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第七章 夏休み☆

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「あれ?シリアルキラーは懲罰棟に収容されてるんじゃないんですか?....君はなんで外に出ているんです?」


聞けば口を真っ赤に染めながらも彼はニヤリと笑った。



「どうしてだろうなァ?」

「....本当にサマ臣君そっくりですね。まぁ異能を無理して使ったんでしょう。そのザマを見れば分かります。――トサカ君、彼どうします?また懲罰棟に戻すんですか?」

「それはルールに反するだろ」


いきなり真顔になった鎖真那君は吐き捨てるように言い、僕を睨んだ。


「懲罰棟から出られるのは更生した生徒だけ。なら外に出たおれっちは更生した生徒ってわけ。罪を犯してないただの生徒をぶち込むなんて風紀がしていいのかぁ?」

「ぐっ....」


鎖真那君の言葉とトサカ君の態度からして、更生した生徒は今までの罪をリセットされるわけか。そういうルールなら確かに懲罰棟に入れることはできないね。委員長なら別だろうけど....あの人なら問答無用でぶち込むんだろうなぁ。


「だ、だがどうせまた殺すんだろう!?」

「それが今関係あるのか?まだ殺してないおれっちに。早く上からどけよ」


拘束する理由がなくなったためトサカ君は渋々彼の上から退いた。


「あ、おれっちに大人しくして欲しいなら副委員長呼んでよ。緋賀ちゃんにスカウトされた噂の副委員長」

「....なんでだ」

「気になるだけー。本当は緋賀ちゃんの目の前でぐちゃぐちゃにしてやろうと思ってたけど、緋賀ちゃん居ねぇし。どうせおれっちには監視がつくんだろ?ならその副委員長つけてくれよぉ。緋賀ちゃんが気に入るそいつで遊びたい」


断固拒否。絶対に言うなよトサカ君。
僕の名前を口にした瞬間、君の足は使い物にならなくなるからね?


「.....哀嶋副委員長のことか?わかった。そのように――」

「ちげぇよ。雅臣のストーカーとか興味ねぇ」

「悪いが、今風紀に在籍する副委員長は哀嶋しかいない。誰のこと言ってるんだ?」

「へぇ....そういう態度取るのかよ。別にいいぜ?聞ける人間は大勢いる」


ダメじゃんコレ。全校集会で自己紹介したから全生徒知ってるよ僕のこと。今は生徒会だけど、それは非公式だし。みんなの認識では僕は風紀副委員長のままだ。

ダメだ。詰んだ。
​────いや、まだ解決策はある。ただこの手を使えば僕の精神的ダメージが.....背に腹はかえられないか。


「すいません。少し口を挟ませてもらいます。初めまして鎖真那 重臣君。僕は元風紀副委員長の一条 燈弥といいます」

「ほぉ!面白い根暗君があの副委員長か!なーる....雅臣にも気にいられているようだし、気になるなぁ?」

「言いましたが僕は元風紀です。なので監視役につくことはできません。トサカ君、他の委員に鎖真那君の監視を任すつもりはありますか?」

「ない。ぶっちゃけ委員長以外の監視役は遊ばれるだけだ」

「やはりそうですか。なら適任者を呼びましょう」


僕に視線が集中するが、この後のことを考えると辟易する気持ちが大きかったので気にすることが出来なかった。
気が乗らないが仕方なく
そう、仕方なーく『彼』に電話する。


「あ、もしもし。今いいですか?――え?2年生と喧嘩中?はぁ元気ですね。それで貴方に頼みたいことがあるのですが」

『―――』

「今は無理と....?そうですかそれは仕方ないですね。僕の頼みを聞いてくれたらキスのひとつでも贈って差し上げようかと思ったのですが無理ですか。では別の人に頼みますね」

『​───!!​────!?』

「あ、来てくれるんですね。居場所?貴方なら教えなくても来れるでしょう?それでは待ってます。そうそう、5分以内に来なかったら別の人に頼むので悪しからず」


返事を聞かずに一方的に通話を切る。
顔を上げれば不思議そうな顔が2つあった。


「燈弥....セリフが完全に悪い男のソレだぞ」

「うっ、自覚してるんでわざわざ言うのやめてください。好きでやってるわけじゃないんですよ?」

「それで誰呼んだんだ?根暗君。おれっちを監視出来るやつなんてこの学園に3人くらいだぜ?」

「君に必要なのは監視役ではありません。『保護者』です」

「「保護者....?」」



その時、一陣の風が吹いた。
風は生い茂った木々を揺らし、葉を散らしていく。
木々の間から漏れる陽射しと相まって、その光景は酷く穏やかな気持ちにさせられる。




なのに​───






「来たぜ?」








興奮冷めやらぬ彼の声のせいで
穏やかな気分から一転....



憂鬱な気分になった











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