った出し物をすればいいの?」
「ああ」
ふーん。やっば、全然思いつかない....なんだよ愛って。
愛....愛.....愛.....つまり魚???
おお!!じゃあ魚の天ぷら屋台を出せばいいじゃないか!キスの天ぷらとか洒落てるんじゃない?
我ながらいいアイデアだ。今度文化祭の出し物決めるとき提案しよ~
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わ゛ぁぁぁーーーーーー!!!!(;-;)更新ありがとうございます!!!嬉しすぎますーー!!!
ついに辰巳くんとッ!!!会長目が覚めたらめっちゃキレてそう……笑
済賀様は妥協してくれるんでしょうか……?( •ω•` 三 ´•ω•
気になるーーー("☆ω☆")
投稿お疲れ様ですッ!😳😳😳😳ついに!!ついに/////辰巳さんが(//∇//)そういえば、と見直せばおっちゃんさんに状況の連絡してた……これはおっちゃんさん部屋で血の涙流してそうですね🤣🤣🤣これ以上攻め様は増えるのだろうか、、 、ゴクリ。もうふぁんです🥰
凄い好きです!更新楽しみに待ってます🐶