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第42話 考えるってよ
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「ということで、今から作戦会議を始めたいと思います」
「?」
「?じゃないよ。なんでそんな不思議そうな顔してるんですか。俺はとち狂った3人の対処法として将弥さんと付き合うんですよ?」
「あぁ......そうだったな」
.......そんなあからさまに落ち込まなくてもよくない?
俺の横で項垂れている将弥さんを見て顔を顰める。やっぱり将弥さんメンタル弱々じゃん!
はぁ.....
俺は落ち込む将弥さんを他所に彼の左手と所謂恋人繋ぎをして持ち上げる。
うーん、やっぱり大人だなぁ。俺の手より全然デカいし分厚い。
大きさを競うように掌を重ね合わせたり、上から被せるように俺から握ってみたり、肌質を味わうようにスルスルと撫でたりと色々弄り、将弥さんが復活するのを待つ。
俺もこういう男らしい手がよかった。
節くれだつ手をなぞる様に触りながらそう思った。
「ねこや.....マジやめてくれ」
「へ?」
消え入りそうな情けない声に顔を上げると瞳の奥をユラユラと揺らし今にも俺に飛びかかってきそうな顔をした将弥さんが居た。
「.....手を触っただけだよ?」
「触り方がエロいんだよ....。俺に襲って欲しいのか?」
「将弥さんには大人の余裕が無いの??」
「逆にあると思ってんのか?名前呼ばれるだけでもいっぱいいっぱいなのに?」
「ごめん....俺が軽率だったよ」
なんか....ほんとごめん。
でも、俺より余裕ない大人ってどうなの?
.....まぁいいや。このままじゃ話が進まないし。
「ゴホン!....それで3人にはどうやった嫌われるかな?」
「嫌われるのは無理だろ」
「即答~」
「猫屋の態度が悪いんだよ。アイツらに対する」
「え、俺!?」
「済賀と八尋に襲われても普通に接してるし、藍田に限っては目の前で腕切ったんだろ?それなのに同棲してるとか意味がわからん....そんなのアイツらが付け上がるだけだぞ」
それは.....確かに。
いかん、目からウロコだ。
俺は済賀君と悪鬼の被害者なのになんであんな普通に接しているんだろう?
普通なら近づかない、喋らない、目を合わせないとかするよね.....。
もっと拒絶反応してもいいくらいだよね俺って。
それに辰巳君.....あれ?
「なんで将弥さんは辰巳君が俺の目の前で腕を切ったって知ってんの?俺言ったっけ?」
「あ~....親衛隊の情報はバカにしねぇ方がいいぞ」
「なるほど。......本当に親衛隊はこわいなぁ」
親衛隊はどうやって知ったんだ。
まぁ、俺が済賀君に強姦されたことをほとんどの生徒が知ってるって体育祭のとき聞いたアレも親衛隊が原因だからなー。
「えーっと、じゃあ3人とも無視すればいいのかな?」
「それはどうなんだろうな。藍田とか何してくるかわらねぇし」
「あ」
そしてふと思い出す。
ド腐れ三津谷の金券で遊園地に行った時だ。
俺は王道君と悪鬼をくっつけようとさりげなく悪鬼を避けたんだよね。
そしたら首絞められた......。
無視とか無理じゃん!
