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第6話 交流会前準備だってよ
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「あ!!俺ルークもがっ!?」
「ちょっと静かにしようか王道ゲフン、愛斗君。」
ほらね~!やっぱ引いたよこの子!
これは別行動決定ですね。
っていうかなんで大声で自分の当たったチェス駒言うんですか?馬鹿なんですか?
「何すんだよ未途!」
「あのね、自分がチェス駒持ちだというのは黙っといたほうがいい。まだ交流会まで一週間あるから対策取られちゃうよ?」
王道君なんて猪突猛進だからすぐ罠に引っかかりそう。
「それなら大会当日まで誰がチェス駒?かわかんねぇじゃねーか!!」
「それでいいんだよ。どうするの交流会前に闇討ちとかされたら。やでしょ?」
「うっ、やだけど。」
どうやら納得してくれたようだ。まぁここの生徒は真っ向勝負!っていうのが好きな人多いから闇討ちとかやらないだろうけど。......多分。
いくら王道君がチェス駒持ちという情報を隠してもどっかから漏れるだろう。王道君口軽そうだし。もー得意げに『俺ルークだから!!』とか言いそう。
隠した所で交流会当日に雑兵と区別できるよう派手なハチマキとか渡されてバレるだろう。だが、ハチマキだ。遠くからならそいつがルークとかナイトでも、もしかしたら雑兵と見分けがつかないかもしれない。
「くじ引き引いてきた~。愛斗はなんだった?俺はポーンだったよぉ!!もう泣きそう。交流会はカメラ片手にケンカップルを拝もうと思ってたのにぃ。」
はいバカが1人~。もう、お前は知らん。
「えー!!晃輝ポーンなのかっ!?大丈夫か?お前細いし弱っちそうだ。」
「俺喧嘩全然ダメなのよ。殴られたら骨粉砕すると思う。」
「晃輝っ俺が守ってやる!なんたって俺はルークだからな!」
はい、バカがもう一名追加でーす。なにが『なんたって俺はルークだからな!』だ。確かにルークは城や戦車を意味するけど、だからってポーンは守れないから。この交流会に至っては。
しかも守ってやるって言った?
固まって行動するつもりですか?
......ルークとポーンが集まっていい的じゃねーか!!
俺は聞いてない。王道君がルークで三津谷がポーンなんて俺は知らない。....もう別行動決定だし。
「済賀君はなんだった?」
俺は心を落ち着けるためにアホ共から目を逸らし済賀君を見た。
済賀君は怠そうに俺の目の前にピラリと紙を開ける。
『KING』
「.......」
え.....?
目を擦りもう一度開かれた紙を見た。だけど何度見てもKINGの文字は変わらない。
これ勝ちでは?
済賀君がキングとかもうポイント取れないじゃん。
?.....待て待て待て!
このクラスにチェス駒持ち4人も居るの!?
あぁ~1クラス平等にチェス駒持ち居る感じか。
16を5クラスで割るから1クラス3人か4人で、このクラスは4人......。
いや、もしかしたら完全にランダムでたまたまこのクラスに4人当たったのかも......。
え、俺は何引いたかって?
.....ビショップですが何か?(ニッコリ)
くっそ、マジやってらんねぇ。
まとめますと
キング 済賀君。ルーク 王道君。ビショップ 俺。ポーン 三津谷。
見事に知り合いがチェス駒持ちですね。
「猫屋~。」
「ん?」
おっちゃん先生に手招きされて席を立つ。
なーんか嫌な予感。
「チェス駒はこの後視聴覚室で作戦会議らしいから帰るなよ。他のチェス駒にも伝えといてくれ。」
......なんでこの先生は俺がチェス駒持ちってわかってるんですかねぇ。
思わずジト目で先生を見る。仕組んでないよね?仕組んでないよね?
仕組んでたらその顎髭ヤスリで削り取ってやるからな。
「言っとくが、俺はビショップが猫屋に当たるよう仕組んでないぞ。」
「設楽です。ん?ビショップが?じゃあ何を仕組んだんですか?」
「それはだな....その、今回おっちゃんルーク担当なんだよ。」
「へぇ、良かったですね。彼にちゃんと当たって。」
俺はそれだけ言って背を向けた。
なんで担当とかあるのか意味不明だが、もういいや。俺には関係ないし。ルーク担当があるならビショップ担当とかありそうだけど、まともな先生に当たることを祈るしかない。.....卯月先生がいいなぁ。
というか、ルーク仕組んだのかぁ。おっちゃん先生の恋は応援したいけど、やり方考えて欲しぃなー。王道君ボコボコにされちゃうよ?
先生って好きな子のボロボロ姿見て欲情する人ですかね?
