狂った世界に中指を立てて笑う

キセイ

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第二章 入学式

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次の日、僕と兎君は何事もなくAクラスへと登校した。
昨日食堂で気分悪そうにしていた文ちゃんだが、僕が部屋に戻る頃には顔色も良くなっていて元気そうに兎君と話していたし、朝も少し話したが何ともなさそうだったため心配はしてない。

まぁ何かあったら僕達より、番のほうを頼るだろう。


「ねぇねぇ!湊都君達の同室者って誰~?僕のとこはふっつ~の子だった!」

「俺としては嬉しいが」

「俺達のとこは文貴と将翔だ!!」

「ふみたか....しょうと?ああ!!文貴君と将翔君か!!」

「知ってるんですか?」

「まーね!というか、文貴君はいろいろと有名だからね~.....将翔君とはノリが合うんだ」

「宮野君は交友関係広そうですね....尊敬します」

「えへん!」

「なぁ!文貴はなんで有名なんだよ?」

「それは、もごっ」

「それは彼が被害者だからだ」


宮野君の口を手で塞ぎ、瀧ちゃんは言いずらそうにそう話した。なんの被害者なのか聞こうとしたが、瀧ちゃんは


「もうこの話はやめよう。これ以上は鳥羽 文貴に悪い」


そう言って席に突っ伏してしまった。


「うーん.....話は変わるけどさ!二人は観式学園の新入生交流会初めてだよね?」

「うん、まぁそだな。やっぱ、血なまぐさいのか?俺この学園のイベントはだいたい血なまぐさいって聞いてんだけど....」

「その情報は初耳です。棄権とかありますか?」

「ないない。それに血なまぐさくなっちゃうのは仕方ないよ。強者を作るためには戦闘は効果的だからね。中学の時は鬼ごっこだったなぁ.....二度とやりたくない」


宮野君に二度とやりたくないと真顔で言わせる鬼ごっこに興味がでっちゃったよ。


「中学は全生徒参加型だったけど聞いたら高校は新入生だけらしいから少しラクだと思うよ~」


と、宮野君は得意げに言っていたが.....


「はぁ、めんどくさ.....一週間後の新入生交流会は人狼狩りだ。こんなかで観式学園の人狼狩り知ってる奴居るか?.....よし、そこで顔を真っ青にしてる宮野、説明よろしく。俺はちょっと休憩....」


宮野君の様子からしてどうやら全然ラクじゃないイベント内容そうだ。そして望月先生に言われた通り宮野君は席を立ち人狼狩りについて説明し始める。

まとめると、
・3チームに別れる
・自チームに紛れ込んだ人狼という名の相手チームの捕食者を狩る
・しかし人狼は自分の所属チームを知らされてない。
・人狼はノルマを達成しなければならない
・終了の合図がなった時、生き残った数が多いチームが勝ち

簡単にまとめるとこうだ。

これは.....どうなんだ?
人狼は自分の所属チームを知らされず、かつプレイヤーを狩るノルマがあるって事でしょ?
人狼役は難しいな。間違えて自チームのプレイヤーを狩ってしまったら戦犯になる可能性が高い。


「そうすると人狼が可哀想って思ってる人いるだろうけど心配ないよ~。当日着せられる服の背中ポケットに所属チームを書いた紙が入ってるから。だから人狼は誰かを信じて背中を見せれば自分の所属チームがわかるようになってるんだ」


おおう?
それはまたキツい条件だな......。
信じても相手が裏切ったら人狼は狩られるだろうに。これは人狼にならないよう祈るしかないね。


「宮野説明あんがと~。まぁまたなんかわかんないことありゃ宮野に聞け。んじゃ俺はこれで....」

「先生!」


僕はここでストップをかける。


「んぁ?.....えっと、いち、いち....」

「一条です」

「ああ一条な。そんでなんか用か?」

「勝ったチームは何か貰えるのですか?」


優勝賞品によって僕のモチベーションが決まる。一人部屋か二人部屋なら望ましいが、チーム優勝賞品では叶わなそうだ。だがしかし、僕の予想を超える褒美があるかもしれない!


「優勝チームのは昇級だ」


先生はトントンと指で左胸を叩いた。
昇級....それはその人物の格を表すランクの数字が上がるということ!持ち上がり組を除いて新入生はランク壱から始まり、昇級テストやこういうイベントでランクをどんどんあげていくのだ。最高の拾までいけば将来安泰らしい。
因みに僕と兎君は壱。
瀧ちゃんは肆。
宮野君は伍だ。

僕達の中で宮野君が一番ランクが高いのは驚いた。しかも瀧ちゃんが言うには、伍っていうのは現時点で持ち上がり組でもあまりいないそうだ。宮野君凄いな......。
だけど生徒会と風紀は伍以上が普通らしい。同じ一年生なのに化け物揃い......それに今年は特に豊作らしく先生達も騒いでたってさ。


「もう質問はないな~?んじゃお疲れ、解散!」


また午前中で終わってしまった。あまり早く終わってもやることがなくて困るんだけどな.....。そう考えていると近くから情けない声が聞こえた。


「や、やややばいよ!人狼狩りだよ人狼狩り!数多の友情を壊してきたえげつないゲーム!観式学園の行事って基本的に脳筋仕様だから人狼狩りみたいな駆け引きが入ってくると驚く程人が死ぬんだよね....僕もちょっと危ないかも」

「芙幸は馬鹿だからな....」

「当日人狼になりませんように!!僕ほんとに無理」

「俺も頭使うやつはヤダな......。そうだ!燈弥っ、一緒に行動しようぜ!」

「あ、僕も一緒がいい!」

「「馬鹿が(ですか?)」」


瀧ちゃんと声が被った。


「チーム分けはランダムですよ?敵同士だったらどうするんですか。そしてプレイヤーは自チームに潜んだ人狼を探しながら、尚且つ他チームの人数をのです。ルールわかっていますか?」

「しかも優勝賞品はランクの昇級だ。誰もが死にものぐるいで他チームを潰すだろう。そんな中、敵チーム同士でありながら仲良く一緒に行動する俺達を見たら?.....裏切り者と指され狩られても仕方ないぞ」

「なにより兎君はこのメンバーで腹の探り合いをしたいんですか?自分が人狼だったらどうするんです。正直に言えるのですか?」

「じゃあどうすればいいんだよ!?もう一週間後だぞ?」

「兎君、腹を括るしかないです。もう流れに身を任せるしか....というかまだ一週間もあとの話ですよ?気が早すぎでは?」

「一週間なんてあっという間だよ!清継~!僕を助けてっ」

「おい!くっつくな!?」


本当に当日はどうしようか。
僕は別にランクの昇級とかどうでもいいんだけど。聞いたところ成績上位者にランクは関係ないようだし......。


はぁ、変装せずにくつろげる空間が欲しい




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