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第九章 心乱れる10月
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しおりを挟む「正常位だろ」
騎乗位かな、と考えていたら横槍を入れられ、後ろに引き倒された。頭が固い胸板にぶつかる。
「随分座り心地の悪い椅子だね」
「重臣のためだ。広い心で許せ」
内心ホッとする。ここでサマ臣君が混ざるとか言い出したらどうしようかと思った。彼が参加したらよがり狂う未来しか見えない.....いいようにやられるのは癪だ。
「はんっ!?ぁ....ッ、ふ.....ぅう''」
「うっわぁ....っ、なんだこれ気持ちい、い」
サマ臣君と話していたら、急にぞりぞりと中に入ってくる感覚に背筋が粟立った。
確かな質量を持ったモノが腹の中に埋まる。息をする度に中に入っているものをありありと感じてしまい、腹部にグツグツと熱が溜まる。
「はぁあっ────ん''!!」
「くぅっ.....はっ、はっ――」
さらに奥にへと、異物がゴリゴリと気持ちいいところを押し潰しながら侵入した。僕は精液を出すことなく呆気なく達する。チカチカと視界に光が弾け、耳元で響く弟君の荒い息にまた背筋に甘い痺れが走った。
でも、グツグツと。
まだお腹の奥深くで熱は燻っている。
「射精(イ)きそっ、ふぅぅっ.....!」
歯をかみ締め耐えるようにそう言うと、彼は僕の太腿を抱え、ググッと繋がりを深くした。快楽による生理的な涙を流しながら、首筋に歯を立てる弟君の頭を撫でる。そんな僕をじっと視姦するように、後ろにいるサマ臣君が上から覗き込んでいた。
ははっ、鎖真那双子にサンドイッチされてるよ僕。
「あ~眼福。はよイけ重臣。オレもしたい」
「ングっ....!ふっ、ぁでる....でる――」
「いひひ.....そうそう、言い忘れてたけどお前に渡したゴム穴空いてっから」
「はっ!?!?ふざけ────ぉい''!?」
サマ臣君の言葉に驚いたように腰を引いた弟君だが、サマ臣君が僕を挟んで脚を弟君の腰にがっしりと回し、引き寄せた。
押し戻され、サマ臣君の引き寄せる力も合わさり奥深く突き刺さる。
「イっ、お''ぁ.....!!!~~~ッ!!!」
視界が霞んだ。息をするだけで気持ちいいのが襲ってくる。呼吸をする度お腹が動いて、自分で締め付けて....っ頭がおかしくなる。ぷしゅぷしゅと潮を吹いてお腹を濡らす、その感触ですら気が狂いそうだ。
「やめっ、雅臣ィィィィ!!!っ、ぁあ''――」
「いっひひひ!!おら、もっと腰寄せろ。覚えとけよ、そこが燈弥の弱いとこだ」
ごりごり
お腹を削られているようだ。声が出ない。視界はずっと星がチカチカ光っている。ゾワゾワが止まらない。あ、せりあがってくる。気持ちいいのと、苦しいのがせりあがってくる。なにこれっ?
なにこれぇ??
「わかっ、わかったから!!たのむからっ、ハッぁ''....っうぅ、やめろっ、ん''!まさおみぃ....っ」
「見るのはオレじゃなくて燈弥だろ。見ろよ。燈弥の顔....トロトロになってる。すんげぇ気持ちいいってさ」
顎を掴まれたせいか、弟君の顔がよく見えた。耳も、顔も真っ赤にして、瞳には涙を溜めている。口端からは涎が垂れていて、耐えるようにフーッ、フーッと息を荒らげていた。
その表情が情けなくて、可愛くて、おかしくて....
気づけば首に腕を通しキスをしていた。
────ごりっ....♡ぐちゅンッ....♡
自分から動いたせいで結腸で弟君のものが暴れる。イき狂う。イく度にお腹が痙攣して、またその刺激でイってしまう。
視線が合った。堪えるような、悔しそうな、ぐちゃぐちゃの顔。
力の入らない腕を引っ張られた。サマ臣君から身体が離れる。だけど、力の入らない身体が落ちる先は....繋がった弟君の上。
─────ごちゅんッッ....♡♡
刹那の攻防。
僕は喉をせりあがってくるものに咄嗟に弟君を突き飛ばした。だけど力の入り切らない拒絶に意味はなかったようで、弟君にぎゅーっと隙間なく抱きしめられた。
「ぁ───~~っぐぅ、ぃ......!!!!」
「がひゅ''、ぉえ''ぇ~~っ.......!おエっ、ぅう''.....っ、っ」
イきながら弟君の肩にゲロをぶちまける。
どぷ....どぷ.....ッ
身体が跳ねた。破れたゴムから垂れる精液の熱さに身体が痙攣する。ひゅーひゅーと喉から音がなり、ビクビクと身体を跳ねさせる。ぼんやりした頭で『このままじゃダメだ』と漠然と思った。
また垂れてきた精液でずっとイき続ける。そんな気がした。だから弟君に抜いてもらわないと――
そう焦っていたらずるりと後孔から異物が抜けた。
「なんだよぉぉっ、クソ雅臣!!阿呆雅臣!!中にっ、中に....うぅっ、バーカバーカ!!」
「けほっ....ひゅー、ひゅー....」
弟君はサマ臣君に罵声を飛ばしながら、僕を隙間なく抱きしめお風呂場に駆け出す。まだ余韻で話すことの出来ない僕は人形のようにされるがまま。
「なーに言ってやがる。最後は自分から腰振ったくせに」
無言で弟君と一緒にシャワーにあたっているとサマ臣君が呆れたように顔を覗かせた。
「うるせぇ!ゴム渡した意味ねーじゃねぇか!!騙したな!?」
「疑いもなく使ったお前が悪いだろ。っていうか気づくだろ普通。あーあー、燈弥に生で射精しやがった。どうすんだよ。殺すのか?」
物騒な言葉に休んでいられなくなった。快楽の余韻はまだ引いていないがサマ臣君に物申す。
「――ちょっ、と割り込むね。けほっ、サマ臣君こそ....散々生で射精しやがったでしょ。何言ってんの?どうもしないよね」
「燈弥ちゃん!!」
燈弥ちゃん!?!?
