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第四章 雨はお好きですか?
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しおりを挟む「おはよー!あれ?なんか燈弥疲れた顔してね?」
「おはようございます兎君。えぇ.....昨日少し夜更かしをしまして」
「風紀の仕事か?」
風紀の仕事......委員長の世話は風紀の仕事の内にはいるかな?いや、入るな。
僕は瀧ちゃんの言葉に頷く。
昨日は図々しくも寝室で寝ようとする委員長を説得して(睡眠薬入りのお茶を飲ませ)なんとかリビングで寝かせることが出来た。
達成感に浸りながらふと時計を見てみれば時刻は深夜を回っていたという.......。
「.....なんか大変そうだな?」
「ですがもう大丈夫です。昨日だけですので」
今日来たら絶対に部屋に入れない。
そう心に決めた時だった、
ピ、ピ、ピ、ピ!
緊急連絡の着信が鳴る。
「なになに?事件~??(ワクワク)」
「だとしても宮野君には教えません」
「コイツは引っ掻き回すからな」
瀧ちゃんの言葉を耳にスマホを見れば、宮野君の言う通り事件......首吊り死体がまた見つかった報告が風紀メンバーから届いていた。
「はぁ......行ってきます」
「燈弥!俺も行こうか?」
「兎君は授業抜けるには手続きが必要でしょうしいいですよ。僕だけで十分です」
「そうか....?」
風紀の委員長と副委員長は公欠届けを出さなくても自動的に公欠扱いされる。まぁ、それだけ忙しい立場という訳だが......。
僕が疑問に思うのは何故平の風紀委員はダメなんだろう?って。彼らも立派な風紀委員なんだから同じ扱いを受けてもいいはずなのに。
そんな不満を胸に足早に風紀室へ向かう。
※※※※※※※※※※※※※※※※※
「.....これはどういう状況ですか?」
風紀室で僕が見た光景は.....
「はァ?なんでオイラが風紀に連れてこられなきゃ行けないんすか?」
「テメェが一番怪しいからだよ」
「怪しいってなんすかー?オイラのどこが怪しいっていうんすか?やっぱ委員長は疲れてんすよ~。目がよく見えてないに違いない!それか頭の方がちょっと可笑しくなったとかっすかね?」
「.....」
「委員長!!手をだしちゃダメです!!落ち着いて下さい!おいっ登坂も落ち着け!なんでお前までキレてんだよっ!?」
見覚えのある×ラインがはいった黒髪坊主が両腕を拘束された状態でソファに座っていた。
それに対するは我らが委員長。だが、額に青筋立てて他の委員達に身体を抑えられている。
それにトサカ君まで歯を剥き出しに彼を威嚇していた。その姿は異名に恥じないまさに狂犬そのもの。
僕は溜息をつき、そばでブルブル震えるおかっぱヘアーの委員にもう一度何があったのかを聞いた。
「その、中庭にて首吊り死体を発見したのですが.....その死体のそばで眠ってたんですよ田噛 茂が」
何やってんだMr.ウマシカ。
首吊り死体のそばで寝るってやっぱおかしいよこの人。
「.....死体の発見者は先輩ですか?」
「はい、僕です。朝の見回りをしていたところ中庭の大木に死体が吊るされていて.....田噛 茂以外の人影は見ませんでした。そして保健医に診てもらったところ少なくとも死後12時間は経っていないと.....」
その言い方だと少なくとも10、11くらいの時間は経っていると考えた方がいいかな。
そうなると....今がホームルーム前の時間だから――。
ふむ.......
「寮長の宮さんに掛け合って、消灯時間である22:00に部屋に帰ってきてない生徒の詳細をまとめてきてください。何人かに声をかけた方がいいかもしれないですね。そこら辺は任せます。とにかく早めにお願いします」
「はいっ」
この学園の寮には消灯時間が設けられている。しかしだからといって消灯時間以降出歩いている生徒を取り締まることはしない。この消灯時間はあくまでその時間帯部屋に帰って来ていない生徒をチェックするだけのものだ。
夜は色々と危ないので一応容疑者となる生徒を確認している。
......こういう事件が起きた時とかのためにね。
でもこのシステムにも欠点があって12時間が経過するとリセットされ、朝の10:00の確認に切り替わってしまうという点だ。
記録出来ればいいんだけど、そこだけ謎に機能がないんだよね......。やるなら手作業という、まさに苦行をやらなければならない。
と、話が逸れたが今はまだ消灯時間から12時間経っていないため記録を見れるはずだ。これで首吊り男が分かればいいけど.......無理かなぁ。
ん?今までの首吊り死体も同じように調べてなかったのかって?
今までの首吊り死体は今日みたいに朝見つからず、だいたい昼頃や放課後に見つかることが多かったんだ。しかも見つかった死体は全て死後12時間は経っているもの。
だからシステムリセットされちゃって――
ヒュンッ........パリーン!!
「パリーン???」
思考を止め、今僕の横を通り過ぎて行った何かを見てみるとそこには粉々になったティーカップの残骸があった。
「あああああ!!!もうお前が吊るす男だろっ!?いや、ぜってぇそうだ!!」
「オイラは誰も吊るしたことないっすよぉ??ちょっとそこの人~、話が通じる人出してくださいよ。オイラこのままじゃズドンとやっちまいそうで怖いっす」
「お前らどけ。俺はコイツを懲罰棟にぶち込む。もう決めた」
「.......て.....います」
「落ち着いてください!委員長!!!登坂もっ、~誰か副委員長呼んでこい!!」
風紀委員メンバーの悲痛の声を聞き足を進める。
全く....まだそんなことを話していたのか~。
「落ち着きなさい」
「い''!?」
「あいたっ!」
魂写棒で委員長と田噛君の頭を殴る。
「委員長....らしくないですよ。そんな子供みたいに喚いて。で、あなたも委員長を刺激するようなこと言わないでください」
「チッ......」
「あっ、とうy――ぶへっ!?」
「口答えする気ですか?」
「うぅっ、酷いっす(泣)~」
あっぶない.....田噛君、今僕の名前呼ぼうとしたよね?ここでは僕達初対面という設定でしょうが。
「トサカ君、貴方は委員長を止める側でしょう?はぁ、もう大丈夫なので戻ってください。......トサカ君?」
反応のないトサカ君の名前をもう一度呼ぶと、彼は唖然とした顔をハッとしたものに変えた。そして僕と目が合うと首を縦にブンブン振り他の風紀委員を連れて足早に出て行く。
.....どうしたんだろう?僕何か変なこと言ったかな?
不思議に思いながらも委員長と田噛君に向き合う。
「初めまして。風紀副委員長を務める一条 燈弥と言います。貴方は.....田噛 茂君で良かったですか?」
「......はいっす」
「田噛君は首吊り死体の近くで眠っていたことから容疑者として捕縛されました。そこでなんですが、貴方があそこで眠ることになった経緯を教えてください」
田噛君はおずおずと話し出す。
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