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第八章 体育祭
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しおりを挟むゼニ君と別れて教室に向かうと、クラスメイトに道を塞がれる。惜しいな、あと少しで兎君達のところに辿り着けたのに。
「一条.....あの写真本当か??」
「う、嘘だよね!?一条くんってマトモだからそういう''ふしだら''な関係持たないよね!」
さすが僕のクラスメイト。掲示板前にいた生徒達みたいに決めつけて責め立てるような人達じゃなくて良かった。こういう時のためにもクラスメイトと交流を持つことは大切だね。
ナイス判断だ僕。
「僕は清廉潔白.....決して貴方達が思うようなことはないですよ。それに知ってますか?今どき誰もがパソコンで嘘の写真を作れることを」
「だ、だよね!!!」
「なんだ合成写真か。確認してよかったぜ!色々と世話になった友達が悪く言われんの苦しいからな.....アイツらにも言っとくわ」
「あ、僕も友達に伝えてくる!」
これで教室では心安らかに過ごせる。
「おはようございます」
「おはよう.....またやったな燈弥。お前はいつもそれっぽい言い回しをして答えを誘導する」
瀧ちゃん....聞こえてたんだ。ということは他の2人にも聞こえたと思っても良さそうだね。
「なんだ合成写真か...!タチの悪いことをする奴がいるんもんだな!!燈弥がちょっかいかけられたらどうする!?」
「合成写真かー(ニヤニヤ)。よかったじゃん。湊都ずっと朝からソワソワしっぱなしだったもんね~」
「そ、そそそんなことねぇし!」
瀧ちゃんと宮野君は信じて無いようだ。まぁ別にいいけど。
「はぁ、お前が何も言うつもりないならそれでいい。.....手伝いは必要か?」
「大丈夫ですよ瀧ちゃん。気持ちだけ受け取っておきますね」
詮索しないところとか、さりげなく心配してくれるところとか.....!!本当に瀧ちゃん!!君って人はっ。
僕が女の子なら絶対に瀧ちゃんに惚れてた。イケメンすぎる!
「ね、ね燈弥君。燈弥君って体育祭表出るでしょ?一緒に三人四脚組まない?」
....学校が始まって少し経ったある日、つまり今日。生徒みんなに一斉メールが送られてきた。それは体育祭についてのルール及び、表と裏で行われる戦いについて。
僕は変態キャベツから体育祭は寮の階数決めの場と教えられていただけで、詳しいルール内容は知らなかった。だからとても助かった。マジで。
「おぉぉ!燈弥が居るなら絶対優勝だな」
「実はさぁ、表の種目さっき見たんだけど
二人三脚なくて....困ってたんだよね~」
「瀧ちゃんに頼んでは?」
「俺は裏にでる」
え、意外。
瀧ちゃんなら安全な表に出ると思ってた。
「表だと絶対に競技に出なきゃいけないからな。裏はまだサボれる」
「なるほど」
「で?燈弥君一緒に出てくれる!?」
「.....すいません。僕も裏に出るので」
「「「!?!?」」」
そんなに驚く?
「デスクワークの燈弥が!?やめとけよ……!」
「燈弥君が自ら戦地にいくなんて!!」
「争い事が嫌いなお前が?」
でも次の一言で安心の顔を見せた。
「瀧ちゃんと同じ考えです。サボろうかと」
「「「.....だよなぁ」」」
みんなが僕のことを理解してくれていて嬉しい。
「ん?でも俺はともかくお前は生徒会だ。たとえ他生徒に生徒会だと知られてないにしても風紀副委員長という肩書きもある。サボれないだろ」
「そこはまぁ...僕の腕の見せどころですよ。何としても僕がサボりやすい作戦を通す」
「うーん燈弥君が無理となると....どうしよっか」
宮野君ならいっぱい友達居るでしょ。何をそんなに悩む必要があるのか分からない。
「はぁ....なら俺は表に変更だ。一緒に三人四脚出てくれるか?芙幸、湊都」
「マジで!?もちろんだよ清継ーー!!大歓迎ーーーー!」
「よっしゃ!!あと、他にも出たい競技あるんだけど....」
おっと、僕はお邪魔のようだ。なら放課後に提案する策でも考えましょうかね。
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