そうだとしたら付き合い方を見直さなくちゃいけなくなるんですけど。
先生が複雑な視線を向けてきていたが俺には先生の気持ちを察することなどできない。が、どーせ王道君を守って欲しいとか思ってるんでしょ?
へっ嫌だね~!
俺だって自分の身が可愛いんです!
いざとなったら王道君と三津谷になすりつける気ですが何か~??
済賀君は後が怖くてそんなことできない(真顔)。
内心そんなクズいことを考えながら、済賀君達チェス駒持ちに先生からの伝言を伝えた。
.....先生ほんとになんで俺がビショップだってわかったんだろう?
ルークを王道君にいくようにしたのはわかったけど、だからって俺がビショップなのわかんなくね?
そんなに態度に出てたかな?俺。
俺の中で先生超能力者説が浮かんだが、王道君によってその思考は邪魔される。
「え、未途って「はい黙ろうか!」むぐぐっ!?」
おいっ!?
自分のチェス駒明かすのはいいけど、他人のチェス駒を勝手に明かすのはマナーが悪いぞ!
そういうマナーを王道君に懇切丁寧に説き、なんとか理解させた。
「確かにそうだよな....ごめん未途!」
「いや、わかってくれればいいんだ。」
「ハァハァ腹黒平凡×王道ktkr!平凡攻めもいいよねっ、しかも一見人畜無害そうな顔してるのに腹黒ドSでセッセの時は言葉責めとか!!『ん?何か言った?はっきり言ってくれないとわかんないよ?』『い、ぃじわるっ』『ん~?』『あっ、ごめっ、あ゛ぁあ゛!?』とかとか!?愛斗が可愛すぎて意地悪しちゃうんですよね?分かりますっ。俺はわかってるから!あぁ、でもっ、王道×腹黒平凡でもいいかもっ!!いつもは腹黒ドSで愛斗に意地悪しちゃうのにセッセだと立場逆転しちゃうとか!?」
すいませーん!
俺セクハラ受けてるんですけど~?
この腐れ野郎ぶっ飛ばしてもいいですか?
王道君は素知らぬ顔して済賀君に話しかけてるし。スルースキルが着実に上がってるねぇ。済賀君に話しかけても無視されてますけど。心臓合金か?
ぶっちゃけ王道君は三津谷訴えてもいいと思うよ。余裕で勝訴取れる。
こいつどっかで1回、灸を据えなきゃな。
「話し終わったか?なら行こうぜ!」
うーん、一緒に行くのかぁ。あ、済賀君いつの間にか居ない。ずるっ!
結局俺は逃げること叶わず、王道君に引っ張られるように視聴覚室へ連れてかれた。
気の進まない俺を片手に王道君が扉を開けるとそこはまるでお通夜後のような雰囲気を漂わせていました。
ここ入るのぉ.....?
「うぁ.......」
三津谷が思わず声を漏らすのも理解出来る。
済賀君(ちゃんと居ることに安心)以外武闘派いないじゃん。
机に座っているのはほぼほぼチワワ男子という絶望。
16人居て喧嘩できそうなの済賀君のみってヤバくないか?もしかして済賀君がキングを引いたことによって2年生全体のクジ運使い果たしたとかじゃないよね?
「貴方達で最後。着席して。....全く、毛玉如きが僕を待たせるなんてありえないよ。あ、毛玉に言っても理解出来る脳ミソなんてないか。はぁ、会長様はどうしてこんな奴を.....」
なんか綺麗系の少年が偉そうに言ってきた。
よっしゃ、俺の方が背高い~!
この中だと済賀君の次に高いの俺じゃない?
「毛玉?なあ未途、あいつ何言ってんだ?」
「エッ.......サァ?ヨクキイテナカッタナー」
おぉぉぉい!
急に話振るのやめて!?
あの綺麗系少年、多分会長の親衛隊だから!
俺目つけられたくないの!
だが、少し安心した。あの少年は『にわか』だ。生徒会役員を役職名で呼ぶのはにわかで、苗字や名前で呼ぶのがガチ勢。
なんで俺がそんなことを知ってるのかと言うと、見たんですよ。実際に。
親衛隊が親衛隊に制裁される場面を。
ガチ勢の奴らが笑みを貼りつけて、淡々と話す姿はうすら寒いものを感じた。
「ふん!進行役は僕がやるね。キングは済賀様。クイーンはこの僕。他はーーーー」
まじか、綺麗系少年はクイーンなのか。
この人勝つ気あるのかなぁ?
だって、会長の親衛隊じゃん?会長にわざと捕まったりとかしない?
