八尋学園平凡(?)奮闘記

キセイ

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第44話 デート(?)だってよ②

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触れ合いコーナーを出た俺達はその後もパンダ見たりカピバラ見たりライオン見たりと色んなとこを回ってエンジョイした。
そしてそのまま園内のカフェテリアで休憩中。

俺は烏龍茶(コーヒー&紅茶飲めない勢)
悪鬼はコーヒー
辰巳君はメロンソーダ(!?)

辰巳君がメロンソーダ頼んだの意外だった。
一口もーらお


「はぁ、カピバラ可愛いかったなぁ。飼いたい」

「ネズミだろあんなん」

「ネズミ馬鹿にすんなよ。ちょっと辰巳君、カピバラにも顎蹴り教えられる?」

「任しとき。未途の頼みならやったるで」

「......カピバラ可愛いな」

「でしょ~」


最初かそう言えばいいものを......。


「学園出たらなにか飼いたいなぁ」


猫とか犬とかフェレットとか、なんならカピバラ飼いたい。俺は学園出たら一人暮らしする予定だから動物とのんびり生活とかいいなぁ。憧れる。


「ならウサギはどうや?ウサギならワイも可愛がれる気がするしなぁ」

「おいおい、なら俺はカピバラ飼ってやるよ。学園出るまでに飼える環境を整えておくぞ未途」

「?????」

「何羽欲しいん?」

「一匹でいいよな?」

「なんで一緒に飼うみたいな話になってるの????俺は一人暮らしするから」


.....そんなキョトンとした顔しんといてくれません?何言ってんのこいつみたいな顔やめてくれません?
俺からしたらなんでそんな俺と一緒に住むのが決定事項みたいな顔してんのか理解出来ん。


「卒業後、未途はワイと来るねんな?」

「え???」

「はぁ?何言ってんだ。こいつは俺のとこに来るんだよ」

「はぁ???いや、俺は......」


あ、ここで将弥さんの名前を使えばいいのか。


「俺、卒業後はおっちゃんのとこ行くから」

「「は?」」

「実は俺、おっちゃんと付き合ってるんだよねぇ」

「へぇ、そうなんや」

「ふーん」


ほらね!!この2人はふーんとかへぇで全然効かないじゃん!!恋人います牽制効果なし!

助けて将弥さんっ!!!


「それで?なんで未途が咲洲のとこ行くんや?どうせその付き合ってるとかいう話もワイらを牽制する偽りの関係やろ」

「俺は別に未途が誰と付き合おうが気にしねぇよ。重要なのは最後に未途が立つ場所だ。未途のことだから咲洲との関係は状況が落ち着いたら解消するつもりなんだろ?」


もう全部見透かされてんじゃん。この人ら鋭すぎない???
辰巳君の言う通り偽りの関係だし、悪鬼の言う通り君らが俺に興味をなくしたら将弥さんとの関係を解消するつもりだった。

『妥協点を見つけろ』

将弥さんの言葉を思い出す。
今聞いちゃうか......怖いけど。


「聞きたいんだけど、俺とどうなりたいの?俺は学園でてから一人で生活したいんだけどさ」

「どうなりたい?ワイは未途と結婚したい」

「ブレないねぇ。俺は結婚したくないんだけど」

「え?冗談やろ??」

「マジです。言いますが、マジで辰巳君と結婚するきはないです。なんなら卒業後は関わりを断つ――」

「は?」

「....断ちはしないけど、ちょっと距離は置くかなぁ~??」


眼力ヤバい。辰巳君怖すぎる。


「未途、未途......ワイと未途が結ばれるんは決定事項やで?」

「あのさ俺は追いかけられると逃げたくなるんだよね。辰巳君がそういう態度でいるなら俺は全力で逃げるよ?」

「.....ならワイも手段選べんなぁ。未途を傷つけとうなかったんやけど」

「だ、だから!!歩み寄りましょう!!妥協点見つけよう!」


ひぃぃっ!
殺されるかと思った。殺気がっ殺気がやばい!
あれは覚悟を決めた目だったよ.......!?


