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第十三章 命尽きるまで貴方を想ふ①
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しおりを挟む「テストどうだった?」
「俺数学落としたかもしれねぇ」
「はぁ?数学って、めっちゃ簡単だったじゃん。化学の方がむずかったって!」
「テキ先を一生呪う。......誰だよ鞭なんて選んだやつ!!ぐぅわぁぁ俺ですなんで鞭なんてマイナーなの選んじゃったの全然図書館に本なかったぁああ」
「本はあるだろ。誰かがテスト期間終わるまで借りたんじゃねーの?恨むならギリギリに勉強し始めた自分を恨め」
「僕、絶対にランク壱に落ちた.....」
「自己採点するの怖ぇーーーー!!」
「なぁ!異能技術の問4なんて答えた!?」
「望月様の奴隷になりますので、どうか俺....じゃなくて僕にご慈悲をください。......これでテキ先点数あげてくれると思う?」
「賄賂持ってけ。えーっと、一条!!テキ先ってゲーム好きなんだよな!?どういう系が好みか知ってるか?」
わいわいと騒ぐクラスメイト達に耳を傾けていると、名前を呼ばれた。
モッチー先生の好きなゲーム?
「確か今は.....RPGにハマっていると言ってましたね。ですが今話題になっているものはあらかた持っていると思うので、マイナーなものがいいかもしれないです」
「サンキュー!」
この歳で賄賂を考えるとか、ろくな大人にならないぞ?まぁこの世界はそんな大人の方が出世できるようなのでとやかく言うつもりはないが。
......さて、と。
「兎君生きてますか」
「兎君は死んでます」
「生きてるじゃないですか」
自分で自分を兎君と言う彼は珍しい。すっごい可愛いね。キュンだ。
「その様子じゃギリギリ合格っぽいですね」
「い~や!絶対に赤点とった。特に異能技術」
「大丈夫ですよ。その赤点とったの断言は『赤点はないだろうけど、ちょっと不安だし、何よりもし赤点があったら辛いから予防線張って出来なかったことにしよう』という心情の表れなので」
「そっ、そそそんなことねーし!!」
「絶対に赤点以上取れてますよ。君の勉強を見た僕が言うのだから間違いありません」
「.......燈弥にそうやって太鼓判押されるとホントに大丈夫な気がしてくるからすげぇよな」
スライムのようにぐでっとしていた兎君は復活。いつものニコニコ笑顔で「もうテストの結果のこと考えねぇ!」と鼻息荒くしていた。
で、1番の問題であるフー君は.....
「燈弥君~。僕も湊都みたいに大丈夫って言ってよぉ~」
「......」
「無言で目を逸らされたっ.....清継~!」
「うん、よく頑張った。結果は神に祈ろう」
「ぐはっ!!神頼み.....!!」
「あの、自分で出来たか出来てないかも分からないんです?」
気になっていたことを聞けばアホ面を返された。フー君にそんな顔返されるとイラッとくるなぁ。
「そりゃ答え書いた瞬間に忘れてるから覚えてないよ。僕の引き出しはぎゅうぎゅうだから、次々空けていかないと取り出すのも難しい。だから自分が何書いたか覚えてない。....今後のためにももっと容量空けなきゃ。あへ~(忘却中)」
「せっかく教えたのに自主的に忘れるとか馬鹿か!?俺達の苦労をなんだと思っている!」
「まぁまぁ清継、終わったことだしもういいだろ?」
「ぐっ.......ふぅ.........そうだな。だがこれからはコツコツ勉強させて容量を広げていくからな。覚悟しとくんだぞ芙幸」
「う''え''~。勉強終わったのにまた勉強とかご勘弁~」
「安心しろ。湊都も一緒だから」
「えっ!?!!なんで俺も!?」
わーわーギャーギャー。3人に微笑ましい目を向ける。瀧ちゃんは使命感に目覚めちゃったのか、2人を「立派な対影職員にしてやる」とか言っちゃってるし。フー君は頭抱えて呻いてるし。兎君は目をキョドらせて必死に話題を変えようとしている。
「そっ、それにしても!!文貴がくれたスペシャルノート凄かったな!!」
「そうそう!あれのおかげで勉強量少なく済んだし!ホント感謝だよね!!文貴君には!!清継もそう思うよね!?」
「.....あぁ、あれは凄かった。授業内容と教師の性格を加味して出題傾向を割り出すなんて芸当.....ここの教師をよく理解している。一朝一夕でできるものでは無い。中学、しまいには初等部から情報収集して積み上げただろう代物だ」
瀧ちゃんが話に乗ったことで、2人は顔を揃えて露骨にホッとした。そしてそのままスペシャルノートの話が続いていく。
「あれって文貴が作ったんだよな?」
「いえ違いますよ。文ちゃんの番である孝仁先輩のものです」
「「あ~....あの人のか」」
ウンウンと瀧ちゃんとフー君は頷く。
「あの人几帳面だったからなぁ~。これだけ精度の高いもの作れたとしても不思議じゃない」
「絵に書いたようなしっかり者だったからな」
「......いいこと思いついた!!みんなでテストお疲れ様パーティしようぜ!」
「急だね、でもさんせ~い。僕は鍋希望」
「もう3月だぞ?鍋はさすがにないだろ」
「3月といってもまだ寒いじゃん。ここ山奥だし」
「みんなでつつけるもの考えたら鍋くらいしかなさそうですよね.....」
「よし、俺は将翔と文貴に伝えてくる!」
「俺は肉でも買ってこようか。.....何人前買えばいいんだこれ」
「人数の2、3倍でいいんじゃない?余ったら余ったで別の日に食べればいいし」
「鍋のもともいっぱい買わないとですね」
こうして放課後までダラダラ過ごした。
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