「いい?勝ちに行くよ!今回の交流会の優勝商品は金券なんだから死んででもポイントを集めるんだ!」
どうやら俺の考えは杞憂だったらしい。
そうか、優勝商品は金券なのか.....。
金券とは所謂何でも叶える券だ。何でも叶えるといっても常識範囲内の要望のみだけだが、ここは金持ち学園だから大抵叶ってしまう。
以前新校舎に建て替えてという願いがあったらしい。俺としてはそんな無茶なと思ったが、どんな魔法を使ったのか夏休みが終わる頃には全く違う校舎が建っていたという。
.....普通、校舎建て替えるのに夏休み期間だけで終えるのはちょっと頭おかしいと思います。
しかし!
学園への要望だけでなく金券は個人にも使えるのだっ!
例えば、キスしてくださいとか、一夜共にして下さいとか、デートしてくださいとか......。まぁ嫌なら断れるんだけどね。
あの新校舎建て替えの話を聞いた後にこの話聞くとしょぼく聞こえる謎よ.....。
でも、金券の最も恐ろしいのが親衛隊の干渉を完全にシャットアウトできるとこなんだよね。
生徒会全員(相手がOK出せばだが)とデートしても親衛隊は金券を使った人物に制裁を与えることは出来ない。これは暗黙の了解となっているんだ。
誰かが声高らかに言ったわけではない。だけどいつの間にかそういうふうになっていたらしい。
.....というのを金券って何?ってうるさい王道君に説明した。
「え!?じゃあ優勝した学年は全員金券ってやつ貰えるのか!?」
「なわけないだろ馬鹿毛玉!金券を貰えるのは優勝した学年のキングとクイーンを獲得した人と、優勝とか関係なしに最も多くの得点を稼いだ人だけだよ!」
うん、つまり。優勝した学年の中で他の学年のキングまたはクイーンのハチマキを取った人が金券貰えるってことだね。
プラス、優勝とか関係なしに1人で最多のポイント取った人も金券貰えるって。
だから最大5人に金券が与えられるってわけ。
「教えてくれてありがとな未途!」
「いいえー。」
「いや、僕が教えたんだけど!?」
この人ツッコミ属性だな。ツッコミと同時に筆箱を投げるとは....やりおる。王道君は避けたけど。
「毛玉はもう黙っててよ!?作戦発表が進まないからっ!はぁ.....見てわかる通りキングを除いて戦闘要員はいない状況だ。」
「俺は喧嘩できるぞっ!!」
「毛玉は黙ってろ」
これ以上は血を見る気がするので王道君を宥める。
はーいちょっと黙ろうか?
本番で君の出番はいっぱいあるから!
「ゴホン、キング以外はバラバラに隠れよう。いい?決して集まったらダメだからね?僕達は真正面からの喧嘩が弱い。だから隠れる。いや、隠れながら狩るんだ。自分を囮にして罠にはめてもいい。下僕に囮をやらせて一緒に罠に落としてもいい。とにかく派手にならないように狩るんだ。....よし、じゃあ今から誰がどの辺に隠れるかのエリア決めをするよ。」
この人サラッと酷いこと言ったよね?
下僕って.......。
結局は個々人で隠れながら頑張ってポイントを稼げってはなしだったな。.....来る意味あったか?
作戦と言えるほどのものじゃない気がするんだけど。
......まぁいっか。
その後何も問題なく作戦会議(笑)は終わって解散となった。
王道君は『慶佐に呼ばれたから行ってくる!』と言い、走り去ったし、三津谷はカメラ片手に消えた。
王道君色々とペラペラ喋りそうだなぁ。俺最近母親の気持ちっていうのがわかってきたかもしれない。アホの子を持つと色々と心配事が増えるんだね(遠い目)。
そして視聴覚室には俺と机に突っ伏している済賀君だけとなった。
いつから寝てたの?隣に居たのに全然気づかなかった。
「済賀君起きて。」
肩をポンポンと叩き優しく起こす。
「んあ?......終わったのか?」
「終わったよ。結局済賀君以外は隠れてやり過ごす形になったんだ。正面から喧嘩できる人いなさそうだし。」
「ふーん。」
うん、興味無さそう!
済賀君起こして会議の内容も伝えた事だし俺も帰ろっかな。
「おい。」
「?どうしたの。」
「当日俺は体育館ら辺をブラつくからなんかあったら来い。....じゃあな。」
「あ、ありがとう!」
済賀君の後ろ姿に声をかける。
なんかいきなり爆弾を投げられた気分だけど、何かあったら頼っていいってことだよね?
.....済賀君、君はなんていい人なんだ。
当日は存分に頼らせて貰おう。
........つまりなすりつけてもいいってことだよね?
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