八尋学園平凡(?)奮闘記

キセイ

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第14話 お泊まり会だってよ

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俺は考えて考えて考え抜いた末、友人を呼ぶことにした。......辰巳君も別に誰か呼ぶなって言ってないし。2人っきりは何としても俺は避けたい。
だってあの人会話通じないんだもん.....。

ってことで、辰巳君対策の
イカれたメンバーを紹介するぜ!


「未途のところでお泊まり会だ!!」

砂杜 愛斗(王道君)
空気が読めるのか読めないのか未だに判断できないイケメンホイホイ。つい最近サッカー部の爽やか君をオトしてました。親衛隊からのヘイトがまた溜まるね......。辰巳君にウザがられてもめげなく話しかけて、俺から注意を逸らして欲しい。


「うっひょー!!ねぇねぇ、いつフラグ立ったの!?飄々とした遊び人×腹黒平凡?あぁっ、風紀委員長の性格がよく掴めてないからどういう攻めになるのか全く分からない!!でも鬼畜攻めだったらいいなぁ。受けが嫌がっても、泣き喚いても、焦らして焦らしまくるっ!イイネ!!!」

てめぇは呼んでねぇよ三津谷
何でいるんだよ?また着いてきたんか?お前。
お前敵だかんな?


「.......」

俺が今回本当に1番頼りにしてるのがこの人。
済賀 仁哉君!!
ダメもとで誘ったらなんとOKしてくれたんです。
俺、なんかあったら済賀君のとこに避難する。



「で、なんで風紀委員長様が設楽君のとこに泊まりに来るの?kwsk!!」


クソうぜぇ。だけど何も説明しないのは済賀君達に失礼だし。


「風紀委員長となんか仲良くなってねー。まぁ、なんというか会長を憎む同士息があったというか.....そんなこんなで泊まりに来る。」

「説明雑っ!?仲良くなったくらいしかわかんないし!仲良くなった経緯は!?その説明で俺が納得すると思ってんの!?」

「へぇぇ!!未途は仲良くなれたのか!?うぉー俺は今日こそ仲良くなるぞ!」


元気だなぁ。
俺は自分が出したお茶をズズっと啜る。
三津谷と王道君はワイワイと風紀委員長のことを話しているのに対し、済賀君は俺の部屋を興味深く眺めていた。


「何?何か気になるものでもあった?」

「いや別に。なんかお前らしい部屋だな。シンプルって感じで。」

「はははは、俺はあんまりもの置かないからね。済賀君の部屋はどんな感じなの?」

「俺は.....普通だ。」

「いやわかんないからそれ。」

「なら今度来いよ。」

「アア、ウン!」


済賀君の部屋王道君と同部屋じゃん。.....ちょっと遠慮しようかな。

ピンポーン

来た。来たぞ。お、俺の頭を悩ませるやつが!


「邪魔するで~、あ?誰かおるん?」


にこやかな笑顔からの顰めた顔めっちゃ怖ぇ!
蛇に睨まれた蛙状態の俺は何とか笑みを浮かべわけを話す。


「辰巳君にも俺の友達と仲良くして欲しくてさ!取り敢えず上がってよ。」


ムスッとした辰巳君をリビングに案内すると王道君が待ってましたというように話しかける。

いいぞ、王道君!

だけど辰巳君はいかにも不愉快、不機嫌って感じで王道君を無視している。


「設楽夕飯は作るのか?」


済賀君が俺の傍に来てくれた。心強いが、辰巳君から『浮気か?』みたいな視線をぶつけられ、俺の心臓は止まりそう。......タスケテ。


「うん、みんなは何がいい?」

「ワイは肉ならなんでもええで!」

「俺はオムライス!!」

「....なんでもいい。」

「俺はパエリア!」


三津谷は草食っとけよ。お前の飯ねぇから!
なんだよパエリアって、オシャレか?


