狂った世界に中指を立てて笑う

キセイ

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第九章 心乱れる10月

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問1)1人で居るのが好きだ
はい・いいえ

問2)1人で食事をとるのは寂しい
はい・いいえ

問3)後悔はしないほうだ
はい・いいえ

問4)本音を言える友人がいる
はい・いいえ

問5)自分の居場所がある
はい・いいえ

問6)友達は多い方だ
はい・いいえ

.
.
.
.



「アンケート.....いえ、心理テストですか?」


この紙を渡してきたモッチー先生に聞けば何とも言えない顔を返される。


「まぁ、心理テストと言えば心理テストだな」

「その反応気になるんですが....」

「なんで俺と燈弥だけなんだ!?」


兎君は元気よくそう言った。教室ほど広くない数学準備室(モッチー先生'sテリトリー)で、距離もそこまで離れてないのに不自然な声量で。

本人は吹っ切れたと豪語していたが、心は嘘をつけないらしい。まぁ、根岸 幹登と葉谷 真澄の件の時も立ち直るのに時間をかけていたから今回も''そう''なのだろう。なに心配はしてない。彼は必ず立ち上がるから。


「元気いっぱいだなぁ。その活力を俺にも分けて欲しいくらいだ」

「元気いっぱいのモッチー先生とか偽物を疑うレベルなのでやめた方がいいですよ」

「そこまでか!?」

「または''とうとう頭にきたか....''と憐れみを覚えるくらいです」

「ひでぇ....一条、俺の事嫌いだろ」

「好きでは無いですね」

「ぐぁっ....メンタルやられた。今日の授業自習にしといてくれ」

「そう言ってゲーム機をいそいそと準備する先生は間違いなく強メンタルです。で、話を戻しますけど...なんで僕達だけなんですか?」


紙をペラペラと見せつければ、気の毒そうな顔をされ目を逸らされた。
....おい、目を逸らすな。


「兎君、どうやら先生は耳が遠いらしいです。耳元でもう1回さっきの質問を言ってあげてください」

「わー!待った待った!俺だって知らねぇんだよ!なんでお前らだけその紙を渡されたのかっ。俺は上からお前ら2人にやらせとけって伝言もらっただけだし」

「上?」

「そうそう」


本当に知らなさそうな態度だ。でもそれなら、なんであんな気の毒そうな顔をしたのかわからない。あれはどう考えても何をやるか知ってる顔だ。

うーん。モッチー先生って顔に出る人だと思ったけど、結構隠せる人なのかな?
いや、この人は――


「な、なんだよ。あ!ゲームデータは俺が守るっ」

「そんなもんに興味ないです」

「前科あるだろお前」

「ありますが、今はそんなつもりないです」


警戒と怯えを顔に貼り付けた先生に口端が上がる。
トラウマになってるねぇ。よしよし。


「聞き方を変えます。なんのイベントがあるんですか?」

「.....誰にも言うなよ?」


こくりと頷く。やっぱりモッチー先生は聞かれた事しか教えない人だ。つまり今月何が行われるか知っているが、どうして僕達にこれが配られたのかは知らないらしい。


「合コン」

「「....はぁ!?」」


僕と兎君の声が重なる。
合コンって、あの合コン!?なんでそんな....


「1年と2年の仲直りお食事会。通称合コン」

「仲直りさせる気ないだろ!?ここの生徒と学園の性質考えりゃ無理って俺でもわかるぞ!?」

「まぁまぁ、気楽にいけよ。自由参加だし....多分」

「いやいや。この紙の説明がありませんよ?なんの関係が?」

「それは知らねぇ」



マジでなんなんだこの心理テスト。



問37)人を殺したことがありますか?
はい・いいえ

問38)殺した人の顔は覚えていますか?
はい・いいえ

問39)自分の欲のために人を殺せますか?
はい・いいえ

問40)他人のために死ねますか?
はい・いいえ

問41)死にたいと思ったことはありますか?
はい・いいえ

問42)死に恐怖を抱いていますか?
はい・いいえ

.
.
.



....本当になんなんだろう。
この心理テスト(?)は。

最後の質問に行くほど邪悪な問になっている。



「あ、その紙は名前書かなくていいらしいから書くなよ。んで、全部記入したら封筒に入れて俺に提出」


無記名心理テスト??
ますます意味がわからない。


「ほら、もう用はないからさっさと授業に戻れ」

「次は先生の授業だぞ!」

「さっき言ったろ。自習」

「アレまじだったのか!?」

「俺はいつもマジだ。ほら行った行った」


数学準備室を追い出された僕達は封筒片手に立ち尽くす。


「教室戻るか....?」

「戻ってもどうせ自習ですよ。僕はこのまま風紀室に行って業務を進めようと思うのですが....一緒にどうです?」

「なんで進んで働くんだ??終わらしたら終わらしたで追加の雑務を押し付けられんのに.....俺は芙幸達と遊ぶから絶対行かねえ!仕事中毒には絶対になりたくない!!じゃあな!!」

「.....えっ、仕事中毒!?」


僕が!?
そんな....僕はただ自分のやるべき事を早く終わらせて帰りたいだけなのに。ん?でも最近は全然早く帰れてないな。

自分の仕事をやっても次々と書類が積み重なって....


「もしかして追加で別の仕事やらされてた?」


うわぁ....確かにこれは兎君に仕事中毒と言われてもしょうがないな。


「....風紀室行こ」


だって僕、自分の机は常に綺麗にしたい派だから書類やファイルが積み重なってるの嫌なんだもん.....

決して仕事中毒な訳では無い













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