八尋学園平凡(?)奮闘記

キセイ

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第12話 補習だってよ

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俺、復活!!!!
え~皆さんおはようございます。

設楽 未途です。
あの交流会から既に一週間が経ちました。
交流会から帰ったその日はすぐ寝たね!もうグースカよ。次の日は休みだったしで、最高の日を送れました!

でね、更にいい事があったんですよ。
なんと済賀君が金券を魚釣りに使って、俺を誘ってくれたんです!


「なぁ設楽。金券の使い道、お前が言ってた船で魚釣り?にしようと思うんだが、行くか?」

「行きます!」


即答だったね。もう迷うまでもない。
え?頬ペロ事件?
なんですかそれ(困惑)?

たとえ何かあったとしても魚の前では些細な事ですよ!刺身食いてぇ。焼き魚でも可。

で、魚釣り当日来たのは済賀君のみ。最初は王道君達いつ来るんだろう?と思ってたら、済賀君が俺達だけだぞって言ったんですよ。

魚で頭いっぱいの俺はそっかと流し金が掛かってそうな船に乗り込んだ。.......あの二人いたら癒されないしね俺。
ってか漁船で行くと思ってたんだけど、いや、乗り込んだ船は漁船だったよ?ただ俺のイメージと全然違っただけで........不満はないからね?

そして出発。
釣竿の使い方とか餌の付け方とか懇切丁寧に船の人が教えてくれて、たまに挟まれるうんちくは聞いてて面白かった。

だが問題発生。
済賀君がダウンした。出発してまだ10分も経ってないんですけど......。


「済賀君大丈夫?」

「.........」


返事がない。まるで屍のようだ。
えぇ.....なんで船苦手なのに船釣り行こうとしたん?
もしかして、済賀君船初めてだった?
俺は1回乗ったことあるから大丈夫だけど。
船酔いとは無縁な強い三半規管の持ち主です(キリッ)。

引き返すか聞いたが続行しろとだけ言って目を閉じた済賀君。顔色すっげぇ悪いな。

まぁ済賀君が続行しろと言ったんでそのまま船は進んだ。

結果......俺だけ凄い楽しめました。済賀君については日の目に当たることはなかったとだけ言っておこう。

刺身とか焼き魚とかめっちゃ美味しかった。
済賀君は苦しんでたけど、俺は感謝してます。
交流会でのこととかで沈んだ気分が爆上がりですよ。......チョロいとか言わないでね?


そんな有意義な日々。

穏やかな気持ちで久しぶりに学校へ登校した。
一週間休むなんて優等生である俺としては心苦しい選択だったが、心の休息の為仕方なし。


「おい、猫屋。」

「はい?あ、おっちゃん先生。おはようございます。」

「あぁおはよう。で、今から準備室来れるか?」

「大丈夫ですけど、何か俺に用があるんですか?」

「まーな。」


まぁ俺を呼び止めるということは用あるよなぁ。
いや、でもこの人用もないのに呼び止めてくる時あるし.....。

2人でダラダラと歩きながら準備室へと向かった。

準備室のソファに腰掛けるとお茶を出される。
....湯気がでてて熱そうだな。俺猫舌だからすぐ飲めないぞこれは。


「それにしても会うの久しぶりだな。」

「そうですかね?」

「そうだよ。一週間も学校休みやがって。おっちゃん寂しかったぞ....。」

「へぇー」

「ぐっ、反応が冷たい!」


だって、おっちゃんに寂しかったとか言われても、へぇそうなんだとしか言いようなくない?

俺にどう言って欲しいの?


「俺もおっちゃん先生に会えなくて寂しかったデスヨ。」

「見事なわざとらしい言い方。でもおっちゃんは素直に受け取るぜ!」

「はぁ、それで俺に話があるんですよね?」

「おっとそうだった。お前一週間休んだだろ?だから補習な」

「は?今なんて?」

「補習」

「え!?特待生はテストでいい点取れば授業受けなくていいんじゃないの!?先生そう教えてくれたじゃんっ。」

「......そう言ったっけか?」

「言ったよ!」

「っ、悪い。多分適当なこと言ったわ。特待生でも一週間休むのは流石に不味いんだよ。今までお前がサボってた授業はおっちゃんが何とか公欠届を出してたけどさすがに今回は無理だった。」


え?おっちゃんそんなことしてくれてたの!?
俺今まで普通にサボってたけど公欠届出したことない......。

そうだよな.....普通出席日数とかあるから出さなきゃダメだよな公欠届。
生徒手帳読めとか言わないでよ?あんな硬っ苦しい文読む気失せる。
だからおっちゃん先生に聞いたんだよね。サボっていい?って。そしたらテスト受けりゃサボっても大丈夫とか言うもんだから.......。


