八尋学園平凡(?)奮闘記

キセイ

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第18話 遊園地だってよ③

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お化け屋敷後もフラフラとしながら色んなアトラクションに乗った。その度に王道君と悪鬼をペアにさせるといういい仕事をした俺。
なのに2人の仲は進展しない。逆に悪化してないあれ?悪鬼の顔が段々と不機嫌そうに歪められてくんだけど。


「あれどう思います?」

「悪化してるな。」

「やっぱり?」


おっちゃんも俺と同意見らしい。なんとかしなければ。


「またメリーゴーランド乗るとか?」

「「やめろ」」


済賀君とおっちゃんがハモった。2人ともめっちゃ嫌そうな顔すんじゃん。
でも俺は面白かったよ?
メルヘンなかぼちゃの馬車に乗る済賀君とおっちゃんの顰めっ面とか、めっちゃウケた。

悪鬼なんて王道君に引っ張られて馬に乗ってたぜ?

バッチリ写真撮っといた。済賀君達も悪鬼も。
後で見せよ~。


「なぁなぁ!最後はアレ乗ろうぜ!」


王道君がアレと言い指さしたのは大きな観覧車だった。
これは何としても王道君と悪鬼をペアにしなければ!
ここで俺と悪鬼がペアになってみろ?俺が地獄を見るぞっ!
済賀君とおっちゃんに目配せをする。
......これで大丈夫。俺はパーを出すぞ。


「よし、最初はグー「ちょっと待て。」ん?どうしたの八尋君。」

「ここまで俺はずっと愛斗と一緒だ。乗るなら愛斗以外がいい。」


愛斗以外がいいと言いながら俺の方見るのやめろや。俺は嫌だからね?悪鬼と観覧車とか。


「ええー!?何でだよっ、お、俺は斗牙と乗りたいぞ!」


よく言った王道君!
君の勇気に俺が一肌脱いであげよう!


「あー、じゃあ俺と愛斗君と八尋君でいいんじゃない?」

「いいのか未途?」


こそりと聞いてきた済賀君に頷く。だって悪鬼、俺をご所望のようだし。
それに悪鬼が済賀君や先生を嫌ってるのを知ってる。観覧車なんて一緒に乗るわけないだろう。


「2人っきりじゃないのは癪だが、まぁいいか。」


そんな悪鬼の呟きは俺には聞こえず.....。



うーん、済賀君とおっちゃん2人で観覧車か....。何話すんだろう?


「未途、俺達は観覧車乗らねぇ。こいつと乗るぐらいならまだ1人で乗った方がマシだ。」

「酷い言われようだが、おっちゃんも同じだ。だが、猫屋と八尋を近づけんのは危ねぇから乗り場までは着いてく。」

「おお!ありがとう!」


2人が観覧車乗らないのは残念だけど....悪鬼から俺を護衛してくれるのは助かる。王道君は悪鬼を止められないだろうし....。


「おっちゃんに任せとけ。」

「へ?あぁありがとうね。おっちゃん」


観覧車乗り場に着くと、人はあまり並んでいなかった。これならすぐに乗れそうだな。
というか、副会長達はどこに行ったんだろ?
未だに合流できてないんだけど、王道君いなくて騒ぎになってない?


「お次の方~、はうっ!....な、何名でお乗りになりますか!?」


係員のお姉さんはこの人らの顔面偏差値の高さに興奮しながらも笑顔を絶やさない。素晴らしいが、少し腐ってる気配がするのは俺の気のせいだろうか?王道君見て目を光らせたように見えたのは俺の見間違いですかね?


「3人だ。」

愛想のいいおっちゃんがにこやかに答える。

「はい、3人ですね!ではお乗り下さい。」

「斗牙早く乗ろうぜっ!」

「テメェ引っ張んな!」

「え!?」

「はっ!?」


ガチャンッ


「ではいってらっしゃーい!!」


今何が起きたか説明しよう!
王道君と悪鬼が先に乗り、俺も続こうと思ったら後ろから引っ張られ、後ろに倒れそうになった。
そして誰かに受け止められたと思ったら視界の端で済賀君が背中を蹴られて観覧車に足を踏み入れる姿が。

そしてそのまま係員のお姉さんに背中を押され済賀君は観覧車内へ、その後直ぐに鍵がかかる。


「....いってらっしゃーい!」


取り敢えず手振っとこ。
係員さんを見ると親指立てられた。どうやら腐った方のようですね。流れるように済賀君を押し込んでたけど、おっちゃんと打ち合わせでもしたのかな?

今頃観覧車内は地獄だろう。王道君に合掌。


「おっちゃん面白いことするね。」

「ナイスだろ?」

「あとが怖いけどナイス。降りてきた時の済賀君と八尋君の顔が楽しみだね。」

「はっはっは!時間あるしなんか食うか?奢るぜ?」

「さっすがおっちゃん!もう大好き!」

「ぐっ!」

「どうしたん?胸押さえて。」

「猫屋が可愛いっ!」

「眼科行ってください。あと俺アイス食いたい。あ、あれがいい!」

「了解。」


俺達は可愛らしい外観のアイス屋へ向かった。
ちょうど並んでいる人もいなくて早く買えそうだ。ラッキー。


「おっちゃん、アレね。アレだからね。」

「はいはい。お姉さんこのアイス1個ください。」

「はい、かしこまりました。お会計300円となります。.......はい、丁度ですね。ではどうぞ。」

「ん?なんか多くね?」

「ただ今カップルの方にはお1つオマケさせて頂いております。」

「カップル!?」

「猫屋とおっちゃんカップルに見えるらしいぜ?お姉さんありがとな。」

「いえいえ。楽しい一日をお過ごしください。」


俺とおっちゃんのどこがカップルに見えるんだ?
男同志だぞ!?
ま、まさかっ!

