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第十二章 自身の勘は信じろ(ただし真波 御影は除く)
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しおりを挟むということでやってきましたスキー1泊2日の旅。
はい、そうです。いつの間にか温泉旅行がスキー旅行にすり替わっていました。ちなみに今知った情報。
「はぁ!?馬鹿か!なんで当日に言うんだよそんなこと!!」
怒り心頭のケーキ君。
まぁそりゃそうだよね。なんせ温泉に行くのとスキーに行くのとじゃ服装のレベルが違ってくる。
僕が聞いたのは、かの有名な『黒瑪瑙』温泉に行くということ。でも聞けば今日僕らが行くのは『涅芽皇』というスキー場らしい。
聞いたことないスキー場だ。僕が知らないだけかと思って文ちゃんに聞いてみたが、彼も知らないと言う。
「『くろめのう』で温泉っつったら黒に瑪瑙の黒瑪瑙しかないだろ!?」
「お、俺はその黒瑪瑙の方知らなかったんだよ!でも涅芽皇の方も温泉あるって御影先生が....」
「黒瑪瑙だと思ってそんな雪山行くような防寒具持ってきてねぇよ.....」
黒瑪瑙がある地区って比較的暖かいところだもんね。
でもケーキ君....嘆いてるとこ悪いけど、僕めっちゃ重要なことに気づいちゃったんだよね。
「ケーキ君、ケーキ君」
「ん、どうした」
「ここにいる生徒の数と教師の数を教えてください」
「1、2、3.....10人の生徒と真波の計11人」
「あそこに停ってる真波先生の車の車種は?」
「俺あんまし車に詳しくねぇんだよ。清継!!」
「.....呼んだか?」
「あの車の車種は何か知ってるか?」
「ミニバンだろ?大きさからして.....アッ」
瀧ちゃんは気づいたようだ。
「.......大きさからして6人乗りだ。詰めて乗ったとしてもせいぜい....8人が限界」
「へぇ....はぁ!?えっ、残りの3人どうすんだよ」
ということで真波先生~~????
どうするのですかぁ???
「アッ.....」
何も考えてなかったようですネ?とんだポンコツだ。兎君、やっぱり頼む人間違えてるよ。
「い、一条....!どうしよう!?」
「教師が生徒に縋らないでください。.....はぁ、仕方ないですね。助っ人呼びましょう」
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー
ーー
はい、呼びました。助っ人を。
「騙したな???」
はっはっはっは、落ち着きましょうモッチー先生。胸ぐら掴む手を下ろして下ろして。
僕が呼んだのはご覧の通りモッチー先生。
『実はゲーム仲間と一緒に1泊2日で懇親会をやろうとなりまして、もしよろしければモッチー先生もいかがです?会場が ''クロメノウ '' という遠いところなので、モッチー先生が来て下さるととても助かるのですが....4人乗り車持参で』
とまぁ、こんな感じに誘った。そしてモッチー先生がここに到着したのは連絡して数十分後くらい。
「すみません楽しみにしていたところガッカリするようなメンバーで」
「メンバーもさることながら、全然ゲーム関係ねぇじゃん。スキーってなんだよオイ。クロメノウって涅芽皇の方かよ!」
「スキーもゲームのうちに入るのでは?」
「入らねぇよ」
「細かいことは置いといて楽しみましょう!ここで帰るのはもったいないですよ。なんせ全て真波先生の奢りですから」
「その旨味を上回るデメリットがあるんだよアイツは」
「ほら、そこは兎君がいますし....」
そう言うと、モッチー先生は神妙な顔で兎君を見て頷いた。
「.......なら大丈夫か」
真波先生のポルターガイストとドジは兎君には効かない。ということで兎君は真波先生と同じ車決定。バラバラに乗って事故られちゃたまらないからね。
あ、ここでこのスキー旅行(?)に参加するメンバーを紹介します。
僕、兎君、宮野君、瀧ちゃん、ケーキ君、文ちゃんのイツメン6人。
プラスで.....トサカ君、放送委員長のうーちゃん、その部下の猫又 巳太郎先輩、何故か来たMr.ウマシカの計4人。
意外な人物が来たねぇ……
うーちゃんは定例会議で仲良くしてもらって以来だから、すっごい久しぶり(美コンとかの舞台で会った気もするけどアレはノーカン)。
猫又先輩は初めましてかな。
藍色のハンチング帽がよく似合っている彼は帽子に収まりきらない赤褐色のはねた髪とアーモンド型の碧眼のせいで猫っぽくみえる。
....放送委員は猫好きが多いのかな?
Mr.ウマシカはまぁ....僕目当てでしょ。
で、1番意外なのが....
「トサカ君――」
「そろそろ行くぞお前ら~。8人は俺んとこで、残りは俊樹のとこな。いざゆかん涅芽皇!!」
話しかけようとしたら真波先生に遮られた。
....いつでも話せる時間はあるから今はいいか。さっさとモッチー先生の車に乗ろう。絶対に真波先生の車には乗りたくないし。
.....あっ、兎君こっち来ちゃダメだからね?君は向こう。はい、回れ右~~よし!
モッチー先生の車に乗ったわけだけど....
メンツは僕、トサカ君、Mr.ウマシカの3人。イツメン僕だけ外れたなぁ。
「よろしくお願いします」
「よろしく」
「先生よろしくッス!!」
さて、僕は後部座席に座.....
