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第四章 雨はお好きですか?
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しおりを挟む「なぁなぁ!もうすぐ昇級試験だよな!?」
昼時間、教室でお弁当を広げているところに兎君がパン片手に椅子を引きずり僕の席近くへ座った。
昇級試験!昇級試験!と瞳をキラキラさせている兎君には悪いが、僕は君と一緒で今年この学園に来た人間だ。
......そんな話知るわけないだろう。
風紀でもその話は出ていない。
「兎君......それを聞く相手は僕じゃないでしょう。そういうのは宮野君や瀧ちゃんに聞いてください」
「あっ、そうだ!燈弥は俺と一緒に入学式してきたんだった......」
「それ普通忘れるか?まぁ風紀副委員長として働く燈弥は驚くほど学園に馴染んでいるが」
「瀧ちゃん嬉しくない言葉ですそれは」
「でもほかの風紀委員や先輩達も燈弥のこと尊敬の目で見てるからさぁ~......それ見てると燈弥が元からこの学園に居たんじゃないかって錯覚しちまう......。みんなの態度もなんか敬ってる感じだし。緋賀 永利と章二と俺くらいじゃね?燈弥に普通に接してんの」
なぜフルネーム呼び......。
というか兎君にそういうふうに見られてたなんて、ちょっとショックなんだけど。
「うわぁ狂犬君ってば風紀入ったんだ~。だけど委員長信者だから不思議じゃないか......うん、むしろしっくりくるね。......さて、湊都~!!昇級試験のことを聞きたいなら僕におまかせあれ~」
「そうそう!俺は昇級試験の話をしたかったんだよ。もうすぐそれがあるって風紀の先輩に聞いてさ、なんかすっげぇ悲愴な表情で頑張れよって言われたんだ。なぁ、その昇級試験って交流会より酷いのか?」
「棄権とかあります?」
「燈弥君ってまず最初にそれ聞くよね.....残念ながらありません~!」
宮野君の言葉にチッ....と舌打ちしたら瀧ちゃんに驚かれた。
「お前そんなキャラだったか?」
「キャラはいつか崩れるものですよ瀧ちゃん」
「そ、うなのか......?」
「はいそこ、清継をからかわないでね~。清継ってば何気に純だから」
「瀧ちゃんが純!!」
「なんだ純とは!?漢字のままの意味か!?」
「瀧ちゃんは知らなくていいんです。昇級試験の話に戻りましょう」
「おい!?」
「はーい、話を戻しま~す」
「.......」
これ以上話を続ける気がないと察した瀧ちゃんはムスッとした顔で弁当に箸を伸ばした。それをニヤニヤと眺めながら宮野君は頬杖をつき昇級試験について語り始める。
「昇級試験は交流会と違って先生達が主導して行うからそんなにビビらなくていいよ~。他所で言う期末試験みたいなもんで人が死ぬようなことはないし」
「そうなのか!ならなんで先輩達はあんな疲れたような.....怯えたような顔してたんだろ?」
「まぁ、それは.....なぁ?」
「ねぇ?」
「なんだよ二人して」
瀧ちゃんと宮野君が顔を見合せ苦笑っている姿に僕も兎君と同じように眉を寄せる。
勿体ぶるような言い方のせいですごい気になるんですけど?
すると宮野君は表情を苦虫を噛み潰したように歪め忌々しそうに吐き捨てた。
「教師にも異名持ちがいるんだよねぇ......」
「教師にもか!?」
「.....本当にこの学園は終わってますね。つまりその教師は平気で生徒に手を出す人間ってことでしょう?」
「さすが燈弥だな。よくわかってる」
「それで~前まではその教師が居たせいで昇級試験の内容がそれはもう苛烈で陰湿で救いの無いものだったんだ」
「.....前までってことはソイツは今居ねぇのか?」
「そうそう。だから今回の昇級試験は安心していいと思うよ~」
「だからといって油断はするなよ?ひねくれた教師も居るしな」
ダメ教師も居るけどね。
あと、風紀で昇級試験の話が出ないのは教師主導だったからなんだね。じゃあ特に書類仕事が増えたりとかは無いのかな?
この辺委員長に......いや、こういうのはモチモチ先生に聞こう。
ん?モチモチ先生が誰かって?
我らが風紀のダメ教師こと望月先生に決まってるじゃないか。
決して期限切れの書類を渡してきたことに対してキレた訳では無い。
Mr.ウマシカのように親しくなったんだ。
僕なりの愛情表現さ。
.......嫌がらせじゃないよ?
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