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第四章 雨はお好きですか?

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カタッ......カタンッ......


聞こえた音にふと窓を見てみると水滴がついていた。


「雨降ってきましたか。たしか今日も降水率半分くらいって言っていたような.......」


窓から見える外の様子は暗すぎてよく見えないが、だんだん激しくなる雨音に帰りは大丈夫なのか心配になる。これで暴風でも吹いていたら僕は風紀室で一夜過ごすことになるかもしれない。

.....まぁそれもいいか。

朝委員長を起こしたり、朝食の準備をしなくて済む。
うん、ここに泊まろう。仮眠室あるし。



ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーー
ーー



「.....よし、書類はここまででいいでしょう。あとは――何をしましょうか?」


明日(もう今日だけど)のやるべき事が思ったより早く終わらせることが出来、やることがなくなってしまった。今から仮眠室で眠るにしては目が冴えてしまっているし……どうしようか。

と考えているその時、視界端に映りこんだダンボール箱が気になった。
僕が風紀室を出た時はこんなものなかったはずなのに。委員長が持ってきたのだろうか?

好奇心半分、怪訝さ半分でダンボールを開いてみるとそこには――


「......パソコン?」


お高そうな黒いノートパソコンが入っていた。
なぜパソコンがダンボールの中に??
なんとなしに取り出し充電コードを挿し
電源をつけてみる。

すると暫くして画面に明かりがついた。


「.......これは」


明かりがついたパソコンはローディング中という文字を浮かび上がらせ、画面が切り替わる。


「教室?」


そこに映っていたのはどこかの教室。電気はついておらず真っ暗だが、暗視カメラというのだろうか?真っ暗ながら机や椅子などが青白く浮かび上がっている。


「録画映像でしょうか.....いえ、左上にLIVEと書いてありますね。ということは今現在の.....ん?奥になにかある.....?」


教室の奥、即ち窓側に不自然に何かが浮いていると気づきパソコンの方向キーを押してみた。


「――っ!!」


息を飲む。
画面にぼぅと浮かび上がったのは逆さ吊りにされた小柄な男子生徒だった。手は重力のままに垂れ下がっており、空いた口も相まって意識がないように見える。

いや、まさかもう死んで.....?


そう思った時、その男子生徒の瞼がピクリと動いたような気がした。


「まだ生きてる!?」


見間違いかもしれない。だけど今、生きているのか死んでいるのか考えている場合では無さそうだ。いつから逆さ吊りにされているのか知らないが、長時間ずっとそのままでいたら生きていたとしても死んでしまう。


「どこだ?この教室はどこだ!?」


方向キーを何度も押し、目を懲らす。
窓の向こう側には木.....枝が上の方から生えているから1階か?
あとは、あとは.....


「ああ!!もう走り回った方が早い気がしてきた!!」


焦りのせいか思考が散漫的になっているのを自覚する。これはもう足で探した方が早い。
そう判断するとそこら辺にあったナイフ(物騒だなぁ)を腰に差し、スマホと懐中電灯を手に僕は風紀室を飛び出した。



走りながらスマホを操作して委員長に連絡しようとして.....やめる。以前、委員長が部屋に泊まったとき朝起こすことになったのだが、全然起きなかったのだ。

だから今連絡しても多分出ない。

なら兎君?
――いや、彼には荷が重そうだ。

......もう彼しかいないな。


プルプルプル.....


『......んだよ。誰だこんな時間に』

「トサカ君?一条 燈弥です。こんな深夜にすみません」

『っ、燈弥!?』

「緊急事態です。1階のどこかの教室に逆さ吊りで身動きの取れない生徒が居ます。今僕は教室を片っ端から探しているのですが一人ではどうしようもない状態でして.....手伝って欲しいんです」

『すぐ行く!』

「事情は後で話しますから、トサカ君は西校舎を――」

『どうしたんだ?.....おい、燈弥!!』


足を止めスマホを耳から遠ざける。トサカ君の焦ったような声が小さく聞こえるが、僕は目の前の人物に意識が向いていて言葉を続けられる状態ではなかった。







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