後ろを振り返ると、アイス屋のお姉さんが親指を立てていた。

......腐った方ですね。


「あのお姉さん見る目あるなぁ。」

「どこがだよ。....まぁ1個増えたからいいや。ん、美味しい!おっちゃん食べる?」

「えっ、や.....その、いいのか?」

「別にいいけど?」


俺からアイスを受けとったおっちゃんは何やら葛藤する素振りを見せながらも、アイスを一口食った。
どこに葛藤する要素あるん?
あ、もしかして


「もしかして間接キス意識してた?」

「んな!?そ、そんなわけねぇだろ!」

「ははっ、だよねー。いかにも性関係爛れてそうなおっちゃん先生が間接キスぐらいで狼狽えるわけないよね!」

「.......」

「あれ?おっちゃん先生?」


どうやらおっちゃんの魂がどっか行ったらしい。
.......全くしょうがないなぁ。
先生の手を引き近くのベンチへ座った。


「おーいおっちゃん、アイス全部食っちゃうぞ?」


返事はない。
えぇ(困惑)?まだ魂留守にしてんの?
というかなんで魂抜けたん?俺何かしたかな.....。

今ならおっちゃんの髭剃れる気がする。だがしかしっ、今の俺は剃刀を持っていない!!
くっ、これから剃刀を常備するか?
けどおっちゃんの髭のために剃刀常備すんのも嫌だな.....。


「はっ!」

「お?おっちゃん先生復活した。おはようー。」

「猫屋!!今はっ、別に性関係爛れてねぇから!!」

「ふーん。」

「興味なしかっ!?」


ないよ。逆になんで俺が先生の性関係興味あると思ってんの?
そんなギャーギャー喚かないでよ。


「聞いてんのか猫屋!?」

「うんうん聞いてる聞いてるー。」


なんか俺、眠くなってきた。
地獄のデート(笑)とか最悪と思ってたけど普通にアトラクション楽しかったし、柄にもなくはしゃいでしまったかも。


コツン


「ねっ!?!?」

「ちょっと肩貸して......ねむ......。」

「ふぐ!!!!」


フグ?
隣から変な呻きが聞こえたけど....ねむ、い。

ガシッ


「うぇ?」

「よォ、設楽。なにクソ教師とイチャイチャしてんだ?あ?」

「ひょぇ」


頭を掴まれ目を開けると、そこには鬼の形相をしたの悪鬼が.......。鬼の形相した悪鬼って(笑)鬼じゃん。......アカン、頭回ってないわ。自分でも何言ってるかわかんない。


「おかえり。観覧車楽しかった....?」

「最悪だったぜ?地獄のような時間だった。」

「おおぅ.....それはご愁傷さま。」


俺悪くないから。悪いのはおっちゃんだから。
おっちゃん?なんで手で顔を覆って固まってるの?
どうしたの?


「未途~!!こんなところにいたのか!」

「あ、愛斗君。観覧車楽しかった?」

「おう!すっげぇ楽しかった!」


王道君が楽しかったのならいっか。
そして王道君の隣にいるどこかげっそりした済賀君に目を向けた。


「済賀君今の気分は?」

「最悪の気分だ。取り敢えずそのクソ教師は殴る。」


済賀 仁哉、有言実行の男である。彼は固まった先生の頭目掛けて拳を振り下ろそうとしていたので、俺は目を逸らした。

ゴスっ!

うわ~痛そうな音。見なくてよかった。
......先生は殴られたことによりフリーズ状態から復活したようだった。殴られたとこをさすっている。痛そう。


「よし、そろそろ帰るか!」

先生がベンチから立ち上がる。
やったー帰って寝れる。俺もベンチから立ち上がろうとして.....やめた。

さっきまで寝る寸前だったから、また眠くなってきた。ベンチから立ち上がるのも億劫。


「おい、設楽。目が閉じそうだぞ。」

「大丈夫、大丈夫....。」

「どう見ても大丈夫じゃないだろ。くくっ、俺が抱っこしてやろうか?」


この歳で抱っこはなぁ.....あ、そうだ。


「八尋君向こう向いてしゃがんで。」

「あ?こうか?」

「うん.....よいしょ。おっけー」

「はっ!?ちょ、これって、だが、これはこれでっ.....いい!」


悪鬼はボソボソとなんか言っていたが眠すぎて意識が朦朧としてる俺には理解できなかった。


「あっ、未途ズリーぞ!!俺も斗牙におんぶされたい!」

「なにっ!?猫屋!なんでよりによってそいつなんだ!?」

「一番危険な野郎だろうが.....。」


うーん、五月蝿い......。
うるさいぞ、と言うのも億劫で悪鬼の首筋に顔をグリグリと押しつける。
悪鬼注意して......。


「っ、テメェらうるせェぞ。こっちは設楽のせいでいっぱいいっぱいなんだよ!これ以上刺激すんな!」

「何がいっぱいいっぱいなんだよ!?やっぱり八尋はダメだ!猫屋こっちこい!」

「俺も斗牙におんぶされてぇ!!未途そこ代わってくれ!!」

「おい、お前ら五月蝿いぞ。未途が起きちまう。」

「誰が渡すか!テメェのほうが危ねぇだろ。この淫行教師が!」

「誰が淫行教師だバカタレ!」


うるさい!!


ガブリっ


「ぐっ、」

「と、斗牙!?どうしたんだ!?いきなりしゃがんで!?」

「......チンポ勃った」


ガスッ!
バキッ!


何かが殴られる音と揺れに居心地の良さを感じ、俺の意識は闇に沈んだ。
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