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第四章 雨はお好きですか?

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「もういいです」

「.......?」

「貴方の話を聞いていると耳が腐り落ちそうだ。だからもう黙ってください」

「......そっか。なら殺すね」


真澄が立っているのもやっとな燈弥の肩をトンと押せば、燈弥はどさりと尻もちを着く。


「その麻痺毒は直ぐには抜けないから時間稼ぎは無駄だったね」

「別に時間稼ぎをしたつもりはないのですが....まぁいいでしょう。そう思いたければそう思ってくだされば」

「......僕は君のその何もかも見通したような態度が出会った時から気に食わなかった。僕と幹登の関係を疑うような、憐れむようなっ.....!あぁムカつく!!」


ギリリと歯を噛み締め、どこからか縄を取り出した真澄。そして燈弥に馬乗りになりその取り出した縄を首に何重にも巻き付け――


「ぐっ.....!!」

「死ねよ」


絞める。


「と、燈弥!?!?」

「行かせねぇ!!」


湊都は幹登ともみくちゃになり燈弥の元へ行けずにいた。
魂写棒を始動し斬りつければ簡単に幹登を振り払えるのだが、丸腰の......しかも友人である幹登に魂写棒を抜くことを湊都は決断できないでいた。


(~っ、どうすればっ!?......そうだ!父さんが言ってた。『優先順位をつけろ』って。燈弥が殺されるのは嫌だ。だけど幹登を傷つけんのも嫌だ。えーっと、俺が天秤にかけるのは燈弥の死と幹登の怪我.......そんなんどっち取るか決まってんじゃねぇか!!)


「始動 シェイカー!」


しかし吹っ切れたような顔で湊都は抜刀する。
そのままシェイカーの柄で自身に抱きつく幹登の横腹を打ちつけた。


「はっ、ぅ......!」

「悪い幹登!」


その場に膝を着く幹登を尻目に真澄に駆け寄りシェイカーを振りかぶる。
しかし――


「僕の幹登に何してくれちゃってんの?」

「!?」


そんな言葉と共に真澄の手から光る何かが飛ばされ、湊都の肩にチクリと痛みが走る。


「その針も麻痺毒だから安心して。さて、もう邪魔者は居ない。さっさと殺して吊るして幹登と日常に戻らなきゃ」


真澄は緩めていた手に力を込め縄を強く引っ張る。


「っ、ぁ....はっ」


だが燈弥はもがきもせずただその行為を受け入れるように口元に笑みを作っていた。

それを不快に思った真澄はさらに縄を――



















「俺様の部下に何やってんだァ?違反者が」




怒りを帯びた、聞くもの全てを震え上がらせるこの学園の独裁者の声に真澄の手が緩む。


その隙に縄に手をかけ気道を確保した燈弥は笑った。
笑うしかなかった。


「あはは、ごほっ、ごほっ、あはははっ――はー.....上司が鬼すぎて僕は悲しいです。こんな可愛い部下を囮に使うなんて」

「可愛い部下だから死ぬギリギリで助けたんだろうが」




《side  end》






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