そのことを将弥さんに話す。すると彼はため息をつき、俺の頭を撫でた。
「やっぱりか......。俺だってお前に無視されたら何するかわかんねぇし、やめた方がいいかもな」
「怖.....じゃあどうすんの?もうお手上げなんだけど。何しても効果ないように思える。あと思ったんだけど、あの人らに将弥さんと付き合ってるって言っても『ふーん』で終わりそう」
「......それはやってみなきゃわかんねぇだろ」
今の間はなんだ。
ぶっちゃけ将弥さんもそう思ったでしょ、俺とおんなじことを。
だけどーー
「....だからといって付き合うのやっぱやめるって言うほど、俺は将弥さんの気持ち軽く見てないから大丈夫だよ」
うん。これで付き合うのやめよとか言ったら俺すっげぇ嫌な男だよね。いや、クソ野郎だ。
「~~~っ、なぁ猫屋!」
感極まった声と共にギュッと抱きしめられる。
おっと、そうだ。将弥さんに伝えなきゃ行けないことが、
「そういえば、とーが君と辰巳君とで出かけるかもしれない」
「.....はぁ!?」
「あ、っとごめん。将弥さん俺になにか言おうとしてた?」
「......なんでもない」
なんでもないと言う割には不機嫌そうだなぁ。
よくわからん。
「八尋と藍田、猫屋の3人で行くのか......まぁこのメンツならただ猫屋の胃に穴があくだけだな」
「だよねぇ。でもとーが君と2人っきりのなるよりはマシだし.....」
「まぁいい判断だ。どうしてそんな出かけることになったのか知らねぇがな」
本当は出かけるじゃなくて好きにしてOKっていう約束だったんだけどね。これは言わぬが仏かな。
しかしそんな俺の考えを見透かしたのか将弥さんの腕の力が強まり「うっ」と呻く。そうだ、俺は今将弥さんの腕の中にいるんだ。
「猫屋はこれからは隠し事禁止な。とくに人間関係については」
「はいはい」
「無事に帰ってくるんだぞ。なにかあれば連絡しろ、頼れ!.....あ、思いついた」
「何が?」
急に名案だと言わんばかりにニヤリと笑う将弥さん。
なになに?何を思いついたの?
「妥協点を見つけろ」
「妥協点???」
急になんだ?って思ったけど、あの3人への対処法か!と気づく。
それにしても妥協点かぁ.....
「そうだ。3人に聞くんだよ、猫屋とどうなりたいのか。そっから猫屋なりにどこまで許せるのか決めて相手に伝えろ」
「.....なるほど。それで線引きするってことだね」
「おう。どうせあの3人は何があってもお前から手を引かねぇだろうよ....忌々しいことに。なら猫屋がアイツらの手綱を引くんだ。それ以上やったら嫌いになるとか言ってな」
「すごい....凄いよ将弥さん!!それ名案だ!」
なんか先に光明が見えてきた!!俺が主導であの人たちの手網引けば俺はもうこんな苦しまなくて済むのかっ。
つまり、悪鬼と済賀君、辰巳君と話し合って俺なりの許容範囲を示して脅せばいいんだ。
いや、どう脅せばいいのかちょっと思いつかないけど.....話し合ってみればわかるはず。
「将弥さんありがとう!!」
「ふっ、そのセリフは成功した時に聞かせてくれや」
その時、
ピピピピピッ
ブーッ、ブーッ、ブーッ
重なり合うように音が響いた。
ん、誰からだろ.....?
スマホを見てみるとそこには悪鬼からメールが
『差出人:悪鬼
宛先:未途
件名:明後日
本文:体育祭の時のアレ明後日な。駅前に10:00集合』
簡素でどこか素っ気ないメール文。
っていうか、明後日!?
こっちに用事があったらどうするんだろうね、悪鬼は。と、とにかく俺も辰巳君にメールしなくては....。あ、そうだ!その日に将弥さんに言われたことを実践してみよう!
なんだか行きたくなかった気持ちが急に乗り気になって来たぞ。
1人でニヤリとした後ふと、将弥さんの方に目を向ける。確か将弥さんのスマホも鳴ってたなぁ、と。本当になんとなしに見る。
「将弥さ、ん.....?」
「.....ん、あぁ。どうしたんだ猫屋」
「あのさメー......出かけるの明後日になったよ俺は。とーが君からそうメールが来てさぁ。あの人って自己中だよねぇ」
「なんだ今更知ったのか?」
「い~や~。元から知ってる」
いつもの将弥さんで少し安心する。
さっき将弥さんが虚ろな目でスマホを見ていたなんて見間違いだ。微かに将弥さんの身体が震えていたなんて俺の見間違いだ。
......将弥さんのスマホに何が送られてきたんだろう?
さっき口に出して聞こうとしたけど、できなっかた。やっぱり恋人になったといっても、俺の性格はそう簡単には変わらないんだなぁと実感する。
だって、他人の心に踏み込むのって怖いじゃないか。見て見ぬふりする方が何百倍も楽なのを知っているからしかたないじゃないか。
「......ごめんなさい」
俺は小さくそう呟いた。
「?」
「?じゃないよ。なんでそんな不思議そうな顔してるんですか。俺はとち狂った3人の対処法として将弥さんと付き合うんですよ?」
「あぁ......そうだったな」
.......そんなあからさまに落ち込まなくてもよくない?
