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第六章 貴方が狩りゲーで重視するのはなんですか?
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しおりを挟むピンポーン......ガチャッ
誰だ。鳴らしといて部屋の主の返事を待たず上がってくる人間は。オートロックは仕事してるの??
まだ少しぼーっとする頭を抑えながらリビングに行くと我が物顔でソファに座るモッチー先生の姿が......教師がそれでいいのか?
「調子はどうだ」
「だいぶ良くなりました。熱も下がりましたし、頭痛もない。ただ、少し頭がぼーっとするくらいですね」
「ならよし」
よしじゃないよ。頭がぼーっとするって言ってるじゃん。
「それでなんのようです?」
「明日で夏休みに入っちまうからここで渡そうと思って」
ああ、結局学校に行かず夏休みに入っちゃうのか。試験からずっと寝込んでたからなぁ。寝込んでいた時の記憶はあんまりないし。でも、なんか身体がしんどかったなぁ。
そうしみじみと寝込んでいた時のことを思い出していると、モッチー先生からなにかを投げ渡された。
見てみると『肆』と書かれた小さなバッジが.....なんだバッジか。
「おい、その『なんだバッジか....』みたいながっかり顔やめろ。弐から肆だぞ??もっと喜べよ」
「わー、凄い嬉しいです(棒)」
「見事な棒読みだな」
ぶっちゃけあれだけやってランク参だったら少し落ち込んでたと思う。手をボロボロにしてまで倒したんだから肆くらい貰わなきゃ割に合わない。
だからこの昇級は妥当な結果だと思ってる。喜びよりも安心の方が大きいかな。
「ちゃんと評価してくれてありがとうございます」
「は?」
「僕達のチームを採点したの先生ですよね」
「な、なんのことを言っているのやら....」
「で、どうですか?クソ高い難易度を目の前でクリアされて」
「めっちゃ感動した」
やっぱ僕達のチーム担当先生じゃん。
「まさに青春だよな!!ってかお前滅茶苦茶強いじゃねぇか!デスクワークだけじゃなくて見回りもできるじゃねぇか!?」
この人はなんでこう、僕を働かせようとするんだ。そんな目をキラキラさせても見回りは絶対にやりたくない。
「僕は生徒会なのでどちらも出来ませんよ」
「チッ」
「今もしかして僕に舌打ちしました????」
「ま、まっさか~。お前の聞き間違いだろ。あーっと、俺これからは職員会議があるんだったー(棒)......じゃあな!!」
そそくさと帰る先生にため息が出た。仮にも教師なんだからもう少し威厳ある姿というものを....モッチー先生にそれを期待するには酷かな?
さて、眠気も冷めてしまったし何をしようか。
「......そうだ、お風呂に入ろう」
唐突に思いついたその案がとても素晴らしいものに思えた。ケーキ君がここに居たなら『まだ完全に治ってないんだから却下だ』と言われるだろうが、彼はここにいない。
よし、そうと決まればお風呂に入る準備をしよう。なーに、ちょっと浸かるだけだから熱も上がらないはずだ。
ということで電話
「もしもしサマ臣君?今暇ですか?」
『───?』
「いえ、君の人避けの効果を発揮してもらおうと思いまして」
『───』
「先に大浴場に行っといてください。僕も直ぐに行くので」
通話を切った僕は悠々と部屋を出た。
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーーー
ーー
ー
「じゃあ見張りよろしくお願いします」
お風呂セットを脇に挟んだ彼にそう告げる。
すると彼は信じられないモノを見るような目で僕を見てきた。
.....君にそんな目で見られるのは心外だな。
「嘘だろォ!?お前に人の心は無いのか!?」
「言ったでしょう?僕は人の目があるお風呂は嫌いなんですって」
「だってよ、ほら、あ~.......オレは人の道から外れた存在だし良くね?」
「君がそう思おうと僕の中でサマ臣君は人なんですよ。だから一緒には――なんでそんな嬉しそうな顔してるんですか?」
嬉しそうに破顔され一歩後ずさる。急に何だこの人。不気味だな......。
「そうかそうか。お前にとっちゃオレは人か!ならしゃーねぇな!任せとけオレが見張っといてやる」
機嫌が良くなったらしい。
早くお風呂に入りたかった僕は彼の態度をスルーし脱衣所で服を脱ぎ、準備する。
「おぉ!いい身体してんなぁ」
「ジロジロ見るなら金取りますよ?」
「なんだ、金払ったら見せてくれんのか!?」
「......冗談です」
「なんだ冗談か」
この人って時々本気で言ってる?って思うほど天然だよね。いや、天然というより純粋と言うべきか.....。
「あっ、とそうだ。なぁ....お前から見てオレの生き方はどう映る?」
生き方?
また急な質問だなぁ。
「そうですね......はっきりいってどうでもいいです。僕に害がないなら他人がどんな生き様をしていようと口出しする気はありません。干渉する気もありません。――この答えでいいですか?」
「......好きか嫌いかで言ったら?」
「だから何か言うつもりはないんですってば。僕の言葉にどんな影響を受けるか分からないじゃないですか。ここで僕が『嫌いです』と言ってもしサマ臣君の心情に変化があったらどうするのです?僕には責任取れませんよ。だから何も言いません。――いい加減寒いので行きますね。見張りお願いします」
結構時間を使ってしまった。いつここにケーキ君が来て連れ戻されるか分からないのに、こんな悠長に話している時間はないんだよサマ臣君。
ということで任せた!
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