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第三章 新入生交流会

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「なんか今光らなかったですか?」

「光ったな」

「光ったっすね!」


田噛君の案内で戦闘狂が居ると思しき辺りに向かっているのだが、夜でもないのに光ったと分かるほどの閃光が僕達の行く先から微かに見えた。


「もう既に嫌な予感です」

「同じく」

「絶対に雅臣が居るっすよ!」

「......はいここでストップ。今から作戦実行にあたっての確認をします。まず、先程偶然出会った望月先生と交渉し、あることを頼みました。多分今頃準備が整っているはずです。では僕達は何をするのか――」

「ちょっと待ったっす。作戦?オイラは何も聞いてないっすよ?さっきテキ先に何か言ってたっすけど、オイラは聞こえなかったし」

「俺もだ。だけどまぁ言われたことをやるまでだな。俺は」

「ケーキ君は理解が早くて助かります。いいですかMr.ウマシカ。先程の閃光は多分戦闘狂と戦っている人達がやったものと考えられます。聞きますが君の友達である戦闘狂に勝てる人物はこのゲームに参加してないんですね?」

「参加してないっす。いや、でも確証はないっすよ?力を隠してるやつもいるし....」

「ああいいですよ。その情報があれば十分です。さて、言いますが戦闘狂と戦っているのは宮野君と兎君....つまり僕の友人です。彼等と言うよりは兎君の性格からして君のせいで負傷した宮野君を見捨てて逃げることはしないでしょう。それに戦闘狂は狙った獲物は執拗く狙うそうですから、逃げ切れることは最早不可能。彼らの異能が分からないので逃げようとしているのか倒そうとしているのか、はたまた諦めたのか判断出来ませんでしたが、先程の閃光からしてまだ足掻いていると――なんですか?」


僕は話すのを止めて熱い視線を向けてくる二人に首を傾げる。
なぜそんな目で見てくるのか分からない。


「.....すげぇな燈弥は。まだ出会って一週間そこらの人間の性格を信じてそこまで考えるなんて普通出来ねぇよ。その人間がどう行動するかなんて本人しかわかんねぇだろ。芙幸を見捨てねぇって本気で信じてるのか?見捨てなきゃ自分の命があぶねぇのに?一週間で育んだ友情がそこまでさせるとでも?」


どうやらケーキ君は僕の言ったことが信じきれないようだ。だけどその割には僕に向けていた視線は好意的だった気がするなぁ。


「ケーキ君....ごちゃごちゃ五月蝿いです。今は時間が勝負ですからそんな質問なら後で答えましょう。ただ、今は黙って僕の言う通りにしてください」

「っ、あぶねぇ!なんか開いちゃいけねぇ扉開きかけた!!」

「Mr.ウマシカも話なら後で聞きます。説明はもういいですね。やることをパパっと話します。Mr.ウマシカは戦闘狂の前にひょこりと出て行って話しかけてください。戦闘狂の意識がMr.ウマシカに向いた瞬間、ケーキ君は異能で攻撃。あぁ、殺す気でお願いします。では行きますよ」


時間的に余裕が無い。兎君達は無事だろうか?
死んでなければいいですが.....


「燈弥君はどうするっすか?」

「僕は合図を送る役です」

「なんすかそれ」

「秘密」


それだけ言って僕は駆け出す。
後ろから着いてきた田噛君が五月蝿いけど、彼の協力無しじゃ今回の作戦は成り立たない。戦闘狂でも友人には一瞬気を緩ませるはずだ。

.....成功するといいなぁ。




「なんだこりゃ。また随分と派手にやったなぁ」


辿り着いたそこはケーキ君の言葉通り随分と派手に片付いていた。木々が生えていたはずのそこは更地となっており随分と見晴らしがよく、また目を向ければ屍の山と化してる生徒達が目に入る。

そして――


「あれが戦闘狂ですか.....」


更地の中心に佇む白髪の生徒。不思議なことに彼一人だけしか見当たらない。.....どうやら兎君達は逃げきれたようだ。


「少し様子がおかしいっすね」

「突っ立て何やってるんでしょう?.....何かブツブツ言ってません?」

「なんも聞こえねぇ」

「オイラ行ってくるっすか?」

「そうですね.....僕も位置につきたいのでスマホで合図します。ゲーム終了まで残り5分。ぶっちゃけ戦闘狂に作戦実行する必要はなくなりましたが、準備してしまったので最後までやっちゃいましょう。ではまた後で....あ、僕の言った後の行動は各自で判断してください」

「了解」

「了解っす!」


二人と別れた僕は空気中の影子を確認しながら人がいない所へ移動していく。もちろんあとをつけられないように。
最初のゲーム説明で副会長が言ったようにゲームエリア内には風紀や教師と思しき人達が散らばっていた。空気中の影子の流れを見ればそれがよくわかる。

まぁ、それでも油断はできないけど。


「ここだ」


僕は戦闘狂が見えて且つ、風紀や教師が居ない場所...木に登った。
.....ここから見て分かるほど戦闘狂がヤバいやつだというのが伝わってくる。まるで噴火直前の火山を見ているようにヒヤヒヤさせられる。


「と、開始のメールを送信」


開始のメールを送った僕はスマホに届いた二人からの返事を見ず、ポケットにしまい込み魂写棒を構える。

一瞬だ。

僕の異能を一瞬だけ始動して始まり....いや、の合図を送る。

リッパーを人前で始動しないのは僕が弥斗であることに辿りつかせないため。人目がないからといって油断は出来ないから一瞬の始動。


戦闘狂を見つめる。


「君は絶対的強者で常に狩る側だったんだろうね。でも、残りの数分だけなんだけど.....」



――今からは君が狩られる側だ。











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