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第五章 面倒事はいつも突然やってくる

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このゲームは僕の勝率8割くらいのルールでできている。

まずは『鬼ごっこ』と言い、僕が逃げることしかしないと思わせる。ここで制限時間を設けることで、さらに僕が逃げ切り勝ちを狙っていると印象づける。

以上により戦闘狂の脳内に『僕からの反撃』という選択肢をなくす。

次に勝敗条件を『地面に手以外の部位を着いた方が負け』とする。ただのタッチでの勝敗だと逃げ切り勝ちしか僕にはなくなるから結構不利になる。だから勝敗条件を変えた。

そうすれば不意をついて僕が勝つ可能性が高くなるから。

最後に鬼ごっこをする場所。
幸運にも僕と戦闘狂は外ではなく校内で出会った。戦闘狂の弱点をMr.ウマシカから聞いていた僕はこれ幸いと鬼ごっこの範囲をこの本校舎内のみに設定。

戦闘狂の弱点?
それは後ほど。



足の速さに自信あったし、体力もそこまで不安に思ってなかった。こうしてルールも僕向きに変えたから充分楽に勝てると予想していた。



でも違った。


舐めてた。戦闘狂のことを。
実際に鬼ごっこを始めると、背後から感じる威圧感に酷く体力を消耗させられたのだ。

喰われるんじゃないかという恐怖
捕まったら最後と思わせる緊張感

戦闘狂は本当にヤバかった。

走ってしばらくして息切れが......これは誤算だった。追いつかれるんじゃないかと結構ヒヤヒヤさせられた。

まぁ、結果は僕の勝ちで終わったんだけど
ギリギリの決着と僕的には思ってる。


「やられたな.....また茂か」

「?」


しばらく黙っていた戦闘狂がそう言って、背中を擦りながら起き上がった。


「茂....?あぁ、Mr.ウマシカのことですか」

「ウマシカ――なるほど。いいあだ名だな」

「それで何が''やられた''なのです?」

「そりゃー茂がオレの情報をお前にペラペラ喋ったことだよ。お前が自信満々にこの鬼ごっこを提案したってことは勝つ自信か確信があったんだろ?負ける戦はしなさそうなタイプっぽいからな、お前。で、オレの何を聞いた?」


......ここで直ぐにMr.ウマシカが原因に出てくるあたり頭の回転が早いな。
戦闘狂の弱点、同じ手は効かないだろうから話してもいいか。


「僕は貴方が階段を苦手としていることを聞いただけですよ。何度も転げ落ちたそうですね?」

「――あいついっぺん〆ねぇとな。はぁ....ここの階段の幅狭くね?階段の昇り降りするとき踏み外しそうで怖いんだよ」

「足が大きい自分を恨むんですね。僕には支障ありませんし、幅とかどうでもいいです」

「冷たいなお前。それにしても.....お前策士だなぁ。緋賀の名前を出してオレの意識を逸らすなんて。しかもオレが足を滑らさなかったときには足を引っ掛けるつもりだったろ」


まぁね。戦闘狂を階段に誘い出せた時点で僕の勝ちは8割から9割になった。....そんなこと素直に言うつもりは無いけど


「さて、僕が勝っ........あっ!」

「急になんだァ?」


しまった!!時間っ
急いでスマホを見てみればもう全校集会が始まっている時間だ。それに委員長からの連絡がスゴイきてる。

.....話し込みすぎた。


「時間がない!いいですか?僕が勝ったので言うことを聞いてもらいます。僕は今日全校集会で風紀副委員長の任命式的なものにでなければならないのです。それなのに貴方のせいで.....こんな時間に」

「別に舞台に上がって紹介しなくても良くね?必要性あるのか?」

「うるさいですね。僕だってそんなもの出たくないんですよ。ですが、以前すっぽかしたので委員長から『絶対にすっぽかすな』ときつく言われてるんです。今日すっぽかしたら僕に明日はなくなります」

「ふーん。それで、オレに何させようって?」

「今すぐ異能を使って体育館に行き、風紀副委員長紹介に入る時間を稼いでください」


戦闘狂の登場でみんなが騒ぐ。つまり風紀副委員長紹介に入るまでの時間が稼げる。プラスで一瞬の目眩しができて僕が他生徒に見られず体育館に入り込める......。
うん?ナイス案では?


この時間、部活の表彰がもう終わっているかもしれない。だから急いで戦闘狂には体育館に行って欲しいのだが、目の前の彼はなにか考え込んでいる様子だ。


「注意を引けって言ってもなぁ?緋賀に追いかけられる未来しか見えねぇが……それもアリだな。いいぜ、気分もいいことだしやってやるよ」


やってやるよじゃなくて、貴方は負けたのだから拒否権ないんだけど......不思議だね?戦闘狂は僕に負けたはずなのに、負けた人の態度とは思えないほど普通だ。思ったより悔しがってないな。


「ならさっさと行ってください。本当に間に合うか分からないので」

「あいよ。.....あ、オレのことは雅臣って呼べな」

「それはちょっと......。周りに貴方と親しいと思われたくないのでご遠慮します」

「なら一生付き纏ってやる」

「も~!サマ臣君ったら冗談がきついですねぇ!!」

「さまおみ???」



‪付き纏われるのは勘弁っ!!
だけど名前呼びも嫌だから間をとってあだ名で許して欲しい。

さまな まさおみ

で、『サマ臣』

安直でダサいだって?
.....しょうがないじゃん。思いつかないんだもん

















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