俺の横で項垂れている将弥さんを見て顔を顰める。やっぱり将弥さんメンタル弱々じゃん!
はぁ.....
俺は落ち込む将弥さんを他所に彼の左手と所謂恋人繋ぎをして持ち上げる。
うーん、やっぱり大人だなぁ。俺の手より全然デカいし分厚い。
大きさを競うように掌を重ね合わせたり、上から被せるように俺から握ってみたり、肌質を味わうようにスルスルと撫でたりと色々弄り、将弥さんが復活するのを待つ。
俺もこういう男らしい手がよかった。
節くれだつ手をなぞる様に触りながらそう思った。
「ねこや.....マジやめてくれ」
「へ?」
消え入りそうな情けない声に顔を上げると瞳の奥をユラユラと揺らし今にも俺に飛びかかってきそうな顔をした将弥さんが居た。
「.....手を触っただけだよ?」
「触り方がエロいんだよ....。俺に襲って欲しいのか?」
「将弥さんには大人の余裕が無いの??」
「逆にあると思ってんのか?名前呼ばれるだけでもいっぱいいっぱいなのに?」
「ごめん....俺が軽率だったよ」
なんか....ほんとごめん。
でも、俺より余裕ない大人ってどうなの?
.....まぁいいや。このままじゃ話が進まないし。
「ゴホン!....それで3人にはどうやった嫌われるかな?」
「嫌われるのは無理だろ」
「即答~」
「猫屋の態度が悪いんだよ。アイツらに対する」
「え、俺!?」
「済賀と八尋に襲われても普通に接してるし、藍田に限っては目の前で腕切ったんだろ?それなのに同棲してるとか意味がわからん....そんなのアイツらが付け上がるだけだぞ」
それは.....確かに。
いかん、目からウロコだ。
俺は済賀君と悪鬼の被害者なのになんであんな普通に接しているんだろう?
普通なら近づかない、喋らない、目を合わせないとかするよね.....。
もっと拒絶反応してもいいくらいだよね俺って。
それに辰巳君.....あれ?
「なんで将弥さんは辰巳君が俺の目の前で腕を切ったって知ってんの?俺言ったっけ?」
「あ~....親衛隊の情報はバカにしねぇ方がいいぞ」
「なるほど。......本当に親衛隊はこわいなぁ」
親衛隊はどうやって知ったんだ。
まぁ、俺が済賀君に強姦されたことをほとんどの生徒が知ってるって体育祭のとき聞いたアレも親衛隊が原因だからなー。
「えーっと、じゃあ3人とも無視すればいいのかな?」
「それはどうなんだろうな。藍田とか何してくるかわらねぇし」
「あ」
そしてふと思い出す。
ド腐れ三津谷の金券で遊園地に行った時だ。
俺は王道君と悪鬼をくっつけようとさりげなく悪鬼を避けたんだよね。
そしたら首絞められた......。
無視とか無理じゃん!