「一条は助手席な」
「.....なぜです?」
「お前のせいでこんなことになったんだ。長時間運転する俺の相手をしろ」
モッチー先生の言うことはご最もなので、渋々助手席に座った。
車はゆっくり出発。真波先生の車と距離を空けてついて行く。
「はぁ、胃が痛てぇ.....。お前らよく真波が居るっつうのに参加しようと思ったな」
「あー、それ気になります。僕は最早強制参加に近しかったですが、君らは違うでしょう?」
「俺も強制参加だしな。よし、順に参加理由言ってけ。まず田噛」
トップバッターはMr.ウマシカ。
「そりゃもちろん燈弥君が居るからっすよ~!実はオイラ、1度でもいいから友達と遊びに行ってみたかったんスよね.....」
「そんな理由で命かけんなよ。真波が居ない時に遊びに誘え」
モッチー先生のツッコミの通りである。別に今日じゃなくていいでしょ....
「次、登坂.....登坂!?なんでお前がここに居るんだよ」
先生が二度見するほど意外なんだよねぇ、彼が参加するの。
「.....参加したらダメなのかよ」
「ダメだろ。お前に何かあったら一条の仕事が増える」
「――そしてそのせいで自身の仕事を手伝って貰えなくなると?」
「そうs......ゴホン!」
「殴りますよ??」
僕の言葉に肯定しかけといて、なに無かったことにしようとしてるの。....宣言通り殴りたい気持ちがあるが、モッチー先生は運転中だから渋々拳を収める。良かったね運転中で。
「ダメ教師は置いといて....当てましょうか?トサカ君のことですから、どうせ委員長に言われたんですよね?一条の行動監視してこい的なことを」
途端に目を泳がすトサカ君。分かりやすい反応ありがとう。図星か~。
自分は行かないくせして部下に行かせるとか結構なクソ上司では?文句言ってもいいんだよトサカ君。ああやめて、そんな使命感のある眼差しでこっち見ないでぇ。
「緋賀さんが頼むと言ったんだ。行かなわけが無い。.....あと仲直りオメデトウ。これで風紀の空気が良くなるな」
「え、なんだよ。お前ら喧嘩してたのか?」
滅多に風紀室に来ない先生には関係の無い話です。というか、こんな人前でヒナちゃんと僕のこと話さなくていいんだよトサカ君!!
「どうせ緋賀が悪いんすよね!だって燈弥君、自分が悪い時はすぐに謝るっすから!」
「自分が悪い時は、な。もしかしたら一条は自分が悪くないと思ってるかもしれねぇぞ?こいつは頑固だからなぁ。そうなったら最後、緋賀が折れるしかない」
はは~残念。今回は頑固な僕が折れましたー。
もちろんこんな事言うつもりは無いけど。
「本人の前で好き勝手言うのは感心しませんね。Mr.ウマシカは1週間連絡ブロックで、モッチー先生はカセット2つで手を打ちましょう」
「ごめんなさいっス!!!」
「俺の罰重すぎねぇか!?」
「はっはっは、冗談ですよ。冗談.....」
半分冗談。
「驚かせるなよ。....そんで、緋賀との仲直りはどう落ち着いたんだ?」
せっかくいい感じに話を逸らしたのに、この人は.....いい性格してるね。モッチー先生だけじゃなくて他の2人も興味津々でこちらを見てくるし、どうしたものか。
「.....簡単に言えば協力関係を結びました」
「ほぉ、どんな?どれくらいの協力関係なんだ?」
「どれくらい?......あ~.....僕のために全てをかけてくれる?」
「......お前も緋賀のために全てをかけるってか?」
「まぁ、はい、出来うる限りといいますか....」
どれくらいと言われると言葉にするのが難しい。あっ、ウィン・ウィンの関係と言えばよかったな?でもウィン・ウィンの関係と言うにはもっと、こう.....重い関係というか.....。
「一条、お前――」
「う~!!よく分かんないっす!!つまり、オイラと燈弥君の友情より強い結びつきなんスか!?」
モッチー先生の言葉を遮ってMr.ウマシカが身体を乗り出してきた。若干涙目なのはもう答えを察しているからかな?
「それはもう」
「うぅぅぅぅぅ!!じゃあ今回の旅行でその絆を上回るッスよ!!」
「馬鹿が。緋賀さんと燈弥の仲を超えることなんて出来るわけないだろ」
「馬鹿って言った方が馬鹿だ鶏!!雅臣が言ってたっすよ!───『燈弥はああいう男好みじゃねぇ』って」
「そんなテキトーな言葉を信じる馬鹿がいるとは驚きだな。戦闘狂の希望的観測だそれは。.....だよな燈弥」
「戦闘狂と言えば.....彼らは来ないんですね今回の旅行に。嬉々として来そうだなと思ってたんですが、なにか理由知ってますかMr.ウマシカ」
これ以上の話題は僕がダメージを負いそうなので強制的に変えさせてもらおう。変な話がサマ臣君とヒナちゃんに伝わると不味い。
だから疑問に思っていたことを話の区切りに聞いてみた。
すると、Mr.ウマシカはキョトンとした顔で一瞬静止し、次いでニマッと厭らしい笑みを浮かべる。
「雅臣とシゲちゃんは異能じゃ説明つかない現象にめっぽう弱いんすよ」
「聞きましたかトサカ君。これは急いで委員長に報告し、風紀顧問と生徒会顧問をチェンジさせなければいけませんね」
「メール、メール.....」
「やめろ!俺は絶対に生徒会顧問にならないからな!」
「冗談ですよぉ、3分の1は冗談」
「ほぼ本気じゃねぇーか!!」
もーうるさいなぁ。先生は運転に集中してください。
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