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第六章 貴方が狩りゲーで重視するのはなんですか?

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キャベツ君に続いてお風呂から上がろうとしたが腰に巻いていたタオルが水を吸い重くなっていたため少しもたつく。
タオルを絞りやっと上がれば、先に出ていたキャベツ君のお尻が......おい。


「タオルを巻きなさい。マナーですよ」


この世界は男が男に恋するのが普通なため、このような大浴場では下半身を隠すのがマナーとなっている。股間部やお尻を見てムラムラした不届き者がいきなり盛り始めるとか普通にあるらしい。

マジふざけんな。こんな大浴場でことに及ぶとか頭おかしいの??

ゴホン.....ということでタオルを腰に巻くのはマナーです。


「そうは言うて....も......」


言うても?
続きはな....に....

その時、赤い瞳と目が合った。

驚いたような――いや、子供が宝物を見つけた時にするようなキラキラ顔。

1歩下がる。

しかし、僕が下がれば何故か彼は1歩距離を詰めてきた。それだけでなく、手を伸ばしてきたのだ。ニコチンが切れたタバコ中毒者のように、アルコールが切れたアル中のように.....震える手を向けてくる。


ヤバい。

なんか今にも飛びかかって――


「なんちゅうっ、身体しとんのやぁぁぁぁぁぁ!!」

「ひぃぃぃぃぃぃ.....おぼぉ!?」


抱きつくように腰に飛びかかられた僕は避けることも出来ず、さっきまで浸かっていたお風呂に逆戻りした。

鼻にお湯入った.....(泣)
痛い。


「ゲホッゲホッ!ぐぅ.....!」

「な、なんでっそんなええ身体持っとること黙っとったん!?!?うわぁ~よぉ見たら腕や脚の筋とか完璧やん!やっぱ軍服の上からやと全然分からへんな!初めて会った時、手とか好みやけど身体が少しヒョロいのがなぁってバツつけたのに、脱いだら満点ってそりゃないわぁ~。嗚呼っ!この凹凸最高や!今まで腕だけやら脚だけやら上半身だけやらと部分部分でしか好きになれへんかったけど、君のは全部やで!?全てが僕の好みやねん!うぅぅ~っ、なぁ舐めてもええ??痕はつけへんから!こんな綺麗な肌に痕つけるとか万死に値するちゅうのはわかってん。だからちょーっと舐めるだけで――」


変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態

~~変態だぁぁぁぁ!!!!

逃げ、逃げなくては
一刻も早く。

腰に抱きつく鼻息荒いキャベツ野郎の頭を掴んで離そうと奮闘する。しかし離れない。
万力の力でがっちり抱きつかれている。しかもなんかお腹らへんに生暖かい息がかかっていて、その気持ち悪さから力が入らない。

キモイキモイキモイキモイぃぃぃぃ!!!!!


僕無理っ!こういう人間無理!
僕に性的感情を向ける人間は怖い
僕に変態的嗜好を向ける人間は嫌いっ
だから――


​─────ぺろ


「ぎゃああああああああああああっ!!!!」


いまぺろっとされた!ぺろっとされたっ!いま僕ぺろっとされたっっっ。


「うは~っ、舌心地めっちゃええ.....。ほんま最高。この身体に包まれて眠りたい.....いや、逆に僕が抱きしめて寝てもええな。お互い裸でベッドに入って肌の温もりを感じながら朝まで過ごすんや。せや!下も見させてぇな。ふくらはぎからつま先までドストライクやけど、万が一があったらアカンし。太腿、太腿......」


ひぃっ!!
死守!死守だ!!このタオルだけは死守しなければ!!

バシャバシャと湯が波打つ。それでもなんとか湯から出るが、今度はタイル上での攻防戦に変わった。

しかしお湯の中での攻防と精神的負担で僕の体力はレッドゾーン。ヤバい。ヤバイヤバイ!

このままではタオルを奪われてしまう。
こうなったら!!

最終手段っ、
僕は局部を隠して太腿だけ見えるようにタオルを捲った。キャベツ野郎は太腿と連呼していたから、その太腿さえ見せればタオルは取られないはず.....。


「あああああっ!やっぱ完璧やん!無駄な贅肉なし、垂れてる様子もなし、太すぎず細すぎもしない丁度よさ、色......なにこれエロすぎやろ」


よし、これでもういいでしょ。いいよね?解放してくれるよね?もう僕の体力と精神力は共にゼロだよ?


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ.....!」

「ちょ!?!?」


気持ち悪い鼻息が聞こえたと思ったら、右脚をぐいっと持ち上げられた。
それ以上はアカン!!!!


「だーーーーれーーーかーーーーー!!!!」


タオルタオルタオル!!頼むタオルっ!僕を守って!!


「かっかっか!何やってんだお前ら。こんなとこで盛ろうなんざいい趣味してんな燈弥」

「サマおみくん''ーーー!!助けて助けて助けて助けてっ、変態が、変態がぁっ!!」

「なんだ合意じゃねぇのか......おら、そこまでだ颯希」


救世主サマ臣君は首にかけていたタオルをキャベツ野郎の首に引っ掛け思いっきり引っ張った。


「ぐげっ」


宙を舞い、カエルが潰れたような声を出しながらタイルに転がったキャベツ野郎......ざまぁみろ。


「助かりましたサマ臣君.....」

「最初ははしゃいでんのかと思ったが、助けを呼ぶ声に慌てて来た。そしたらお前ら盛ってるしでなんか笑っちまったわ」

「僕らが盛ってるんじゃなくてキャベツ野郎が盛ってたんです」

「かっかっかっか!!キャベツ野郎か!そりゃまたいい名前だな颯希」


サマ臣君に声をかけられたキャベツ野郎はタイルからむくりと立ち上がった。もちろん首にかけられたタオルを腰に巻いて。


「ゲホッ!雅臣!!なにしてくれとんねん!?下手したら死ぬで!?体が宙を舞ったわボケぇぇぇぇ!!」

「元気そうだから問題ねぇな」

「問題大ありや。体のあちこち痛いわ.....」


このやり取りからして友人っぽいね。彼だけここにいたのはサマ臣君という存在に恐怖を感じてないからか。まぁ、ウトウトしてたのも理由だろうけど。


「とりあえず出るぞ。湯気で服がベタベタする」


本当にありがとうございます。








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