狂った世界に中指を立てて笑う

キセイ

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第八章 体育祭

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さて1年生会議。
メンバーは僕含めた生徒会メンバー5人と風紀委員長、副委員長の計7人。以前経験した定例会議より最悪の状況。

こんなギスギス空気の中、やはり最初に口火を切るのはこの男。


「....今から体育祭についての会議を始める」


寝癖なんて知らないような藍色のサラサラ髪。ポニーテール姿の彼は硬い雰囲気を纏っており、近づきずらさがある。でも僕は知っている。


「.....ではまず、誰が1年生を引っ張っていくかだが――」


彼が苦労人だということを。1番やりたくない役を頼まれてもいないのに率先してやる姿は拍手を贈りたいくらいだ。


「「.....」」


苦労人――骨喰君の言葉に当の本人達はだんまり。沈黙が1分続けば、ついに骨喰君がお腹辺りを苦しそうに押えた。

もう、見てらんない。


「1年生全体をどちらかが仕切るんじゃなくて、表と裏を個々で仕切ればいいじゃないですか」


誰が引っ張ってくかは、最初は会長かなと思ってたけど、委員長が会長の下につくわけないと気づいた。そこで考えたのが''別々''ということ。
そう助け舟をだせば骨喰君のちょっと涙目になった翡翠色の瞳に見つめられる。
うん、よくやった。君は偉いよ。あとでお茶しよう。愚痴いくらでも聞くから。


「お2人共それでいいですよね?」

「一条。何勝手に決めてるんです?そんなの分けなくても1年生全員を引っ張るのは神崎様​――」

「咲谷、会議が終わるまで黙ろうか」

「....はい」

「燈弥君、僕はそれでいいよ。緋賀はどう?」

「ちっ、文句はねぇ。テメェが俺様の上に立つなんざ憤死もんだからな。個々でやった方がいい。そうだなァ仕切るなら​──」


言葉を切った委員長と目が合う。


「....表だ」


瞳は直ぐに逸らされらが、どこか葛藤のような色を宿していたような気がした。僕が委員長の表情に気を取られていると、側から『バン!』と机を叩く音が鳴る。


「勝手に決めないでくれるかな。僕も表がいいと思ってたんだけど?」


これじゃ話進まないなぁ。いちいち委員長に突っかかってたら日が沈んじゃうよ会長。いつもの大人っぽさを装着してよ。


「ゴホン!!ちょっと話ぶった切りますね。萩野君!!」

「ぅえ!?俺!?なに~......?」

「眠そうにしてるとこすみませんね。いやほんとに。こんな状況でウトウトできるなんて頭おかしいとしか思えないんですが、まぁ置いときます。それで、君は表と裏どっちに出たいですか?」

「ごめんって。そんな怒んないでよイッチー.....俺は裏一択」

「骨喰君は?」

「どっちでもいいぞ」


咲谷君は会長次第だろうし。僕はもちろん裏。


「哀嶋君は?」

「私は表です」


哀嶋君が表......表か


「なら表は風紀。裏は生徒会でいいですね会長」

「あれ?燈弥君はいいの?君のことだから表に出たがると思ったんだけど。無理してない?」

「無理してないですよ。最初から裏に出たかったくらいです」

「そう。うん、わかった。表は緋賀に譲って僕は裏にするよ」


急に機嫌が良くなった会長に、何故か舌打ちする委員長。意味不明な反応だったけど、これで解決。
骨喰君に向かって頷く。すると彼は『たすかった』と口パクで言い、次の議題へと話題を変えた。


「机に置いてある資料を見て欲しい。元生徒会組の性格と異能をまとめたもので、それらを考慮し作戦を立てたい。これまでの行動から爆弾魔と真田は表と裏で分かれるのではと考えている」


ふむふむ。
【元生徒会組】
〇佐竹 綱吉(α)
異名『爆弾魔』
異能:ヴァイス『秋水』//黒い革手袋のドール。触れた命無きものを爆弾に変える。爆発範囲は直径1cm~直径2mまで。爆発条件を変えることもできる。

詳細:元生徒会長。性格は明るく社交的。行動は楽天家と思わせるものだが実際は策略家タイプ。
そして何よりも愉快犯。


〇真田 光秀(β)
異能:不明

詳細:元副会長。ロボットを思わせるほど機械的な人間。いつも佐竹に付き従うようにそばに控えている。なんでもそつなくこなすタイプで、佐竹からも信頼厚い。
.
.
.


なるほど。真田先輩は佐竹先輩に信頼されてるからどちらかを任されると。


「十中八九、爆弾魔は策が講じやすい裏に出るだろうから表は真田と考えていいだろう」

「十中八九と言っても確実ではないですよね?骨喰さんの考えを前提で策を講じるのは危ないと思います」


骨喰君に意義を申し立てたのは哀嶋君。
僕としてはどちらの意見も理解出来るから、擁護しずらい。


「そこで、私から提案があります」


悩んでいると続けて哀嶋君が口を開いた。


「風紀は事前に参加意思のある1年生に表か裏、どちらに出場するか聞き取りを行いました。裏参加希望の生徒の資料を渡すので、それぞれで作戦立てませんか?表と裏の開催場所も内容も違うようですし、一緒に作戦立てる意味ないでしょう?」


確かにそうだ。ぶっちゃけ表と裏はやることが全く違うため、作戦とか意味あるの?って僕も思っていた。


「哀嶋の言う通りだ。神崎の吐き気を催すツラを見ながら仲良しこよしで作戦会議なんざ最初から無理なんだよ。テメェら生徒会はさっさと帰って陰湿な作戦でも話し合ってろ」

「本当に口が悪いねお前は」


殺気が飛び交いそうになってきたので、ここで会議は解散となった。
結果、生徒会組は生徒会室へ。委員長達は引き続きこの会議室を使い話し合うことに。


去り際、僕は自分だけが持っているだろう情報を風紀に伝える。


「鎖真那の双子は2年側で出るそうですよ。あ、情報の出処は内緒です。では失礼しますね」


ドアの向こう側から「ふざけんな!」というキレ声が聞こえたような気がしたが.....哀嶋君頑張ってね!










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