八尋学園平凡(?)奮闘記

キセイ

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第17話 遊園地だってよ②

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「いやー面白かったね。」

「久しぶりに乗ったが結構変わったなぁ。」

「久しぶりって何年前?50年前とか?」

「猫屋はおっちゃんをいくつだと思ってるんだ?そこまで歳食ってねぇよ。」


ジェットコースターを堪能した俺達は次に何に乗るか話し合っているんだが、この3人どれでもいいとか、俺の好きなやつでいいとかで主張が全然ないんだよなぁ。


「未途~!!!」


こ、この声は!?.....回避っ!!


「なんで避けるんだよ~!」

「君の突進は俺死んじゃうから。」

「何言ってんだよ。突進でそう簡単に人は死なねぇだろ?」


お前の突進は例外だ。


「おい愛斗、華谷達はどうした?一緒じゃないのか?」

「と、斗牙!いや、その、知らん間に居なくなってたんだ!!えーっと、だから未途借りるな!」

「はい!?ちょっ、引っ張るなー!!」

「おい!?未途っ」


会話の流れ的に俺を借りてく内容じゃなかったろ!
腕をグイグイと引っ張られ済賀君達と離れる。彼らも追いかけようとしていたが人混みで阻まれている。
あの人らタッパあるからね....小柄な王道君は人混みをスイスイと躱していくけど、あの人達じゃ上手く動けないだろう。
俺は身軽な方だから王道君についていける(ドヤァ)


「愛斗君どうしたの?」


くそっ、本当は3人になったあの人らの会話を聞いてみたかったんだが......王道君の用が先か。
わざわざ俺を引っ張り出すとはどんなご要件で?


「あのなっ、俺.....と、斗牙が好きなんだっ」


(゜д゜)
え、まじで?
あの悪鬼のことが好き!?

やめといた方がいいよ、という言葉を飲み込む。
というか急だね。


「あ~......どこに好きになる要素が?」


俺が知らないだけで、悪鬼にもいい所があるかもしれない。俺的にはあいつのいい所なんざ顔ぐらいしかないと思ってるが。


「ぅ、あ、かっこいぃところ......。」

「え?どこがかっこいいの?」


やばっ、思わず本音が.....。かっこいいって顔だよね?まさか性格じゃないよね?


「食堂の時俺を投げ飛ばした姿かっこよく見えた。それに俺より強いやつ初めて見たし。」


えぇ....王道君より強い奴とか悪鬼だけじゃなくて、済賀君とか辰巳君とかもだと思うんだけど。

それに投げ飛ばされて惚れたって、王道君もしかしてMの人?


「他にも俺が生徒会室に遊びに行った時、いきなり斗牙が服脱げって。俺抵抗したんだけど斗牙に押さえつけられて......そんときの斗牙めっちゃ目ギラギラさせて喰われるかと思った。でも、怖いとか感じなくて、胸がドキドキしてさ....。多分俺あの時顔真っ赤だったと思う。」


どこに惚れる要素あるの?
悪鬼人としてどうかと思うような行動とってんじゃん。何?いきなり来た人の服を脱がすって。
やっぱ王道君Mでしょ。

それとその時って俺が王道君にジャージ貸した時だよね?
なんか恥ずかしそうにジャージ失くしたって君言ってたよね?

.......悪鬼に取られたのかよ!?

もうわからん。悪鬼のどこがかっこいいのか。王道君の話聞いてもただ悪鬼へのヘイトが溜まっただけだし。


「そっかー八尋君のこと好きなんだ。....なんで俺にそんなこと伝えるの?」


牽制とかじゃなさそうだし。.....まさか手伝ってとか言わないよね?


「手伝って欲しいんだ!!俺っ、もっと斗牙と仲良くなりたい!」


うっ、そんなうるうるな目で見ないでくれ。
ってかやっぱり手伝って欲しいんだ....。
ぶっちゃけめんどくさい。

いや、待てよ?

王道君と悪鬼がくっつけば俺へのちょっかい無くなるのでは?


「愛斗君、俺でよければ手伝うよ!!」


全ては快適な生活のため!!
その為なら悪鬼に近づこうではないかっ


「ありがとな未途っ!!」

「よし、じゃあ今から作戦会議だ。」

「作戦会議?」

「うん。この遊園地デート中にきっと仲良くなれるよ!」


保証はないがな!