「辰巳君は俺と結婚したいって言ってたけど、つまり一緒に居たいってことでいいよね?ならルームシェアしない??そしたら一緒に居られるしさ!」


辰巳君の家の人はなんて言うか知らんけど。辰巳君の家族が辰巳君を止めてくれないかな?
彼、絶対に一般家庭の出じゃないでしょ。


「ルームシェア.....嫌や。未途がワイから逃げられへん関係になりたいねん」

「あぁ.....なるほど。それで結婚かぁ」


つまり法的縛りで俺を繋ぎ止めたいのか。
これは俺が譲歩するしかないなぁ。
さっきの様子からして辰巳君は引かなさそうだし。


「ならさ、俺がもし逃げたら足あげるよ。そしたら俺はどこにも行けない。でもその代わり、辰巳君にも守って欲しいことあるんだよね」

「.....」

「俺の自由を縛らないこと。俺は辰巳君から逃げない・去ったりしない。辰巳君は俺の自由を縛らない。もし俺が約束を破ったら辰巳君に俺の足をあげるよ。それで辰巳君がもし約束を破ったら二度と俺の前に姿を見せないで」

「.....未途の言う自由ってのは曖昧すぎへんか?それに範囲が広すぎる」

「もちろん辰巳君に相談するよ。どこどこ行ってくる~とか、誰々と遊んでくるとか.....辰巳君にちゃんと言うから。なにか気に食わないことや嫌だなと思うことは言ってくれればいい。その都度お互いの妥協点を見つけよう」


俺の中で将弥さんと辰巳君の脅威度が一番低い。それにもう卒業後、辰巳君から逃げるのは無理だなと俺は悟ったから。それならもう腹を括って、少しでも自分が生きやすいようにルールで彼を抑えるしかない。


俺が手網を握るんだ。



「......ええよ。その話乗ったで。咲洲にも同じ話したんか?」

「いやしてない。辰巳君が初めて」

「そか」


結構あっさり話に乗ったなぁ。
うーん将弥さんに何も言わずこんなこと決めたのはまずかったか?でも、辰巳君にはもうこの案以外有効な手はない気がするし......。

一応メールしとこ。

卒業後、辰巳君とルームシェアすることになりました....送信!!


「じゃあ辰巳君これからもよろしく」

「よろしゅうなぁ」


これで辰巳君は大人しくなるはず。
さて、さっきからずっと黙ってるもう一人は.....?


「とーが君は?」

「こんな奴に聞かんでもええやん」

「いや、ダメだよ。俺のこれからに関わるんだから」


というかさっきから悪鬼がすごい落ち着きなくない?テーブルに指をコツコツしてるし、貧乏ゆすりなんかしてるとこ初めて見たよ。


「おい、クソ眼鏡.....未途と二人っきりにさせろ」

「はぁ?させるわけないやろ」

「ごめん辰巳君。俺からもお願い」

「......外で待っとろか?」

「大丈夫。とーが君なんか今日大人しいし。先帰ってて」

「おい馬鹿、未途に変な真似すんなよ?」

「しねぇよ」


辰巳君は悪鬼に釘をさしてこのカフェテリアを出ていく。さっきから思ってたけど、辰巳君の聞き分けがよすぎることに不気味さを覚える俺は考えすぎなんだろうか?
すんなり俺と悪鬼を二人っきりにしたけど?


「場所変えんぞ」

「えっ?どこに」

「ホテル」

「辰巳君ーーーー!!!」

「馬鹿!無理矢理はしねぇよ」

「その言い方はちょっと信じられないぞ??」

「真剣な話だ。さっきのお前の質問にも答える。オラ、行くぞ」


めっちゃ不安なんだが???
信じるぞ?俺は悪鬼を信じるぞ?

これで押し倒したりでもしたら俺はお前を許さねぇ。辰巳君にチクる。





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