「りょーかい。」


魚の天ぷらにしよ。


「ワイも手伝うで!」

「辰巳君は座ってて。」

「は!?設楽君が名前呼び!!風紀委員長様!設楽とはどんな関係ですか!?」


俺だって名前呼びするよ。王道君も名前で呼んでんじゃん。あと余計なこと言うなよ三津谷。


「ワイは未途と結婚前提で友達やってんねん。」

「おお!!結婚を前提で友達!ん?友達?それって「三津谷醤油切れたから買ってこい」俺!?」


余計なこと言うんじゃねーよ。
俺は三津谷を蹴り飛ばしながら部屋から追い出した。扉の向こうで悲痛な声が聞こえた気がするが、幻聴だろう。

本当は醤油なんて切れてないがな.....。


「な、な!俺もお前と友達になりたい!名前教えてくれよ~!!」


めげないね君も。その精神の強さマジ尊敬するよ。あんな不潔な者を見るような目で見られたら俺数週間は立ち直れない......。


「設楽、天ぷら揚がったぞ。」

「ありがとう済賀君。あとは天つゆ作って....。」


済賀君に手伝って貰ったおかげで捗った。辰巳君と一緒に台所に立つのは俺の精神上宜しくないので断りました。王道君の相手でもしていてくれ。そして出来れば帰って欲しい。


うーん、それにしても美味しそうな天ぷら。アジ、アナゴ、マグロ、イカ、タコ、エビ等々。
あ、ヨダレが溢れてきた。


出来上がった料理を食卓に並べていると辰巳君がニコニコと俺を見ているのがわかる。
......ちょっと王道君何やってんの?
早く辰巳君に喋りかけてよ。

.....あれ?


「辰巳君、愛斗君は?」


王道君の姿がない。トイレに行ったのかな?辰巳君に王道君がどこに行ったのか一応聞く。


「追い出したで。」

「.......」


やっぱり?
なんか驚愕というより納得が湧き出た。いつかやるだろうなぁとは思ってたんだよね。
王道君南無三!!


「美味そうやなぁ。流石はワイの未途や。」

「俺も一緒に作ったぜ。」

「ワイが好きな魚もいっぱいやし、やっぱわかっとるんやなぁ。」

「俺の好きな魚だ。テメェじゃねぇ。」

「......」

「......」


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!!!
そこから黙々と食うの!?
暴れられるよりマシだけど精神的負荷がっっ!

ヤバい、俺の胃がキリキリしてる。

だが好物の魚料理を食べないわけにはいかない!
食べるっ、食べるっ、食べるっ!!

あ、お腹やばいかも.....。


三津谷と王道君の分も作ったから結構あるんだよな。まぁ済賀君と辰巳君が黙々と量を減らしていくから心配はないけど。

今の所脱落したのは、
醤油を買いに行った三津谷
追い出された王道君

三津谷だけ理由面白いな。醤油買いに行かされて脱落って(爆笑)


「あー食った食った。美味かったで!」

「美味かった。」

「お粗末さまです。」


さてこの後はどうするか、風呂かな?


「風呂用意してくるね~」


ここで問題なのが済賀君が風呂に行くと俺と辰巳君は2人きりになるということだ。
もう腹を括るしかないのか?


どんよりした気持ちでリビングに戻ると食卓が割れていた。

......は?と思うじゃん?
食卓が真っ二つに割れてんだよ、文字通りに。


「何があったの?」


2人に視線を向けるが目が合わない。
コイツら......。


「風呂2人で入ってね。」

「「えっ」」

「風呂2人で入ってね。」

「ちょい待ってぇ!なんでワイがこいつと風呂入らなアカンねん!?」

「設楽、これには訳があるんだ。」

「なんですか~?訳とは???」


俺の地味に気に入ってた食卓を割った訳とは?
どーせ2人が喧嘩して叩き壊したんでしょ?


「あぁやっぱ言わなくていいです。壊した経緯は予想つきますから。ってことで風呂どーぞ!」

「っ未途、ほんま悪かった!どうしたら許してくれるん!?」

「糞メガネ早く風呂いけ。」

「なんでお前に指図されなあかんねん!」

「設楽が怒ってる。これ以上はヤベぇだろ。」

「チッ.....手ぇ出すなよ?」

「テメェじゃあるまいし。」


辰巳君は俺を気にしながらも風呂へ行った。その間俺は一度も彼を見ない。


「設楽これでもう大丈夫だろ」

「は?」

「この状態なら俺が居なくても下手なこと出来ねぇ筈だ。」

「なるほど!!」


済賀君頭良すぎ!
これなら済賀君が風呂で居なくなっても辰巳君に無体な事されない!
俺が怒っていればあの様子からして手は出してこないはず!!