「先生そんなことしてくれてたのか.....ありがとうございます。俺、これからはちゃんと授業うけるよ。」

「やめろ恥ずかしい。カワイイおっちゃんの猫屋のためだ。だからあんま気にすんなよ。いつものままでいいんだぜ?」

「わかりました。お言葉に甘えてこれからもサボらせていただきます。」

「.....そこはもっとこう、いいえサボりません!とかならねぇの?お言葉に甘えちゃうんだ。」


何言ってんの俺は遠慮しないよ。先生が甘やかしてくれるなら俺はそれに甘える。じゃないともったいない。


「まぁ話を戻して、補習ですね?わかりました。で、誰が担当教員ですか?」

「おっちゃんだ。」

「......おっちゃん先生かぁ。」

「なんだよ嫌なのかっ!?その言い方は嫌なんだなっ!?」

「いえそんなことないです。嬉しいですよ。先生で。」


本当にめんどくさいおっさんだな。メンタル弱すぎでしょ。ちょっとした冗談じゃないか。


「本当か!?」

「うん。」

「猫屋っ!」

「うげっ!?」


重いっ!!
俺は今先生に押し潰される形で抱きしめられている。.......これは傍から見れば押し倒されてる形に見えない?
ってかわざわざこっちに来て飛び付くなよ。先生自分の体格わかってんの?
あなた身長180後半だよね?

あぁっ、髭スリスリしないで!地味にチクチクして痛い!

あ、動けない。
え!?動けない!?


パチンっ


「っい゛!?」


右耳がジンジンするっ、痛い.....。
何やったのこの人!?


俺が睨むと先生は目を細め笑った。


「ははっ、見せてみ?」


グイッと顎を捕まれ横を向かされる。掴まれた顎が痛く感じた。急展開過ぎてついていけねぇ....。
なに?どんな状況?


「ん~綺麗にあいたな。消毒しねぇと、菌入っちまう......えーっとどこにあったっけか。」


この人誰?
この変わりようまさに豹変。
いきなり身動き出来ないよう押さえ込まれたと思ったら、俺の耳にピアス穴をあけてきやがった。

それなのにいつもと変わらない態度で耳を見せろとほざく。......おかしいだろ。どうしちゃったのさ先生。


「先生....俺痛いの嫌いだっつったよね?急に何?なんで耳に穴あけたの?本人の了承なしにそれは人としてダメだろ。」


おっちゃん先生は消毒箱をウロウロと探していたが、俺の言葉にピタリと立ち止まった。


「悪かったよ猫屋。おっちゃん一週間お前に会えなくて少しイライラしててな、ついやっちまった。あっ、そう言えば穴あけたらピアスつけるって言ってたよな?これつけろよ。俺とお揃い。ずっと待ってたんだ。お前がピアスあけるの。なのにお前あける気配全然ねぇし、害虫は寄ってくるし、お前は襲われてるし、なのにこっちの気持ちも知らねぇでヘラヘラヘラヘラ.....。俺があの糞ガキを特別扱いしたのだってお前がー」


え、ほんとに誰ですかこの人?
ほんとに誰ですかこの人(怖)??

三津谷ばりに饒舌に話す姿はどこか不気味だ。
表情もいつものヘラヘラ顔ではなく、口の端をつり上げるような歪んだ笑みだった。しかも目が笑ってない。

上っ面の謝罪に、よく分からん言葉の羅列.....。
下手に刺激したらやばいと感じ、俺は出されていたお茶を啜る。
......だって喉乾いたんだもん。


「はははっ、お前は自由だなぁ。オラこっち向け。俺が付けてやる。」


この状態の先生の何が怖いって、一人称がおっちゃんから俺になってるところなんだよね。

なんか見た目も相まってヤクザみたい。一人称と表情が違うだけでここまで変わるとは.....。先生ってこんな人だったっんだ。あれ?でも既視感あるなぁ。


「嗚呼すげぇいい。」


耳にピアスをつけられた。俺からはどういうものをつけたのか分からないが先生が満足そうにしてるので悪いものではないのだろう。
だけど、恍惚とした表情でほうと息を吐かないでください!ちょー怖いです.......。


「あの、先生?」

「んぁ?なんだよ。」

「落ち着きました?」

「......何言ってんだよ~。おっちゃんずっと落ち着いてたぜ?」

「この格好に疑問はないんですか?」


今俺は先生に肩を抱き寄せられる形で先生に凭れている状態だ。
.....なんかキャバクラ嬢になった気分。
お兄さん髭素敵ね♡ってか?


「すいません。俺そういうサービスやってないんで......他の子呼んできますよ。」

「はっ!?違う違う!やめろよその対応、なんか心が傷ついた。」

「冗談ですよ。」

「はぁ.......」

「........」

「........」


空気重く感じるのは俺だけ?なんか先生チラチラこっち見てくるし。聞いて欲しいの?
さっきの事。


「先生さっきのことだけど、」

「っ、」

「補習なしにしてくれるなら無かったことにしてもいいよぉ。」

「ぐっ」


なに『ぐっ』って、忘れて欲しいでしょ?
たとえ先生が踏み込んでほしく思ってても、俺は他人の心に踏み込むの嫌だよ。
浅く狭くが俺の交友だから。

そういうのは王道君にやってくれ。


「じゃあ補習はなしで。先生またね~」

「.......ピアスは外すなよ。」

「はいはい。」


ムスッとした先生を後目に俺は準備室を後にした。







先生....俺相手にそういう駆け引きは意味ないよ。
俺、めんどくさいことは嫌いだから。
......人選ミスだねぇ。
救われたいなら王道君へ....ってね。


.........先生って俺の事

なわけないか........。考えんのやめよう。


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