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幕間

《生徒会の会話》

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《生徒会の会話》



風紀室で永利が紗里斗を蹴り飛ばしている間にも生徒会では交流会のことである意味盛り上がっていた。


「これすごいねぇ~!!この子戦闘狂に一発入れてるよ!?」

「偶然ですけど。いや、漫画みたいですね?放り投げた剣が腕に傷をつけるって。これは確かにすごいと言えますが些か運が絡みすぎて本人の実力とは言えないのでは?」

「まぁ、運も実力の内って言うじゃない」

「そうですよね!!運もそいつの実力の内ですよね!!」

「うわww見事な手のひら返しじゃん」


流石は会長の信者wwと笑いながら生徒会会計である萩野はぎの メイルはチラリと未だに黙っている人物に目を向けた。


「な~に落ち込んでるの?副会長~」

「.....めぼしい奴がだいたい生徒会嫌いという悲劇。これはもはや各クラスの担任に誰がいいか聞いた方がいいのか?だが、望月先生のように適当に言う奴も出てくるはず。なんでここの教師はひねくれているんだ?」

「.....会長~副会長が壊れた」


ブツブツと何かの書類を捲りながら副会長である骨喰 恭弥 ほねばみ きょうやは頭を抱える。その姿に不気味さを感じたメイルは会長に助けを求めた。


「恭弥、そんなに急がなくてもいいじゃないか。今の人数でもちゃんと仕事は回ってるんだし」

「それはそうだが俺の胃がっ.....はぁ。取り敢えず教師から推薦といった形で募集するか」

「えぇ~!?そんなぁ。せっかく交流会の映像があるんだら面白そうな子をスカウトしようよ」

「面白そうな子だと?巫山戯るな。俺の胃が持たんだろう馬鹿が!」

「思ったけど副会長って俺にだけ当たり強くない??」

「............さぁな」

「その反応自覚してるでしょ!?」


ぎゃあぎゃあ騒ぐメイルと恭弥から視線をテレビに戻した会長である神崎 竜一はコーヒーを片手に目を細める。
それはちょうど戦闘狂のタグがなんの前触れもなく切れ、宙に浮く瞬間だった。


「......咲谷はこの場面どう思う?」


唐突な問いかけに書記の咲谷 満 さきたに みちるは内心話しかけられたことに歓喜しながら表面上は首を傾げ、おずおずと口を開く。


「浪木 将翔は思ったよりも出来る奴だと思いました。そして運がいいとも。偶然タグが切れたのを咄嗟の判断で狩りにいくとは……。あの場面でその選択を出来る者はそういないでしょう」

「なるほど。君はそう感じたのか」

「?......私は何か間違えたことを言ったのでしょうか?」


まるで叱られたようにオロオロと視線をさまよわせる満に首を振り、頭にポンと手を置いた竜一は謝った。


「ああ違うんだ。咲谷も浪木のことを高く評価しているんだなと思っただけで他意はないよ。そうだね.....浪木を生徒会に入れるのはどうだろうか?恭弥」


振り向き恭弥に話しかける。
すると恭弥は溜息をつき顔を顰めた。


「お前はもう少し優秀な奴らが生徒会をどう思っているか確認しとくといいぞ?浪木 将翔はお前を嫌ってるから入らないだろうな」

「あれ?僕ってなにか嫌われるようなことしたかな?心当たりないんだけど.....」

「.....他人に興味無いとは思っていたが、上に立つ人間としては態度を改めた方がいいぞ?いつか足を掬われる。あとでピックアップした資料を渡そう」

「はいはい。それで?なんで嫌われてるの」

「はいはーい!それ俺知ってるよ~?浪木って五大家が嫌いなんだよね?」

「おい竜一。萩野でも知ってる事だぞ?」

「萩野は偉いね」

「ふふん♪」

「わ、私も知ってました!!」

「そこ張り合うな。......萩野が言った通り浪木は何故か五大家を嫌っている。だがら生徒会には入らないだろう」

「ふーん。それなら僕にはどうしようもないね」


その時、テレビ前を陣とりリモコンをポチポチとしていたメイルが大声を上げた。


「ねぇ!!この子は?戦闘狂と一対一でやり合ってる!.....あれ?この子どこかで見た事あるなぁ」

「ああ鳥羽 文貴か。その生徒は俺も考えていた。ただネックなのは中学では優秀な文武両道を地で行く生徒だったはずがここ最近、武の面で著しい程の成績低下をしていることだな。まぁそれでも俺は十分生徒会に勧誘したいと思っている。.....もう鳥羽 文貴でよくないか?」


恭弥はボソリと「それにまともだ」と呟き、他のメンバーを様子見る。


「俺はいいよ~」

「私も異論は無いです。映像を見る限りそこまで動けないようには見えませんでしたし。.....あれで実技が低評価って嘘でしょう?」


そして三人は決定権がある最後のメンバーに目を向けた。ソファに腰かけ脚を組む竜一はその視線を受け口角を上げる。


「彼はやめようか」

「「「は(え)??」」

「鳥羽 文貴を生徒会に入れるのはやめよう」

「な、なんでだ!?お前が拒絶するほど鳥羽には何かあるのか!?」

「違うよ恭弥。彼はこの学園では珍しいくらいに良い人さ。優しくて、強くて、平等で....そして脆い。彼ほど運が良くて恵まれた人間は見たことないね」

「......竜一?」


竜一は恭弥の呼びかけが聞こえてないかのように饒舌に語った。鳥羽 文貴について。
いつもと違う様子の竜一の姿に三人はそれぞれ反応する。メイルは面白そうに。満は陶酔的に。恭弥は訝しげに。


「だけど彼.....僕と同じ空間にいると発狂しちゃうんじゃないかな?」

「お前、何かしたのか?」

「さぁ?.....兎に角、鳥羽君はやめようか。それ以外は誰でもいいよ。あとは恭弥に任せる。じゃあ僕は会議があるから行くね?」

「あ、あぁ」

「頑張ってね会長~」

「いってらっしゃいませ!!」


ガチャンと扉が閉まり、残った三人は顔を見合わせる。
恭弥は面白そうに歪められたメイルの顔を目にし、眉を寄せるが構わず口を開く。


「どう思う?さっきの竜一について」

「いや~、あんな会長初めて見たよ。超びっくり!」

「.....私もです」

「だってさぁ」














「会長が嫉妬に顔を歪めるなんて誰も思わないじゃん?」


静かな生徒会室にメイルの楽しそうな声がポツリと落ちた。







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