真正面に近づけられた弟君の顔に困惑する。ちょっと涙目になった赤い瞳は何かを決意したようで....あ、嫌な予感。
「燈弥ちゃん.....責任とれよ」
「はい??」
「おれっち、もう燈弥ちゃんのとこ以外に帰る場所ねぇから」
「はい????」
ごめん、何言ってるか全く分からない。おい、キスをするな、キスを。
「おれっちの家。おれっちの拠り所。おれっちの家族.....」
「サマ臣君説明を」
弟君には言葉が通じてない。頼むサマ臣君。説明を。
むぎゅぅと音が鳴りそうなほどの抱きつきに辟易しながら、首を回しサマ臣君を伺う。するとサマ臣君は意地の悪そうな笑みを浮かべて近寄ってきた。
「んー?ただ重臣はセックスした相手に異様に愛着が湧くだけだ。深く考えんな」
「この態度は愛着じゃなくて執着だね。ふざけんな」
怠くて動かない身体を洗われ、また寝室へ。あの淫靡な部屋に戻るのかと辟易していたら、いつの間にかぐちょぐちょのシーツはなくなり、ベッドメイキングされていた。え?誰が??サマ臣君?
「燈弥ちゃん~」
ベッドに転がされると、構えとでも言うように強制的に弟君と視線を合わせられた。そしてそのままがぶりとキスされる。
あー....これはまた僕はモグモグされるんですネ?
まぁどうせ2日間はこの部屋に居なきゃいけないから、流される方が楽か。
今何時だろう。
「んっ、弟君....ちょっと待って」
「なに」
「重臣だけずりぃー。オレも混ざる」
「だから待て。今何時?」
「これか?燈弥ちゃんのスマホ」
脱ぎ捨てられた僕の服をゴソゴソしたと思ったら、弟君が僕のスマホを持ってきてくれた。時間は....土曜日の13:17か。あと一日半過ごせばいいわけね。
「......燈弥ちゃ~ん、スマホ貸して。雅臣におれっちを苛めた仕返ししたい」
「苛めてねぇよ」
「面白そうだからいいよ」
なになに?
スマホで僕の写真を撮って....え?もっと辛そうな顔しろって?はいはい、こう....いう感じね。
それで?
その写真をメールである人物に送ると。
「誰に送ったの?」
「5秒後にわかる」
カコカコと文字入力をしながら弟君は言った。5秒後ねぇ?
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──────Prrrrrrrr、Prrrrrrrr!!!!
床に脱ぎ捨てられたサマ臣君の服から大きな着信音が鳴る。
「おれっちはもう許した。ま、そいつが許すかは知らねぇけど」
マジでだれ?あのサマ臣君が渋面を浮かべるほどの相手って。
「重臣てめぇ....クソっ、もしも――」
『お前何してくれてねん!!!!』
うわぁ....スピーカーにしてなくてもここまで聞こえる声量。キャベツ君元気だなぁ。
「.....わるかったって。ちょいはしゃぎ過ぎただけじゃねぇか」
『あんな歯型つけよって!!燈弥君の肌に傷残すとかっ、おまえ~~~っ』
「お、オレだけが悪いわけじゃない。重臣も噛んでた」
『アホか!!重臣がセックスするわけないやろ!!チッ.....おい、セックスはいくらでもしたらええ。やけど、傷だけは残すな。――そっから出た後覚えとけよ雅臣ィ』
────ブチッ
通話が切れた。
....こいつもこいつでズレてんだよね。セックスはいいとか、身体に傷残すなとか。キャベツ君は何目線で語っているんだろう?
「ぐぅ、めんどくせぇことになった。颯希は強いとか弱いとか関係なしに、ただただめんどくせぇんだよ」
「いっひひひ。ざまぁwwwwおれっちは日頃の行いがいいから信用されてんだよ」
「逆だ馬鹿。日頃の行いが悪いから信用されてんだよ」
仲がよろしいことで。
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