ということで合流しました。
合流したはいいが、王道君と俺はこっぴどく叱られた。
俺は無理矢理連れてかれたのに.....解せぬ。


「俺お化け屋敷行きたい!」

「おっ、いいね!遊園地といえばお化け屋敷だよね。3人はどうですか?」


聞いたところ3人も異議なしということで次はお化け屋敷に決定した。
歩く時、俺はなるべく済賀君と先生の間に入り、悪鬼と王道君が2人になるように仕組む。
些細な仕掛けが大切なのだよ。知らんけど。


「おいおい、何企んでんだ?こんないい男の隣を陣取るなんて。」

「いい男?.....あぁ!済賀君の事ですかね?」

「おっちゃん泣きそう。」

「じょーだんですよ。実はですね.....」


済賀君とおっちゃんに訳を話す。王道君が悪鬼にLoveということを。


「趣味悪ぃな。」

「八尋かぁ~.....うん、まぁ応援はする。」


だよね、趣味悪いよね。


「あの人のいい所って顔くらいだよね。」

「猫屋の好みか?」

「好み?あぁ顔がってこと?かっこいいとは思うよ。」

「なに話してんだ?」

「ぐえっ」


重い。急に危ないなぁ.....というか歩きづらい。


「八尋君の顔がかっこいいって話。」

「それは自然の摂理だな。」

「そうですか。......早く離れてくれない?というか愛斗君は?」

「なぁ、お前が何を企んでるのか知らねぇけど。」


ギリリッ


「俺を避けんな。」

「っ、わかった。ごめん!」

「斗牙!!あれ美味しそうじゃね!?」

「あ?」


王道君に腕を引かれ離れていく悪鬼にほっとする。


「どうした未途?首なんか抑えて。」

「な、なんでもないよ!」


心臓がバクバクしてる。
あの人俺の首絞めようとしてたよね?
目が本気だったんだけど。






「うおー!怖そうだなっ!!」


俺達はいかにもな雰囲気を醸し出す廃病院に到着した。
これは怖そうだな。俺は怖がりという訳では無いが、普通に背後から驚かされると驚く。
.......入りたくなくなってきた。


「2グループに別れるか。はい、じゃんけーんー」

「「ぽいっ」」


俺とおっちゃん、済賀君はグー。王道君はパー、悪鬼はチョキ。


「じゃあ、俺、済賀、猫屋と愛斗、八尋だな。」

「おい待て。なんでそうなる?」

「グー3人とそれ以外で分けた方が早いだろ。」

「いや、おかしーだろ。そこは普通ちゃんとわかれるまでー」

「うるせぇぞ。いちいち突っかかってくんなよ赤猿。」

「よしその喧嘩買うぞ?」

「喧嘩ですかぁ????」

「「.......いや違う」」

「ならよし。ほらさっさと行きますよ。」


因みにこの2グループになるよう仕組みました。
おっちゃんと済賀君ナイスフォロー!


「じゃあ行こうぜ斗牙!!うおー、もう心臓がバクバクしてきたっ。」

「おいっ、引っ張るんじゃねーよ!」


王道君わかってるよね?
ここで怖がって悪鬼の腕に抱きつくんだぞ?
吊り橋効果.......悪鬼早く王道君に惚れてくれないかぁ。


「俺はあの赤猿とマリモがくっつく未来が見えねぇ。」

「おっちゃんもだ.....。こりゃあ前途多難だぞ。」

「2人とも諦めたらそこで終了だよ。俺もちょっと無理かなとは思うけど。」


アカンこれ以上考えたら心折れそう。


「おっちゃん達も行くか。猫屋は怖いのイケるか?」

「普通。平気ではない。」

「それは僥倖。」

「え、なんで?」

「よし行くか!」

「待って!なんで僥倖なのっ?おっちゃん!?」


おっちゃんの傍は危険な予感。済賀君の傍に行こ。


「ん?どうした未途。手でも繋ぐか?」

ギュッ


繋ぐか?と聞いておきながら繋ぐんですね。


「お、じゃあおっちゃんも。」

ギュッ


「ちょっとこれは......」


絵面がやだな。俺子供に見えない?2人とも大人っぽいから。いや、おっちゃんはおっさんだけど。


そして俺達はいよいよお化け屋敷に入った。
入ったんだが....