そのことを将弥さんに話す。すると彼はため息をつき、俺の頭を撫でた。
「やっぱりか......。俺だってお前に無視されたら何するかわかんねぇし、やめた方がいいかもな」
「怖.....じゃあどうすんの?もうお手上げなんだけど。何しても効果ないように思える。あと思ったんだけど、あの人らに将弥さんと付き合ってるって言っても『ふーん』で終わりそう」
「......それはやってみなきゃわかんねぇだろ」
今の間はなんだ。
ぶっちゃけ将弥さんもそう思ったでしょ、俺とおんなじことを。
だけどーー
「....だからといって付き合うのやっぱやめるって言うほど、俺は将弥さんの気持ち軽く見てないから大丈夫だよ」
うん。これで付き合うのやめよとか言ったら俺すっげぇ嫌な男だよね。いや、クソ野郎だ。
「~~~っ、なぁ猫屋!」
感極まった声と共にギュッと抱きしめられる。
おっと、そうだ。将弥さんに伝えなきゃ行けないことが、
「そういえば、とーが君と辰巳君とで出かけるかもしれない」
「.....はぁ!?」
「あ、っとごめん。将弥さん俺になにか言おうとしてた?」
「......なんでもない」
なんでもないと言う割には不機嫌そうだなぁ。
よくわからん。
「八尋と藍田、猫屋の3人で行くのか......まぁこのメンツならただ猫屋の胃に穴があくだけだな」
「だよねぇ。でもとーが君と2人っきりのなるよりはマシだし.....」
「まぁいい判断だ。どうしてそんな出かけることになったのか知らねぇがな」
本当は出かけるじゃなくて好きにしてOKっていう約束だったんだけどね。これは言わぬが仏かな。
しかしそんな俺の考えを見透かしたのか将弥さんの腕の力が強まり「うっ」と呻く。そうだ、俺は今将弥さんの腕の中にいるんだ。
「猫屋はこれからは隠し事禁止な。とくに人間関係については」
「はいはい」
「無事に帰ってくるんだぞ。なにかあれば連絡しろ、頼れ!.....あ、思いついた」
「何が?」
急に名案だと言わんばかりにニヤリと笑う将弥さん。
なになに?何を思いついたの?
「妥協点を見つけろ」
「妥協点???」
急になんだ?って思ったけど、あの3人への対処法か!と気づく。
それにしても妥協点かぁ.....
「そうだ。3人に聞くんだよ、猫屋とどうなりたいのか。そっから猫屋なりにどこまで許せるのか決めて相手に伝えろ」
「.....なるほど。それで線引きするってことだね」
「おう。どうせあの3人は何があってもお前から手を引かねぇだろうよ....忌々しいことに。なら猫屋がアイツらの手綱を引くんだ。それ以上やったら嫌いになるとか言ってな」
「すごい....凄いよ将弥さん!!それ名案だ!」
なんか先に光明が見えてきた!!俺が主導であの人たちの手網引けば俺はもうこんな苦しまなくて済むのかっ。
つまり、悪鬼と済賀君、辰巳君と話し合って俺なりの許容範囲を示して脅せばいいんだ。
いや、どう脅せばいいのかちょっと思いつかないけど.....話し合ってみればわかるはず。
「将弥さんありがとう!!」
「ふっ、そのセリフは成功した時に聞かせてくれや」
その時、
ピピピピピッ
ブーッ、ブーッ、ブーッ
重なり合うように音が響いた。
ん、誰からだろ.....?
スマホを見てみるとそこには悪鬼からメールが
『差出人:悪鬼
宛先:未途
件名:明後日
本文:体育祭の時のアレ明後日な。駅前に10:00集合』
簡素でどこか素っ気ないメール文。
っていうか、明後日!?
こっちに用事があったらどうするんだろうね、悪鬼は。と、とにかく俺も辰巳君にメールしなくては....。あ、そうだ!その日に将弥さんに言われたことを実践してみよう!
なんだか行きたくなかった気持ちが急に乗り気になって来たぞ。
1人でニヤリとした後ふと、将弥さんの方に目を向ける。確か将弥さんのスマホも鳴ってたなぁ、と。本当になんとなしに見る。
「将弥さ、ん.....?」
「.....ん、あぁ。どうしたんだ猫屋」
「あのさメー......出かけるの明後日になったよ俺は。とーが君からそうメールが来てさぁ。あの人って自己中だよねぇ」
「なんだ今更知ったのか?」
「い~や~。元から知ってる」
いつもの将弥さんで少し安心する。
さっき将弥さんが虚ろな目でスマホを見ていたなんて見間違いだ。微かに将弥さんの身体が震えていたなんて俺の見間違いだ。
......将弥さんのスマホに何が送られてきたんだろう?
さっき口に出して聞こうとしたけど、できなっかた。やっぱり恋人になったといっても、俺の性格はそう簡単には変わらないんだなぁと実感する。
だって、他人の心に踏み込むのって怖いじゃないか。見て見ぬふりする方が何百倍も楽なのを知っているからしかたないじゃないか。
「......ごめんなさい」
俺は小さくそう呟いた。
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