......だけど食卓割ったの許してないからね?それとこれは別の話だから。

しかも君ナチュラルに2人で風呂入ってねって言った俺の言葉無視してるし。


「食卓割ったの悪かったよ。今度お前が気に入ったやつ買ってやるから機嫌直せ。」


なんで済賀君が''しょうがねぇな''って顔すんの!?それと頭撫でないでくれます?俺子供じゃないんですけど?


「済賀君さぁ....俺のこと子供扱いしてない?」

「?......そんなつもりはねぇけど。」

「無意識かぁ......。」


ならしょうがないか。無意識は治しようがないもん。俺知ってる。.....もの失くすとか。


「出たで!!未途無事か!?」


辰巳君早すぎ.....烏の行水かな?
しかし俺は怒ってる設定なので何も言わない。目も合わせない。


「....はぁ。俺風呂行くわ。おい糞メガネ、設楽怒らすなよ。」

「わかっとるわい!」


いよいよ辰巳君と2人きりになる。
こ、心細い!
だが俺は今怒ってる状態!!


「なぁ未途。まだ怒っとるん?どうしたら許してくれるんや?」


無視。


「無視せんといてぇ。.....未途。」


ぐっ、なんだその切なそうな声は!?
やばい罪悪感が湧いてきた。俺が悪者か?

何も言わない俺に痺れを切らしたのか、辰巳君は立ち上がり台所へ。

なんか辰巳君が可哀想に見えてきた。
これはもう怒ったフリしなくてもいいんじゃ?
怒りなんてとっくにないし。

目の前に影が差す。
そろりと顔を上げると包丁を持つ辰巳君が.....包丁?
何をー


「未途....これで許してぇな?」


ザシュッ


「え?」


顔に飛び散る赤い飛沫。
口に入ったのは鉄臭い何か。
辰巳君の腕からはソレがダラダラと流れている。

その姿が遠い記憶と重なって動けなくなった。


「あぁ悪い!ワイの血がっ」


包丁がカンッと床に転がる。俺の顔に手を添える辰巳君はさも俺を心配しているていだった。
彼はおかしい。悪いと言いながらその顔は恍惚としているし、心配そうにしているが黒い瞳は爛々と輝いている。


「でも、これで仲直りやな!」


目の前の男は何を言っているんだろう?
これで仲直り?.....どこがだよ。
怒りのまま頬に添えられた手を振り払った。


「っな、にをしているんだ!?腕まで切って!」

「....何を怒ってるん?なんか気に食わんことでもあったんか?」


キョトンとする辰巳君は本当に俺が怒っている意味が分からないようだ。
.......話が通じない!
もうダメだ。俺のSAN値がっ!!


「あぁっ、仲直りのキスせぇへんとな!」

「はっ!?」


......辰巳君が理解できない。
また顔を包まれる。抵抗するために藻掻くが、流石は風紀委員長....ビクともしなかった。

近づく顔。

ふと目に入った包丁の切り傷。俺は躊躇なく辰巳君の腕にある傷に爪を立てた。
肉に沈み込む爪。生暖かく柔らかい感触に、口の中が何故か鉄臭く感じた。


「っ、じゃじゃ馬やな未途は。指汚れてまったで?綺麗にせなあかんなァ。」



そう言って彼は俺の血に濡れた指を丁寧に舐め始めた。
そんな彼の姿に目が離せない。振り払わなきゃいけないのに、辰巳君の異常行動に頭が追いつかないのだ。


「くはっ、何やその顔可愛ええなぁ。ほれ、これで仲直りや。」


チュッ


唇同士を軽く押し当てるプレッシャーキス。
辰巳君の幸せそうな顔を最後に俺は恐怖のあまり失神した。



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