「ひょわっ!?」

「うおっ」

「普通にびっくりするなぁコレ。」


怖え~......手繋いでて良かった。
手繋いでなかったら俺逃げ出してたね。

はぁ、王道君と悪鬼の様子をこっそり後ろから見ようと思ってたのに.....。


ピトッ


「?」


なにか冷たいものが足に.....足?
恐る恐る足元を見ると、生青白い手が俺の.....


「っわああああああぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

「未途っ!?」

「猫屋!?」


俺は2人の手を振り払い脱兎のごとく走った。
冷たい感触が頭から離れなくてパニクる。だってここお触り禁止なハズじゃん!?
つまり本物っ!!

無理無理無理!!
早く出口へ!!!!


「な!?....もがっ!?」


走っているといきなり腕を捕まれ引っ張られた。驚いて叫ぼうと思ったが大きな手にそれを阻まれる。
だれ!?何事だっ!?


ガブッ

「いって!?」

この声は......

「噛み付くなよ馬鹿っ、あーぁ歯型ついてら.....」

「八尋君なんでここに!?愛斗君は?」

「あいつならどっか走ってったぞ。」


何やってるの王道君!!
あぁ、君のせいで悪鬼と2人っきりに。


「お前こそなんで1人なんだ?」

「あ~....ハグれた。」


やめろそんなニヤついた顔でこっち見るんじゃねぇ。俺から手を離した済賀君達が悪い。


「じゃあ2人っきりだな。」

「ヒィ~、くっつくなっ!!」

「蹴んな!チッ、なんもしねぇよ。」

「言ったな?言質とったかんな?」


スマホにバッチリ録音したぞ?

ギュッ

「ほら行くぞ。」

なんでみんなこう、自然と手を繋ぐの?
これがモテ男の秘訣か?


「ぎゃぁぁ!!」

「お前、もっと可愛い叫びとか出来ねぇの?」

「なに可愛い叫びって?」

「はぁ....怖いんならもっとこっち来い。」

「お化けと八尋君ならお化けをとるよ俺。」


悪鬼のほうが怖い。


「失礼なやつだな。まぁいい。くっつかせろ。さっきから鼻が可笑しくなりそうなんだよ。」

「えっ?」

「ん~いい匂い。」


ちょ、なんもしないって言ったよね!?
首に吐息がかかる。

チュッ、チュッ.....


「ん、興奮してきた。」

「っ、何もしないって言っただろ!!」


ゴスっ!


「ぐえっ」


俺の首筋に顔を埋めていた悪鬼の腹に肘をお見舞する。こいつ何もしないの意味わかってんの?

俺は蹲る悪鬼に侮蔑の視線を投げ出口へ向かう。

そして途中お化けに驚かされ走ったりしたが無事廃病院から出ることが出来た。


「未途っ、斗牙見なかったか!?俺、途中ではぐれちゃって....。」


外に出ると王道君が泣きそうな顔で俺に詰め寄ってくる。
君ねぇ....せっかく同じグループに仕組んだのに無駄になったじゃないか。


「もうすぐ出てくると思うよ。あっ、ほら。」


視線を向けると、顔のいい男が3人.....合流したんだ。


「未途、急に走ってくなよ。危ないだろ?」


子供扱いしないでください済賀君。


「猫屋~置いてくなよぉ。って、ん?」


おっちゃんに凝視され首を傾げる。どうしたんだろう、そんな深刻そうな顔して。

手招きされたのでそばに行くと、先生は絆創膏を2枚手に持っていた。
なぜ絆創膏?
誰か怪我したのかな?


「首筋んとこキスマークついてんぞ。」


首筋、キスマーク......悪鬼か!?


「そこで顔を赤くするんじゃなくて真っ青にするところが猫屋だなー。」


あいつほんとにっ、ほんとにっ!!


「おっちゃんありがとう。後であいつにお灸添えといて。」

「ははっ、任せろ。」


手をゴキゴキと鳴らしたおっちゃんの背を見ながらも俺はため息を吐いた。



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