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第十章 汝、近づき過ぎることなかれ
《no side》
しおりを挟む爆弾魔こと佐竹 綱吉はつまらなさそうに目の前の男に視線を向けた。
「随分と楽しそうじゃん、お前。釈放されたばかりだから一応大人しくしといと方がいいんじゃねーの?」
「あッ、あんぅっ!....ぅイく、い''っちゃう....っ、ぉ''....んぅっ、イぐイく......!ぉ~ッッ」
「聞けよオイ。光秀やめ、やめだ。頼んどいて悪いけど1回抜け。この淫乱全然話聞かねぇ」
綱吉の言葉に光秀は組み敷いていた体勢から身体を起こした。ずるりと抜けるイチモツ。それはまだ臨戦態勢だったが、すぐに治まり、光秀はいつも通り綱吉の後ろに控えた。
きっちり着込まれ、さっきまでの情事が無かったことかのような出で立ち。
それはまるで『お前の事などどうでもいい』と言われているようで、先程まで組み敷かれていた眞中 薫は被虐心に後孔を疼かせた。
「はぁ、はぁ、はぁー......ちょっとなんで止めるの。空気読めない男はモテないよ?」
「黙らっしゃい。まず話を聞け。光秀のちんぽはその後だ」
「綱吉様、ワタクシの扱いに異議ありです」
「却下、たまにしとかねぇと身体に悪いぞ。やれる時にやっとけ。中断させた俺が言うのもなんだけどな.....」
さてと、と綱吉は婀娜っぽくベッドに座る薫を一瞥する。光秀によって上着を肩にかけられているが大部分の肌は隠されておらず、情事の後だとありありとわかる有様。ぶっちゃけ目の毒である。
綱吉としても美しいものは好きだが、それは鑑賞に限る。美しい花には棘があると言うように、自ら近づき棘に刺さるような真似はしたくない。
ましてや毒性がある花なんて。
眞中 薫によって狂わされた男達の末路を思えば、尚更忌避したくなるというもの。
光秀からの非難の視線を無視し、綱吉はドールである革手袋をはめた。
「始動『秋水』」
「は.....そんな物騒なもの装着してどうしたのさ。まさかビビってんの?このボクに」
「ぶははwまさか!こうした方がことが早く進むし......何より面白いだろ?」
「光秀....!!」
薫は自身に掛けられた上着をハッとしたように一瞥すると、それをかけた張本人に敵意の視線を向ける。しかし光秀は感情の窺えない表情で首を傾げるだけだった。
「光秀は知らねぇよ。俺が勝手にこっそりやったからな」
「.....まさかワタクシの服に爆弾仕掛けてるんですか?」
「俺達は一蓮托生だからな。問題ないだろ?」
「問題はないですが....それは一蓮托生ではなくて、ただの道連れというのもではありませんか?」
「ぶはっw確かにwwま、いいだろ」
「はぁ、まったく。あなたという人は....」
「とまぁ今の会話から察してると思うが、お前にかけられている光秀の上着は爆弾だ。だから眼帯を外さず、正直に質問に答えろ......って、なにちんぽ勃たせてんだよ」
「だってぇ!!光秀の爆弾...っ、ボクは今光秀に命を握られているんでしょ!?冷めた目。どうでも良さそうな顔!!ボクは今からこの爆弾を外してもらうために光秀にあられもない自慰姿を見せてなんとか気を引かなきゃダメなんでしょ!?それでボクのエッチなオナニーに光秀のちんぽがイライラして─────」
「やめろバカ!!光秀が可哀想だろ!?というか光秀の爆弾じゃねぇし、光秀がお前の命を握ってるわけじゃねぇし!!俺だ!!俺がお前の命を握ってんの!!」
「─────はぁ、萎えた」
「態度の差ぁ!」
「当たり前でしょ。どうしてお前みたいな不細工に欲情しなきゃいけないわけ?ましてや懲罰棟の外で」
「不細工じゃねぇよ!俺はフツメンだ!!あ''~、くそっ!!話戻すぞ!?」
ドールである秋水達が『綱吉不細工』『笑』と口々に囀っていたが、綱吉が笑いかけると途端に口を噤んだ。気を取り直した綱吉は再度薫にへと視線を送る。
「で?風紀の見張りは?」
「これで解決」
''これ''と言って薫が指したのは左目を覆うように装着された白い眼帯。
「ってことは、もう好き勝手やってるんだな」
「もちろん!今までの溜まりに溜まった欲望を発散したさ!!そのための美コンじゃん?」
「美コンを建前にセックスとかお前だけだろw普通は逆なんだよ。美コンのために身体を売ってんの。どうか僕に票を入れて下さ~い....ってな」
「へぇ.....ま、そういう奴らは心を削って頑張ればいいんじゃない?どうせ優勝はボクのものだし」
「まぁ顔はいいからな」
「アソコの具合もね」
「まじ黙れお前爆発させるぞこの淫乱」
「やーん、光秀~!佐竹がボクを虐めてくるぅ」
「.....」
「~~アッ...ん''ぅ........ぇ、えへへ。光秀の冷たい視線で甘イきしちゃったぁ」
「高度な変態プレイはお控えくださーい!!光秀つまみ出せ」
「ワタクシのために自らが動こうとは思はないのですか?」
「..............お、思ってるぜ?」
「聞いたワタクシが馬鹿でした。見送ります、眞中さん」
「えー、光秀のちんぽは?」
「残念ながらお預けです。またの機会を」
「ボクに光秀を思ってオナニーしろってことだね!?わかった!!」
「......はぁ、行きますよ」
哀れ光秀。
主人である綱吉はそっぽを向いて知らん顔を続ける。その横顔にはありありと「関わりたくない」とかかれていた。
《side end》
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