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第十三章 命尽きるまで貴方を想ふ①
《side 財前 仁美》
しおりを挟む冬休み中、風紀の連絡網....もといグループメッセージにある爆弾が落とされた。
登坂『委員長と燈弥仲直りしたって』
登坂『しかも関係が進展したっぽい』
「マジで!?!?」
そっからはお祭り状態だった。みんなが言祝ぐと同時にこぞって登坂に情報を求めた。だが登坂から詳しい内容は分からない、こっちも探ってると『待て』を言い渡される。
まぁそれもそうか。なんせ相手はあの一条さんだ。我らが委員長を手の平でコロコロ転がしてる疑惑のある曲者。委員長との関係はそう簡単に漏らさない(それはそれで妄想が捗る)。
あ~俺も真波先生の誘いに乗れば良かったか?
と思ったが、テレビの速報で登坂の旅行先で大きな雪崩が起きたのを聞いて、やっぱやめといて正解だったなと自分で自分を褒めた。
やはり真波先生に関わると命を失う危険性がある。俺には委員長×一条さんの尊さを広める使命があるため命を危険に晒す場所に行くことはできない。
『セックスしたかな?』
登坂の雪崩から無事生還メールを見ていたら、そんなメッセージが流れてきた。
『いやまだでしょ』
『副委員長ガード硬いし』
『まず恋人同士にならないと....』
『えっ、アレでまだ付き合ってないの??』
『俺はもう恋人同士って聞いたぞ』
『誰情報だよww』
『そこら辺を今登坂が探ってんじゃねーの』
『副委員長×委員長ハァハァ』
『委員長マジで副委員長前だと性格変わるよな』
『委員長自覚なさそー』
『一条副委員長も自覚なさそう』
おい待て、今なんか俺の地雷踏んだ奴いなかったか!?俺は委員長×一条さんしか認めねぇぞ?
シュポシュポと流れていくメッセージ達から一条さん×委員長とほざいたやつを探そうとしたが、ここでまた登坂が登場した。
登坂『なくらなgw』
なくらな.....??
次を待ったが、登坂からのメッセージは数十分経っても来なかった。
日を跨いだ頃、途端にメッセージが ''なくらなgw'' で埋まる。やっぱり他の皆も気になるよな....。
財前『もう冬休み明け皆で一条さん囲って素直に聞いちゃえば良くないすか』
たどり着かないだろう ''なくらなgw'' の意味に俺はそうそう諦め、次の案を投げる。
紫蛇『いいですね』
黄犀『さんせー』
茶牛『うんうん』
赤鼠先輩の返事がなかったが、あの人はもうそれが通常運転なのでスルー。赤鼠先輩以外ほぼ全員から了承の返事が流れてきた。
あーあー早く冬休み明けねーかな。
と、楽しみにしていたのが遠い昔のようだ。
待ちに待った登校日。俺達は見事な連携で一条さんを風紀室へ連行。で詰め寄って聞いていたのだが......
「あ''?なんでこんな人が居んだよ。テメェら授業はどうし......燈弥」
委員長がやって来た。そしてなんと一条さんを名前呼び。今まであんなに一条さんを特別扱いしていたのに頑なに苗字で呼んでいた委員長が一条さんを名前呼び。
それだけで俺の脳内はお祭り状態。マジで冬休み中何があったんだ??
「なんで燈弥がここに.....事件か??」
「僕も自分がなぜここにいるのかさっぱりなんですよ。僕の周りを囲む彼らに聞いてください」
仲間達とコソコソ予想を話し合っていると委員長の目がこちらを向いて、自然と口が閉じ背筋が伸びる。
「で?」
冷たい目が俺達を見下ろした。この目を見る度に俺は思うのだ。やっぱ委員長の特別は一条さんしか居ないんだなと。だって一条さんに向ける眼差しは恋愛漫画で表現される優しい眼差しとか、愛する者に向ける眼差しとか、そういう在り来りなものじゃなくて........甘い感じはあるんだが、見ていて切なくなるような、ボタンをひとつ掛け間違えれば全て崩れるような.....目の離せない危うさ。
なんで委員長は一条さんにそんな目を向ける?
昔恋人同士だったとか?一条さんの性格の悪さを考えると幼少期弄ばれた可能性が無きにしも非ず?
「お、おれはただ委員長と副委員長が仲直りしたっていうのを詳しく聞きに来ただけだよ!?その先の話なんて全然気になってないし、聞くつもりもない!!」
「そ、そうですよ!!僕達は決して委員長と副委員長の淫らな営みについて全然興味ないです!委員長のガン突きに副委員長が潮撒き散らしてアヘ顔晒したとか、ほんと誰にも言うつもりは無いですはい」
妄想に耽っていたが、先輩達のまさかの発言に白目剥く。なんで誰も先輩達の口を塞いでおかなかったんだ!?
終わった。俺の人生終わったわコレ。
委員長の目が冷たいを通り越して絶対零度になってる。
「.....委員長、紫蛇を─────」
「''委員長'' ?」
一条さんがなにか言おうとしたが、委員長の不機嫌そうな声で遮られる。
古参の先輩にアイコンタクト。『委員長のあの態度どう?』と。
――初めて見る
そう返ってきた。
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